業界人インタビュー

【ENDROLL】「AIには決して書けないもの」ライター 伊藤万弥乃 さん ~後編~

2023-06-09更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界の宝である、業界人の人と成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界に新たな風を吹き込む20代から30代を中心にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

前回に引き続き、映画・ドラマなどのコラムやニュース記事を、Real SoundBrancなどを中心に多数の媒体で執筆している、ライターの伊藤万弥乃(いとうまやの)さんに話を伺った。

後編では、ライターになる夢を叶えた伊藤さんが、現在日々の仕事について感じていることや、理想のライターになるために努力していることについて聞いてみた。

 

【ENDROLL】「ライターとして生きる。」ライター 伊藤万弥乃 さん ~前編~

 

モチベーションは“目に見える共感”

フリーのライターになって半年。今、伊藤さんはどのようなことにやりがいや大変さを感じているのだろうか。

KIQ :どんな時にやりがいを感じますか?

伊藤:多くの方に記事やツイートを見て頂けているということは率直に嬉しいですね。Yahoo!ニュースのリアクションやツイートの反応などでは数が目に見えるので、共感してくれてる人がいることを実感できることはすごくやりがいに感じています。あとは家族や友人にも記事を読んでもらって、わかりやすかったよと言ってもらえるのも嬉しいです。

KIQ :直接反応を受け取れるのは嬉しいですよね。

伊藤:はい。でも必ずしも良いことだけが書かれているとは限らないので、コメントを見る時に少し緊張もしますが…。過去にご指摘を頂いたこともあって…。ちょっと落ち込みましたけど、そういう捉えられ方もあるのかとすごく勉強になったので、いただくコメントは必ずチェックするようにしています。

KIQ :逆に半年経ってみて、大変に感じていることは?

伊藤:やっぱり書き続けなきゃいけないことですかね。まだ記事の単価も低い方だと思うので、今はとにかくたくさん書いて経験を積んでいかなきゃいけないなと思っています。あとは、休むタイミングも自分で決めないといけないので、そこのコントロールも意外と難しいなと。

KIQ :基本的に1人で作業する時間が多いと思いますが、人との繋がりが欲しくなったりはしないですか?

伊藤:それが、あまりないんですよね。私はもう本当に1人で黙々とやりたいタイプなので、そのあたりの無駄なストレスがなく仕事ができるところが、すごく快適です(笑)

KIQ :本当にライターに向いているんですね。

伊藤:はい。毎日作品を観て、書いて…というだけで、あっという間に一日が終わってしまうんですけど、私にとっては全て趣味の延長みたいな感じなので、今のところはすごく楽しいです!

いざっ!ベルリンへ。

オールジャンルの作品や俳優についての知識を得るため、努力し続ける伊藤さん。その方法は、ただ作品を観るだけではなかった…!

KIQ :ライターの技術を高めるために何かされていることはありますか。

伊藤:リアルサウンドでは、影響力のある方や、世界で活躍されている方など本当にいろんな方がいらっしゃるので、そういった方々の記事はすごく参考にさせて頂いています。時々、他のライターさんに連絡とって、どういうふうにやっていますかと相談したり、海外のサイトを参考にしたりもします。

KIQ :プロのアドバイスを聞けるのはいいですね。

伊藤:はい、すごくためになります。あと、私はこの業界に、友達よりちょっと詳しいというだけで飛び込んでしまったので、知識がまだまだ足りないなと思うことが多くて…。だから、最近は模造紙にまだ観たことない映画やドラマを100本ぐらい書いて、少しずつ観るようにしているんです。コラムを書くときはいろんな映画と比較したりすることも重要なので、そのためにももっと多くの作品に触れないと!と思って。

KIQ :模造紙に書くとは!すごいですね。ちなみに、記事の題材となる作品は基本的に媒体から提案されるのでしょうか?

伊藤:媒体にも寄るのですが、作品を提示されることもあれば、自分自身でこの作品について書きたいですと提案する場合もあります。

KIQ :そうなんですね。伊藤さんの記事を拝見させて頂いたのですが、朝ドラから、海外ドラマまでかなり幅広いジャンルの記事を書かれている印象を受けました。そうすると、全ジャンルの名作や俳優についてできる限り知っておいた方がよいということですよね?それは、すごく大変ですね…。

伊藤:そうなんです…!少しでも今後に活かせる知識や経験を得ることができればいいなと思って、先日はベルリン国際映画祭に一人で行ってきました(笑)

KIQ :へー!ベルリン国際映画祭はどうでしたか?

伊藤:すごく楽しかったです!コロナ前にも一度行ったことがあったのですが、その時と活気変わらずで、街全体がとても賑わっていました。あと、劇場で映画を観た際には、海外特有の何か言いながら映画を観るという文化も楽しめて、すごく良い経験になりました。

KIQ :これまでもいろんな映画祭に行かれているんですか?

伊藤:釜山の映画祭にも行ったことがあります。その時は映画を観ることはできなかったんですけど、開催期間中の街の雰囲気は味わえました。

AIには決して作れない自分だけの文章

最後に、目指すライター像について聞いてみた。AIでも文章が書ける時代に、ライターとして生き延びる方法とはなんだろうか…。

KIQ :今後、どんなライターになっていきたいですか。

伊藤:うーん、今はまだ手探りの部分もあるのですが、すごく有名なライターを目指すというよりかは、自分の書きたいコンテンツを書いて需要がある人になっていきたいと思っています。今は割とオールジャンルで書いていますが、元々はティーン映画をきっかけに映画好きになったので、そういった色んな感情が渦巻く10-20代や女性向けのジャンルに絞って書いていけたらなとは思います。もう20代後半になりますけど、今でもラブコメやコメディが好きで(笑)、そういった引き出しなら人より少しはあるかなと思っているんです。いずれにせよ、今はライターって比較的誰でも容易になれてしまうものだと思うので、その中で、自分色をどう出していくのか、差別化をしていかないとなと思います。

KIQ :今はAIですら、ライター業に浸食してきていますもんね。

伊藤:AIはちょっと脅威に感じますよね。でも、自分だけの経験とか、それをやって感じたことを織り交ぜて書くことはAIにはできないと思いますし、そういった文章こそ独自のものになるのかなと思います。ただ、今やっているコラムだと、メディアとして思ったことや考察などを書かないといけないため、そういうオリジナルの経験はあまり入れられないんです…。なので、自分のブログや独自の体験を入れられるメディアがあれば、今後はそういうところでも書く機会を増やしていけたらなと思っています。

KIQ :最後に、今後も映画業界に身を置く伊藤さんとして、今の映画業界に対して思うことってありますか。

伊藤:先日、記事も書かせて頂いたんですけど、今『THE FIRST SLAM DUNK』が韓国ですごく流行していたり(『THE FIRST SLAM DUNK』韓国で400万人突破、スラムダンクフェスティバルも開催決定)、中国でも『すずめの戸締まり』がヒットしたりしていて(中国ボックスオフィス:『すずめの戸締まり』が約65億円で好スタート)、海外で日本のアニメの売上がすごく上がってきている印象なので、この勢いでもっと日本のアニメを世界に向けて発信していけたらいいのかなと思います!

 

【ENDROLL】「ライターとして生きる。」ライター 伊藤万弥乃 さん ~前編~

 

 

【Information】


伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。
大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。
シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

執筆記事:https://linktr.ee/mayano
ブログ:https://ladybird99.com/

 

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