業界人インタビュー

【ENDROLL】「夢を追い続けてー。」株式会社KADOKAWA 三浦雅史さん ~前編~

2024-07-12更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

 

今回は、映画・アニメ・雑誌・ゲーム・デジタルコンテンツなど、多岐にわたる事業を展開している、株式会社KADOKAWAの映像事業局 映像営業部 映画営業課にて、劇場営業を担当されている三浦 雅史さんにインタビュー!

前編では、業界に入ってから劇場営業ひとすじの三浦さんに、劇場ブッキングについて詳しく聞いてみた! また、三浦さんにとって業界に入ったきっかけでもあり、現在も追いかけ続けているという、“ある夢”について明かしてくれたことをお届けする。

【ENDROLL】「ミーハー気質が肝心!」株式会社KADOKAWA 三浦雅史さん ~後編~

 

ミニシアターの目利きに感嘆!

劇場ブッキングとは、具体的にいつ、どのように、どうやって行うのか聞いてみた。実は営業しても断られる場合も多いというが、その理由とは…?

KIQ:劇場営業とは具体的にどういったお仕事なのでしょうか。

三浦:全国の劇場に映画を上映してもらうように売り込むことが主な業務です。シネコン(シネマコンプレックス)の場合には編成と呼ばれる、全国の劇場で上映する作品を本部で選定している方がいるので、その方に「今度こういった作品が公開するので、どこどこのエリアや劇場で公開してくれませんか」といった営業をかけていきます。そうすると、「ここの劇場ならスケジュール的に空いてるので上映できます」とか「この作品だったら、こっちのエリアでも上映したいです」といった提案をいただけるので、最終的にどこの劇場で上映するのかを一緒に考えて決めていきます。

KIQ:劇場に営業をかけるタイミングはいつ頃なのでしょうか。

三浦 基本的には映画制作後ですが、大作の場合には、撮影が始まる前から「こういった大作がいつごろ(来年再来年)公開予定なので、今から押さえておいていただけますか」といったことを編成の方に相談して、早い段階で押さえる場合もあります。

KIQ:基本的には制作後に実際の場面写真や映像を見ていただいたうえで、判断してもらうということでしょうか。

三浦:そうですね。

KIQ:ちなみに、三浦さんは何年くらい劇場営業をされているのですか。

三浦:僕は元々新卒でギャガに就職したのですが、その時から劇場営業を担当しているので今年で8年目になります。想像以上にこの仕事が楽しくて、気づいたら8年も経っていました!

KIQ:どういった点に楽しさを感じるのでしょうか。

三浦:人と喋るのが比較的好きだというのと、僕たち(配給会社)の売上は配給収入といって、チケット販売から得られる総収入(=興行収入)の一部ですが、劇場に作品を売り込む時点ではもちろんその作品の興収はわかりません。平たく言うと、値段はついていないんです。だから、“値段がないものを売る”といことが難しい反面、おもしろいです。

KIQ:売り込みに行っても、断られることもあるのですか。

三浦:断られることも結構多いです…。

KIQ:それは意外です…!

三浦:もちろん僕の実力不足もありますし、状況的に、例えば同じ週に既に他の作品の上映が決まっていて、上映回数を十分に確保できないから厳しいですとか。あとは単純に、作品としてうちの劇場に合っていないからといった理由も多いですね。今は年間を通じて1,200本以上の作品があがってくるので、劇場さんも上映作品の選定はしっかりされるんですよね。

KIQ:となると、やっぱり洋画のインディペンデント系や出演している俳優さんがそこまで有名な方じゃなかったりする作品だと、売るのがより難しいのでしょうか。

三浦:そうですね。編成の方も営業された全ての作品を見ることは物理的にも難しいので、場合によっては作品を観ずに上映の可否を判断されることもあると思うんです。そうすると「あの作品に出ていた俳優さんで…」とか、「〇〇というシリーズの最新作で…」といった情報がある方が、大体どのくらいの集客が見込めるのかが想像しやすいのだと思います。

KIQ:なるほど。ミニシアターの場合には、それぞれの劇場の世界観を大切にされているので、劇場ならではの基準が上映作品の選定に大きく影響しているイメージがありますが、実際いかがでしょうか。

三浦:やっぱりミニシアターの編成の方々は作品の目利き能力が本当にすごいなと思います。「この作品はうちの劇場に合いそう」とか、パッケージただけで「こういう宣伝の仕方ならうちのお客さんに足を運んでもらえそうだ」ということをしっかりと把握されているんですよね。しかもその予想が高確率で当たるんです!

脚本家を目指して、空手を始めた。

そもそもは脚本家を目指していたという三浦さん。そんな三浦さんがいつか叶えたいと語る、KADOKAWAにいるからこその大きな夢とは?

KIQ:そもそも、なぜギャガさんに就職しようと思われたのでしょうか。

三浦:もともとは脚本家になりたかったんです。でも脚本家で食べていくのは難しそうだったので、大学卒業後は普通に就職することにしたのですが、それでも映像業界に就職したらきっといろいろチャンスや機会もあるのではないかと。それで、テレビ局とか映画関連の企業を受けていく中で、ギャガに受かって入社したという経緯です。

KIQ:そうだったのですね。ちなみに、脚本家を目指そうと思ったきっかけは?

三浦:小説が好きだったこともあり、中学生くらいの時から漠然と脚本家になりたいなと思っていたのですが、中学3年生の時にBSテレビで仮面ライダーの石ノ森章太郎さんの特集を偶然見まして。そのときに、仮面ライダーって、こんなに面白いんだ!と改めてハマったことがきっかけで、自分も仮面ライダーの脚本をいつか描きたいと強く思うようになりました。

KIQ:仮面ライダーがきっかけだったんですね。

三浦:それ依頼、アクションを書くなら自分自身もアクションをできた方がいいだろうと思って空手を習い始めたりとか、大学でも脚本の書き方を学んだりしていたのですが、全然ダメで…。一応何本か商業向けに書いたことはあるのですが、本当にもう地下の地下の作品みたいな…(笑)なので、志はまだ途中という感じです…!

KIQ:脚本家になる夢は追いかけ途中なんですね。

三浦:一番かっこいいのは、弊社は副業OKなので、今の仕事を続けながらも書いた脚本が当たって、配給=KADOKAWAで劇場公開されることが1つの夢です!

後編では、コロナをきっかけにより顕著になった、“業界の二極化問題”について教えてもらった。さらに、三浦さんが営業をしていてよかったと感じる瞬間や、これまでで一番の思い出のエピソードについて語ってくれたことをお届けする。

【ENDROLL】「ミーハー気質が肝心!」株式会社KADOKAWA 三浦雅史さん ~後編~

 

 

【Information】


密輸 1970』7月12日(金)公開
『モガディシュ 脱出までの14日間』のリュ・スンワン監督が衝撃の実話から着想を得て作り上げた海洋クライム・アクション。
舞台は、1970年代の韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女さんチームが失職の危機に直面し、リーダーのジンスクは海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、親友チュンジャだけが現場から逃亡。その2年後、チュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかける…。巨額の金魂を巡り、騙し騙されの騙し騙されの大乱戦がはじまる!
監督:リュ・スンワン
出演:キム・ヘス、ヨム・ジョンア、チョ・インソン、パク・ジョンミン、キム・ジョンス ほか
© 2023 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K. All Rights Reserved.

 


Re:ゼロから始める異世界生活 劇場型悪意
ライトノベル MF文庫Jの大人気小説「Re:ゼロから始める異世界生活」のアニメーションシリーズ。
3rd season 2024年10月放送開始。
第1話90分SPを8/30(金)より全国劇場にて先行上映決定!
原作小説38巻は好評発売中。
声の出演:小林裕介、高橋李依、新井里美、岡本信彦 ほか
(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活3製作委員会

 


ヒットマン』9月13日(金)公開
『6才のボクが、大人になるまで。』を手がけたリチャード・リンクレイター監督の最新作。
プロの殺し屋を演じ70件以上を逮捕に導いた人物の実話を基にしたクライム・コメディ。
ニゲイリー・ジョンソンは、大学で勤務する傍ら、偽の殺し屋に扮し依頼殺人の捜査に協力していた。そんなある日、支配的な夫との生活に傷つき、追い詰められた女性・マディソンが、夫の殺害を依頼してきたことで、ゲイリーはモラルに反する領域に足を踏み入れてしまうことになる。
監督:リチャード・リンクレイター
出演:グレン・パウエル、アドリア・アルホナ、オースティン・アメリオ、レタ ほか
© 2023 ALL THE HITS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

 

【Back number】
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