調査レポート

【映画祭・映画賞まとめ】Vol.4 ~アカデミー賞徹底解説~

2022-03-28更新

映画業界では、年間を通して世界中で多くの映画祭が開催され、また、多くの映画賞も発表されます。
KIQ REPORTの調査でも、映画賞・映画祭の受賞結果を参考にする人は57%、映画鑑賞頻度の高いヘビー層(月に1本以上劇場で映画鑑賞する人)では73%の人が参考にしていると回答しました。やはり映画業界人として避けて通ることはできない映画祭・映画賞の数々。

でも、世界各国にも日本国内にも多くの映画祭・映画賞があり、どれが何かわからなくなってしまうことはありませんか?
そこでKIQ REPORTでは、映画祭や映画賞についてまとめました。

最後は、アカデミー賞について徹底解説します!

【映画祭・映画賞まとめ】Vol.1 ~各国のアカデミー賞・世界三大映画祭~
【映画祭・映画賞まとめ】Vol.2 ~日本の映画祭・映画賞~
【映画祭・映画賞まとめ】Vol.3 ~ファンタ系・インディペンデント映画祭~

 

そもそもアカデミー賞ってなに?

アメリカのアカデミー賞は世界三大映画祭よりも古い歴史を持ち、世界中で開催されるどの映画祭・映画賞よりも高い注目度を誇っています。KIQ REPORT調査でも映画ファンの認知度は72%、約50%の人が鑑賞意欲に影響すると回答しています。
映画の祭典などと言われることもありますが、アカデミー賞はあくまで「アメリカの映画賞」であり、基本はアメリカ映画が対象です。

実際、アカデミー賞にノミネートされる資格としては「ロサンゼルスで上映された作品」という事項があります。一方で多民族国家であるアメリカという国の性質上、ノミネートされる作品にも多様性を求める声が近年は強くなっているなど、色んな意味で注目を集めている映画賞。

気になる投票システムですが、ノミネートと本選で投票のシステムが異なります。
まず、投票権を持つのは映画芸術科学アカデミーの会員で、俳優や監督、プロデューサーはもちろん技術や美術に関するスタッフ、映画会社役員など膨大な数の会員がます。ノミネートの段階では自分が所属する組合の部門にしか投票できないというシステムで、例えば監督賞であればハリウッドで働く監督のみが投票する、というようなものです。ただし、作品賞のノミネートと、ノミネート発表後の本投票には全会員全部門に投票することができます。

また、純粋に作品評価が高い作品が受賞するとも限らず、アメリカの世相や情勢が結果に反映されることが多いのも特徴です。

 

「アカデミー賞の前哨戦」ってなに?

そんなアカデミー賞には「前哨戦」と呼ばれる賞がいくつか存在します。その年のアカデミー賞を占う上で重要な賞のことですが、映画ファンを始め多くの人がアカデミー賞の結果を予想するのに、これらの前哨戦の結果を参考にします。
第1回で紹介したカンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭、第3回で紹介したサンダンス映画祭ももちろんそれに当たりますが、他にどんな前哨戦があるのか、ご紹介します。

 

 アメリカ映画制作者組合賞 
アメリカのテレビ、映画などのプロデューサーで構成された組合の賞。投票する人間がアカデミー賞の会員と重なることも多く、アカデミー賞を占う前哨戦の中でも特に重要な賞。

 アメリカ映画俳優組合賞 
俳優で構成された組合の賞。アカデミー会員の多くを構成する俳優たちが決める賞であるため、前哨戦の中でも特に重要な賞。主演男優、主演女優、助演男優、助演女優の他にアンサンブルキャスト賞という、作品賞に当たる賞も存在して、重要視されている。

 ゴールデン・グローブ賞 
ハリウッド外国人記者協会の投票で決まる賞。アカデミー賞の前哨戦として最も有名な賞と言える。作品賞と主演男優、主演女優はドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門でそれぞれ表彰される。1944年から始まっており、カンヌやベルリンよりも歴史は長い。

 放送映画批評家協会賞 
放送映画批評家協会賞が主催。批評家賞の中でも特に大きなな影響力を持つ。受賞者がアカデミー賞の結果と被ることも多く、注目度は高い。

 各都市の批評家協会賞 
大都市から小さい都市まで数は多いが、特に重要視されているのはニューヨーク、ワシントンDC、ラスヴェガス、シカゴなどの大都市や、映画の都ハリウッドがあるロサンゼルスといった都市の批評家協会賞。例年、ニューヨークが先陣を切ることが多い。これに加えてサテライト賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞が前哨戦として注目されることが多い。

 トロント国際映画祭 
11月ごろに開催される映画祭。ここでの「観客賞」がアカデミー賞を占う上で重要であると言われている。

 

上記の賞が発表される11月下旬から授賞式直前の2月下旬から3月上旬を「賞レース」と言って、この時期になると有力作品は積極的なキャンペーン活動などを行います。
アカデミー賞の予想をしている人間はこの時期になると色んな情報が気になったり、各前哨戦の受賞結果を見ながら予想したりする人が多いようですね。

それでも前哨戦とは全く違った受賞結果になったりすることも。やはり投票するのは感情がある「人間」だからこそ、こう言ったサプライズが起きるのは、やはり面白い!

 

いくつ知ってる?アカデミー賞にまつわるトリビア・記録・面白エピソード

2022年で94回を数えるアカデミー賞には数多くの記録や、あまり知られていないトリビア、受賞結果よりも話題をさらった名場面が数多く存在します。そこで今回はその一部を紹介します!
まずは記録から。

 

★最多部門受賞記録
アカデミー賞の歴史上最も多くの部門を受賞したのは『ベン・ハー』、『タイタニック』、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の3作品で、作品賞を含む11部門を受賞した。また『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』はノミネートされた全11部門全てを受賞している。

★監督賞に関する記録
最も多く監督賞を受賞したのはジョン・フォードの4回。ちなみに長い歴史の中でも女性監督の受賞はキャスリン・ビグロー、クロエ・ジャオの2人のみ。ちなみに日本人は受賞はしていないが、勅使河原宏、黒澤明、濱口竜介が候補入りしている。

★演技部門に関する記録
最多受賞はキャサリン・ヘプバーンの4回(いずれも主演女優)。これは男優と合わせても最多である。男優部門最多受賞はダニエル・デイ=ルイス(主演3回)、ジャック・ニコルソン(主演2回、助演1回)、ウォルター・ブレナン(助演3回)。
ちなみに日本人では助演男優賞に早川雪洲と渡辺謙が、助演女優賞にナンシー梅木と菊地凛子が候補入りしており、ナンシー梅木は受賞も果たしている。

★主要5部門制覇
作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞 or 脚色賞は主要5部門と言われており、この全てを受賞したのは長いオスカーの歴史の中でも『或る夜の出来事』、『カッコーの巣の上で』、「羊たちの沈黙」の3作品のみ。
ちなみに作品賞、監督賞、演技4部門の全てを受賞した作品は歴史上1本も存在しない。

★死後の受賞
死後にオスカーを受賞したのはピーター・フィンチとヒース・レジャーの2人のみ。

 

なかなかに興味深い記録が数多くあるアカデミー賞ですが、実はクスッと笑えるような面白いトリビアや興味深いエピソードがあったりするのでこちらもご紹介します!

★第1回授賞式の所要時間は「5分」
今でこそ授賞式の前のレッドカーペットから授賞式自体を合わせると何時間にもなるアカデミー賞授賞式だが、第1回の授賞式は5分程度で終わっている。この年オスカーを受賞したジャネット・ゲイナーによれば「これからもいい仕事をしていきましょう、ぐらいの内輪の集まりだった」と語っている。

★スピーチの制限時間が決まっているわけ
受賞者のスピーチは実は制限時間があって、公式に「45秒」と決まっている。当初は制限時間はなかったが、受賞したグリア・ガースンが自分の生い立ちから話し出して、5分以上の時間を要してしまった為と言われており、その後制限がついた。しかし、感極まって長々と話してしまう受賞者も中にはいて、あまりにも長いと強制的に退場の音楽がかかる。

★制限時間を超えても伝えたかったこと
そんな受賞スピーチで特に印象的なエピソードがあるのは第75回で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ。彼はスピーチの時間が過ぎて退場の音楽がかかっても「ちょっとだけ待ってくれ」と言って音楽を止めて、当時勃発していたイラク戦争を受けて平和を願うメッセージと、クウェートに派遣されていた友人を想うスピーチをした。会場からは感動の拍手が巻き起こり、ブロディのスピーチを聞いて涙を流す人も。『戦場のピアニスト』でホロコーストの惨状を目の当たりにする実在のピアニストを演じたということもあり、大きな話題となった。
そんなブロディだが、この感動スピーチ前には登壇してハル・ベリーと熱いキスを交わして大きな話題に。翌年は主演女優賞のプレゼンターとして登壇し、受賞者の名前を読み上げる前に口臭スプレーを吹きかけて笑いとるお茶目な一面も披露した。

★インクルージョン・ライダー
第90回アカデミー賞で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドがスピーチ内で使ったワードで、かなり話題になった「インクルージョン・ライダー」。当時は何のことか知らない人も多かっただろう。「包摂条項」という意味で、キャストが出演契約を交わす際に、その作品におけるキャストとスタッフの多様性を確保するよう求める条項である。
このマクドーマンドのスピーチをきっかけに広く知られるようになり、ハリウッドの新しいスタンダーにもなっている。

 

全4回にわたって色んな映画祭・映画賞を紹介してきましたが、調べていくとその1つ1つが個性的で、世界には多様な映画祭・映画賞が存在すると改めて感じさせられます。
今後もどんな作品がどの賞を受賞し、映画界をどう彩っていくのか・・・楽しみですね!

 

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