この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ～業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う！

 

今回は前回に引き続き、エンタメコンテンツの宣伝プロデュースやパブリシティ、イベント企画・運営・実施、映画の配給・出資など幅広い事情を展開している株式会社スキップにて、『スイス・アーミー・マン』『MEG ザ・モンスター』『IT／イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』『ジョン・ウィック：コンセクエンス』（2023）『ロスト・フライト』（2023）など、数々の作品のパブリシストとして活躍している、石塚元さんにインタビュー！

後編では、石塚さんが語る映画宣伝の現状と課題、そして業界が直面する変革の必要性について深掘りした。石塚さんが考えるこれからの宣伝手法や、今後のキャリアを考えるうえで挑戦してみたいことについても聞いてみた。

 

【ENDROLL】「好きを仕事にする癖」株式会社スキップ　石塚 元さん ～前編～

 

パターン化が招いた衰退―。

石塚さんが危機感を抱いているのは、パターン化されてしまっている宣伝手法だという。そこからの脱却方法とは？

KIQ：普段の業務において、時代の変化を感じることはありますか。

石塚：8年前と比べるとだいぶ違うと思います。うちは、テレビやラジオなどの電波とか、雑誌などの紙媒体とやりとりすることが多いのですが、媒体の映画に対するスタンスが変わってきている感じはすごくします。“映画だから”、“作品が面白そうだから”、取材するというよりかは、“キャストの知名度で取りあげてもらう”といった場合が多くなっているように思います。そうやって、作品の情報やニュースの出しどころがなくなってきているのは、正直結構きついところではありますね…。

KIQ：昔の方が今よりもっと媒体に映画を取り上げてもらえていたのでしょうか。

石塚：うーん、ものすごく大きな差があるわけではない気もしますが、映画を紹介すること自体が最近は全体的に減ってきていますよね。あとは、そもそもいろんな雑誌自体が廃刊になったりしているので、完全にWeb媒体の方に宣伝の比重が移行している感覚はあります。

KIQ：確かに、今テレビでも映画を紹介するコーナーがある番組って１、２個くらいしかないですよね…。そんな逆境の中で、これから映画業界はどんな風に変わっていくべきだと思いますか？

石塚：宣伝に関していうと、やっぱりもう色々パターン化されてきてしまっていて、正直面白くないですよね…（苦笑）かといって、他に何か別の具体的な案があるわけではないのですが、同じことをもう8年しているなという感覚があるので、もっと尖ったことをやれるといいなとは思います。

KIQ：なるほど。

石塚：全部パターン化してしまっているからこそ、今映画の宣伝は全体的に緩やかな衰退をしていると思っていて。ただ尖ったことをやっても、それが本当に直接興収に繋がるのかといわれるとまた話は別だったりするので、難しいのですが…。

KIQ：宣伝側がこれをやりたい！と提案したとしても、実行するためには何人もの承認を得る必要があったりするので、なかなか一筋縄にはいかないところではありますよね…。

石塚：そうなんです…！毎年面白い映画は本当にいっぱい公開されていると思うので、どこかで宣伝が今の状況を打破しないとまずいなという危機感を感じています。例えば、結局たくさんの人の目につくことがベストだと思うので、究極は宣伝費を全てWeb広告に費やしてもいいんじゃないかと思っているんです。なぜなら、さっき話したとおり紙媒体よりもWebの方が圧倒的に見られると思うので。そうやって、どこかで覚悟を決めて、これまでのやり方をどんどん変えていかないといけないなと。

これからは、スキルの掛け算！

石塚さんが最近刺激を受けた韓国映画のプロモーション方法は？また、これから挑戦してみたいことや、目標についてもたっぷり語ってもらった。

KIQ：ちなみに、宣伝手法の変革を目指すにあたり、最近何か刺激を受けた宣伝ってあったりしましたか。

石塚：それこそ、ついこの間『犯罪都市　NO WAY OUT』の宣伝でマ・ドンソクが来日した時に、韓国側のスタンスでイベント中はずっとお客さんのスマホ撮影がOKだったんです。

KIQ：え、珍しいですね！日本だと一般のお客さんが撮影できるとしても最後の記念撮影のみの場合が多いですよね。それって撮った写真をSNSとかで投稿することも良いんですか。

石塚：全然OKでした！韓国ってそういう文化もあるらしくて、すごくいいですよね。そういう割り切りが必要だよなーと思いました。そうすると、もう1人1人が媒体になるわけですが、その方が確実に拡散力がありますよね。そもそも公開初日にイベントに来る方は、作品やキャストに対して熱量がある人しかいないですから（笑）

KIQ：確かに、めちゃくちゃ効果的ですね！今後、その手法を真似させていただきます！最後に、石塚さんの今後の展望や目標について教えてください。

石塚：今後はカメラの方に比重を移していって、スキップに撮影部を作りたいと思っています。あと、今やってみたいのは現場スチールで、本当にご依頼いただけたら、いつでもスケジュール空けますし、どこへでもいきます！！

KIQ：掲載ページに大きく記載しておきます！（笑）

石塚：（笑）いつかは、そうやって自分がスチールを担当した作品の宣伝も全部うちでやって、1個のパッケージとしてできるといいなと思っています。今後も宣伝に関わっていくとは思いますが、関わり方を変えていきたいと思っていて、これまで自分の培ってきたスキルの掛け算ができるといいなと。最近は、娘のダンスの動画を編集するのにハマっているので、いつかは動画編集も仕事にしたいんですよね。

KIQ：数年後には宣伝業務はなんでもお一人でできてしまいそうですね！

石塚：何でもやれるようになった方が楽しいじゃないですか。今目指しているのはそこですかね。

 

【ENDROLL】「好きを仕事にする癖」株式会社スキップ　石塚 元さん ～前編～

 

 

【Information】

『映画 THE３名様Ω～これってフツーに事件じゃね？！～』8月30日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
石原まこちんの人気コミックの実写化。佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史のフリーター3人組が、ただひたすらファミレスで会話を繰り広げるだけの脱力感あふれるシチュエーションコメディ！2005年に実写化第1弾がDVDリリースされてから、これまでの実写化シリーズの累計販売数は34万枚超え！
そして2024年。再び巨大スクリーンへカムバック！“SF(すごいファミレス)映画”の新たな金字塔が、今ここに誕生する――。
プロデュース&監督：森谷 雄
出演：佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史、小林大介、桃月なしこ／安藤玉恵
配給：ポニーキャニオン
Ⓒ2024「THE3名様Ω」Partners　ⒸMakochin Ishihara

 

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』10月4日（金）全国公開
A24が、史上最高の製作費を投じた本作。舞台は、連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー。
監督／脚本：アレックス・ガーランド
出演：キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニ―
配給：ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

 

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