業界人インタビュー
【ENDROLL】「好きを仕事にする癖」株式会社スキップ 石塚 元さん ~前編~
この業界、とにかく面白い人が多い。
そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!
今回は、エンタメコンテンツの宣伝プロデュースやパブリシティ、イベント企画・運営・実施、映画の配給・出資など幅広い事情を展開している株式会社スキップにて、『スイス・アーミー・マン』『MEG ザ・モンスター』『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)『ロスト・フライト』(2023)など、数々の作品のパブリシストとして活躍している、石塚元さんにインタビュー!
前編では、パブリシストとしてだけでなく、カメラマンとしての一面も持つ石塚さんに、学生時代にカメラに夢中になったエピソードから、格闘技イベントの運営、映画業界へのキャリアチェンジまで、その波乱万丈な経歴について聞いてみた。
【ENDROLL】「スキルの掛け算」株式会社スキップ 石塚 元さん ~後編~
“好き”を仕事にするタイプ
石塚さんがスキップに入社した経緯と、カメラマンも兼任するきっかけとなった作品とは?また、映画とドラマのパブリシティの違いについても教えてもらった。
KIQ:スキップさんにはどのくらいいらっしゃるんですか。
石塚:今8年目です、長いですね(笑)
KIQ:ずっとパブリシストをされているのですか。
石塚:そうですね、映画のパブリシティ(以下、パブ)をずっとやっています。最近は、「RoOT / ルート」(テレビ東京・ドラマチューズ!)というドラマのパブをやっていたのですが、うちでドラマの宣伝をやるのは初めてだったので結構新鮮でした。
KIQ:映画とドラマのパブはどんなことが異なるのですか。
石塚:映画の場合はどのテレビ局でも露出が可能ですが、テレビドラマはその局の作品なので、出せる媒体と出せない媒体がはっきりと決まっているという点で、映画よりかは宣伝の道がある程度決まっている感触でした。もちろん邦画の場合はテレビ局が制作に入っていることもあるので、同じようにある程度制限はかかりますが、ドラマのように全く出せないわけではないので。
KIQ:なるほど。そういった違いがあるのですね。
石塚:あと、業務で言うと時々カメラマンもやらせてもらっています。以前『ジョン・ウィック:パラベラム』のパブを弊社でやった時に、監督とキアヌ・リーブスが来日したんですが、その際に作品のオフィシャル写真(公式素材としてメディアに配布する撮りおろし写真)を僕が撮るという機会があったんです。それがきかっけで、今は時々Webメディア向けのちょっとした企画やイベントなどで撮影をさせていただいてます。
KIQ:パブリシストとカメラマンの二刀流って珍しいですね!そもそもスキップさんにはどういった経緯で入られたのですか。
石塚:スキップは2社目で、その前は4年半ぐらい撮影スタジオで働いていました。ロケアシスタント(ロケ撮影に同行するアシスタント)とかスタジオアシスタント(撮影スタジオにてカメラマンのアシスタントや、機材やスタジオの管理を行う)とかいろいろやった後に、有名なカメラマンのアシスタントについたんですけど、いろいろあり半年程度で辞めてしまって…(笑)次は、別の事を仕事にしてみたいなと思った時に、僕は好きなことは仕事にしてみるっていう変な癖があるので(笑)、今度はずっと好きだった映画を仕事にしてみようかなと。今振り返ったら、宣伝のことは本当に何も知らずに転職しました(笑)
KIQ:そういった経緯だったのですね。“好きなことを仕事にしてみる癖”って素敵ですね!
夜は専門学生、昼間は格闘技大会の運営!?
大学卒業後、さらに写真について学ぶべく夜間の専門学校に通っていた石塚さん。“好き”がきっかけで始めた昼間のアルバイトとは?
KIQ:映画業界に入る前はスタジオに勤められていたとのことですが、そこが新卒で就職された会社だったんですか。
石塚:そうですね。スタジオ時代は本当に色々な経験をしました。ロケアシスタントでは普段だったら入れないようなところに行ってライトを焚いたりとか、海外ロケだとアメリカのユタ州のソルトレイクシティというところにあるグレイト・ソルト・レイク(大塩湖)を撮影しに行ったりとか、モンゴルのゴビ砂漠にも行きましたね。
KIQ:すごい、いろんなエピソードがありそうですね!
石塚::そうですね、そこでだいぶ鍛えられましたね(笑)
KIQ:(笑)そもそも、カメラを始めたきっかけは?
石塚:上京し始めた頃に、なんとなく立ち寄った骨董品屋みたいなところに手頃な値段でキャノンの中古の一眼レフが売っていたので、ノリで買ってみたのがきっかけです(笑)でも、買ってみたはいいけど、どうしたらいいのかがわからなかったのでとりあえず大学の写真部に入ってみるか!という感じで入部したらハマりまして。
KIQ:じゃ、大学時代は結構写真に打ち込まれていたんですか。
石塚:はい。一応プロのカメラマンも何人か出しているちゃんとした部活だったので、その頃からOBの紹介でアシスタントをしていました。だから大学の単位は4年生でほぼとったくらい、授業に行くより写真漬けな日々でした(笑)
KIQ:相当ハマられていたんですね!
石塚:今でこそモノクロフィルムは1本1,500円くらいしますが、その時は400円ぐらいで買えたんです。現像からプリントまで全て自分でやっていたので、休日は撮影して、平日は大学の暗室に一日中こもっているみたいな生活をしてました。それで月に1回くらい無理やり写真展を開いたりとか(笑)
KIQ:へー!カメラのおもしさはどんなところですか?
石塚:カメラって、同じ機材を使っていても撮る人によって見るところが全然違うから、その人の目線が写真に出るじゃないですか。同じオートで撮ったとしても、この人はこう撮るけど、この人はこう撮るんだというように、それぞれの個性が出るところがおもしろいなと思います。
KIQ:なるほど。では、卒業後もカメラを続けたいと思ってスタジオに就職されたのですね。
石塚:いや、大学卒業後してからスタジオで働く前に、写真の専門学校に夜間で通っていたんです。
KIQ:あ、そうだったんですね!ちなみに、昼間は何をされていたんですか?
石塚:昼間は、元プロレスラーの前田日明さんが立ち上げた「THE・OUTSIDER」という格闘技大会の運営に携わっていました。「俺が一番強い!」と言っている全国の不良たちを集めて戦わせて、格闘技を通じて更生の機会を与えるといった大会なんです。
KIQ:そんな大会があったんですね!また写真とは随分異なりますが、それはどういった経緯で…?
石塚:タウンワークでチケット販売のアルバイトを募集しているのを見つけて、元々格闘技を見るのが好きだったので楽しそうだなーと思って(笑)チケット販売と言いつつ、実際は選手管理、パンフレット作成、チケット管理とか大会運営の全てをやっていましたが…(笑)
KIQ:お話を聞いてると、石塚さんはすごく多趣味ですよね。
石塚:そうですね。漫画も好きで今でも単行本をめっちゃ買っていますし、音楽も好きです。映画も本当に昔からジャンル問わず好きで、高校生の時はお小遣いをもらったら、ほぼ映画と中古のCDを買うのに充てていました。未だに寝る時間を削っても映画は観ています(笑)
KIQ:ズバリ好きな監督は?
石塚:一番好きなのはアルフレッド・ヒッチコック(代表作『裏窓』『めまい』『サイコ』)です。ヒッチコックだけはDVD BOXを持っています。あとは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(代表作『渦』『灼熱の魂』『DUNE/デューン 砂の惑星』)やペドロ・アルモドバル(代表作『「オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー」』)が好きです!
後編では、「映画宣伝は緩やかな衰退をしている」と語る石塚さんに、その訳と打開する方法について聞いてみた。また、石塚さんが今一番挑戦してみたい仕事は…?
【ENDROLL】「スキルの掛け算」株式会社スキップ 石塚 元さん ~後編~
【Information】
『映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!~』8月30日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
石原まこちんの人気コミックの実写化。佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史のフリーター3人組が、ただひたすらファミレスで会話を繰り広げるだけの脱力感あふれるシチュエーションコメディ!2005年に実写化第1弾がDVDリリースされてから、これまでの実写化シリーズの累計販売数は34万枚超え!
そして2024年。再び巨大スクリーンへカムバック!“SF(すごいファミレス)映画”の新たな金字塔が、今ここに誕生する――。
プロデュース&監督:森谷 雄
出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史、小林大介、桃月なしこ/安藤玉恵
配給:ポニーキャニオン
Ⓒ2024「THE3名様Ω」Partners ⒸMakochin Ishihara
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』10月4日(金)全国公開
A24が、史上最高の製作費を投じた本作。舞台は、連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー。
監督/脚本:アレックス・ガーランド
出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニ―
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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【Back number】
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