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【今夜何観る?】【第95回アカデミー賞】巨匠たちの悲しき記録!?アカデミー賞で10以上ノミネートされたのに無冠に終わった作品たち
来週月曜日に行われる第95回アカデミー賞授賞式。今年の多種多様なジャンルの作品が候補入りし、大きな注目を集めています。今年は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が10部門11ノミネートを獲得し、大きな話題を集めています。「10以上ノミネートされたら何かしらの部門で受賞するだろう」と思う方は多いと思いますが、実はアカデミー賞では10以上のノミネートを獲得したのにも関わらず、1つも受賞できなかった作品があり、しかもそれは映画史に名を遺すような巨匠たちの作品なのです!そこで今週は、そんな巨匠たちの悲しき記録をご紹介します!
★10部門11ノミネート0受賞
スピルバーグの初めての社会派作品
『カラーパープル』(1985)
それまでは『レイダース』、『ジョーズ』など一級品の娯楽映画を撮ってきたスピルバーグにとって本作は初めての社会派映画です。ある黒人姉妹の波乱に満ちた人生を描いた同名小説の映画化である本作はウーピー・ゴールドバーグやオプラ・ウィンフリーの映画デビュー作としても有名です。ただしアカデミー賞では受賞0に終わり、スピルバーグ自身は監督賞にノミネートすらされませんでした。ちなみにスピルバーグは90年代に同じく黒人を主人公に据えた『アミスタッド』を製作しています。
【キャスト】
ダニー・グローバー、ウーピー・ゴールドバーグ、アドルフ・シーザー、マーガレット・エイブリー、レイ・ドーン・チョン、オプラ・ウィンフリー
【スタッフ】
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:アリス・ウォーカー
脚本:メノ・メイエス
撮影:アレン・ダビュー
美術:J・マイケル・リーバ
衣装:アジー・ゲラード・ロジャース
編集:マイケル・カーン
音楽:クインシー・ジョーンズ
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★10部門ノミネート0受賞
主要6部門すべてに候補入りしたのに受賞0
『アメリカン・ハッスル』(2013)
2000年代後半から2010年代前半で最も勢いのあった監督であるデヴィッド・O・ラッセル監督作品で、70年代に実際に起きた収賄スキャンダルを題材としたこの映画は作品賞、監督賞、演技部門の主要6部門すべてに候補者を出しましたが、残念ながら受賞は0となりました。ちなみにラッセルは前年に監督した『世界にひとつのプレイブック』でも全6部門に候補入りを果たした、アカデミー賞でも極めて珍しい2年連続で主要6部門すべてに候補入りを出した監督です。『アメリカン・ハッスル』はクリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、ジェニファー・ローレンスという超一級品のキャストによる演技合戦が見どころです。
【キャスト】
クリスチャン・ベール、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ、シシェー・ウィガム、ッサンドロ・ニボラ、エリザベス・ローム、ポール・ハーマン、サイード・タグマウイ、ジャック・ヒューストン、ロバート・デ・ニーロ
【スタッフ】
監督:デビッド・O・ラッセル
脚本:エリック・ウォーレン・シンガー デビッド・O・ラッセル
撮影:リヌス・サンドグレン
美術:ジュディ・ベッカー
衣装:マイケル・ウィルキンソン
編集:ジェイ・キャシディ クリスピン・ストラザーズ アラン・ボームガーテン
音楽:ダニー・エルフマン
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★10部門ノミネート0受賞
リメイク版西部劇は残念ながら受賞0
『トゥルー・グリット』(2010)
ジョン・ウェイン主演の名作西部劇『勇気ある追跡』のリメイクを監督したのは、コーエン兄弟。『ファーゴ』た『ノーカントリー』など数多くの傑作を生み出した兄弟監督です。当時14歳だったヘンリー・スタインフェルドがノミネートされるなど大きな話題を呼びましたが、残念ながら受賞は0。ちなみにこの作品をきっかけにヘンリー・スタインフェルドは後に数々の映画に出演。最近は『バンブルビー』や『スパイダーバース』、そしてMCUドラマ『ホークアイ』にもメインキャストで出演するなど幅広く活躍しています。受賞は0に終わりましたが、ヘンリー・スタインフェルドを輩出したのは。間違いなくこの作品です。
【キャスト】
ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ブルース・グリーン、ヘイリー・スタインフェルド、ドーナル・グリーソン
【スタッフ】
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
原作:チャールズ・ポーティス
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影ロジャー・ディーキンス
美術:ジェス・ゴンコール
編集:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
音楽カーター・バーウェル
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★10部門ノミネート0受賞
実はアカデミー賞では意外と冷遇されているスコセッシ作品
『アイリッシュマン』(2019)
監督と役者のコンビで真っ先に思い浮かぶのはやはりスコセッシとデ・ニーロでしょう。そんな彼らのコンビ最新作がNetfil作品『アイリッシュマン』です。3時間にも及び壮大な映画で、デ・ニーロの他にもジョー・ベシ、アル・パチーノといった重厚なメンバーが出演していますが、受賞は0。実はスコセッシは『ギャング・オブ・ニューヨーク』も10部門ノミネート0受賞となっており、意外にもオスカーからは冷遇されている様子。そもそも彼は『ディパーテッド』で監督賞を受賞してはいますが、本来であれば『レイジング・ブル』で受賞すべきでしたよね・・・
【キャスト】
ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、レイ・ロマーノ、ボビー・カナヴェイル、アンナ・パキン、スティーヴン・グレアム、ハーヴェイ・カイテル
【スタッフ】
監督:マーティン・スコセッシ
原作:チャールズ・ブラント
脚本:スティーブン・ザイリアン
撮影:ロドリゴ・プリエト
美術:ボブ・ショウ
衣装:サンディ・パウエル、クリストファー・ピーターソン
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:ロビー・ロバートソン
音楽監修:ランドール・ポスター
エグゼクティブ音楽プロデューサー:ロビー・ロバートソン
視覚効果監修:パブロ・ヘルマン
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いかがだったでしょうか?
10部門以上受賞している作品もあれば、10部門以上ノミネートされても受賞0に終わる作品だってあります。しかし、それは授賞式で封筒が開けられるその瞬間まで分かりません。今回ご紹介したのは少し悲しい記録ではありますが、そういう記録でもたくさん語れてしまうぐらい、やはりアカデミー賞は映画ファンにとって楽しみな映画賞なのです。
そして今年のアカデミー賞では一体誰がオスカー像を手にするのでしょうか。非常に楽しみですね!
第95回アカデミー賞授賞式は日本時間3月13日開催です。
ヒカセン兼業ライター 大西D
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