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【第78回カンヌ国際映画祭】カンヌの申し子たちの新作に、黒澤明監督の名作の再映画化作品まで!今年のカンヌ注目作品はこれ!NEW
先日、第78回カンヌ国際映画祭が開幕した。今年はフランスの名女優ジュリエット・ビノシュが審査員長を務め、注目の作品も多く上映される。ベルリン、ヴェネツィアと並ぶ世界三大映画祭の中でも、とりわけ注目度の高いカンヌ国際映画祭は、特に近年はパルム・ドールを受賞した作品の多くが、世界中でヒットを記録し、アメリカのアカデミー賞を受賞するなど、商業的な意味合いでの注目度も高まっている。
そこで、いつも通り「早くこの作品が観たい!」と思った映画を、私が独断と偏見で選ばせてもらった。
『Jeunes mères』
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:リュシー・ラリュエル バベット・フェルベーク
カンヌ国際映画祭の申し子、ダルデンヌ兄弟の新作『Jeunes mères』がコンペ部門で上映。これまでパルム・ドール2回、グランプリ1回、監督賞1回、脚本賞1回を受賞している、まさに“カンヌに愛された映画監督”と言える。新作『Jeunes mères』は、困難な生い立ちの中で、自分と子供の未来のために奮闘する、保護施設で暮らす5人の若い母親を描いている。普通に生きていれば見逃されてしまう様な、社会の陰で葛藤する人々を静かに映し出してきたダルデンヌ兄弟の新作。これはやはり気になるところだ。
『Alpha』
監督:ジュリア・デュクルノー
出演:タハル・ラヒム ゴルシフテ・ファラハニ
前作『TITAN』で史上2人目のパルム・ドール受賞監督となったジュリア・デュクルノーの新作もお披露目。問題を抱えた13歳の娘アルファはシングルマザーと暮らしていたが、アルファが腕にタトゥーを入れて帰ってきた日に、2人の世界が崩壊する。『RAW』と『TITAN』はだいぶぶっ飛んだ映画だったが、本作もそれに負けないぐらいの衝撃作となるのか、非常に気になるところ。ちなみにデュクルノーの父親は皮膚科医、母親は婦人科医ということで、ボディホラーものが多いと言われている。
『Eddington』
監督:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス ペドロ・パスカル
『へレディタリー』、『ミッドサマー』など、今最も注目を集めている映画監督アリ・アスターの新作がコンペ部門で上映。前作『ボーはおそれている』に続いてホアキン・フェニックスを迎え、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラーらが出演する。ニューメキシコ州の、日暮れに不吉な表情を見せる小さな町を舞台にした作品。実力派俳優たちを迎え、アリ・アスターがどのような物語を見せるのか、非常に気になるところだ。
『Highest 2 Lowest』
監督:スパイク・リー
出演:デンゼル・ワシントン ジェフリー・ライト
『ブラック・クランズマン』でカンヌ国際映画祭グランプリ、そしてアカデミー賞脚色賞を受賞したスパイク・リーの最新作『Highest 2 Lowest』は、黒澤明監督作品『天国と地獄』を再解釈した作品。これまで『マルコムX』など、多くの映画でタッグを組んだデンゼル・ワシントンを主演に迎え、ニューヨークを舞台に、ワシントン演じる音楽界のカリスマは、誘拐事件をきっかけに、命と倫理の選択を迫られる。一体どんな作品となるのか、非常に気になるところだ。
他にも、今年のカンヌ国際映画祭ではウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイターと言った名匠たちの新作や、スカーレット・ヨハンソンの監督デビュー作品も上映される。このカンヌ国際映画祭で注目を集めた作品や、賞を取った作品は、まさにその年を代表する作品となる可能性も十分ある。世界では多くの映画祭があるが、それだけカンヌ国際映画祭というのは注目度が高いのだ。
コンペ部門の結果はもちろん気になるが、一日も早い日本での公開が待ち遠しい作品ばかりだ。第78回カンヌ国際映画祭は、5月24日まで開催される。
ヒカセン兼業ライター 大西D
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