業界人インタビュー

【ENDROLL】「心地よい連携」株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 山田萌木さん ~前編~

2024-08-23更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

 

今回は、映画に限らず、ドラマ・アニメーション作品などの幅広い映像技術サービスを提供している、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスにて、デジタルシネマ営業グループで活躍する山田萌木さんに話を伺った。

前編では、予告編やPV(プロモーションビデオ)など、映像のポストプロダション(映像の技術的仕上げ作業)の営業を担当する山田さんに、日々の業務について詳しく聞いた。お客さんと技術者の間に立つ山田さんが、皆が気持ちよく仕事ができるように工夫していることとは?

誰もが納得の折衷案を出す!

山田さんが日々のスケジュール管理において、ミスが発生しないように最も意識していることは?また、緊張感のあるケースややりがいを感じる瞬間についても教えてもらった。

KIQ:初めに、山田さんのご担当されている業務について詳しく教えてください!

山田:私は予告編やテレビCMなど、作品の映像宣材のポストプロダクションに特化した営業を担当しています。案件として一番多いのは映画の予告編で、最近はアニメのPVやSPOTも増えてきています。作業の依頼をいただいた後は、私の方で作業するスタジオのスケジュール、スタッフのスケジュール管理や納品手配に加え料金交渉なども行っています。

KIQ:例えば、映画の予告編の場合は具体的にはどんな作業をされているのですか。

山田:うちではポストプロダクションのオンライン編集やダビング(音楽、効果音、セリフなどの音声を最終的に映像に組み合わせる工程)、グレーディング(映像の色調整や色補正を行う作業。映像全体の色バランス、コントラスト、明るさなどを調整する)を行い、完成後もマスタリング(映像・音楽制作における最終仕上げ。 主に、量産するためのマスターデータを作成すること)や、DCP(デジタルシネマパッケージの略。映画をデジタルフォーマットで劇場に配給するための標準形式)の作成なども行っています。

KIQ:ポストプロダクションの作業を全てされているのですね。予告編を含め、山田さんがやり取りするのはどういった方になるのでしょうか。

山田:映像ディレクターさんが多いです。時々、配給会社さんや宣伝会社さんからご連絡をいただくこともあります。

KIQ:そうすると、山田さんの業務としてはポストプロダクションなど、全ての工程の流れを把握しておく必要があるということでしょうか?それは慣れるまでかなり大変そうですね…!

山田:そうなんです…。全く知識がない状態で入社したので、今も日々勉強しながら業務に取り組んでいます。特に、 私が担当している短尺映像の場合は1日に複数案件のポストプロダクション作業を受注していることが多いので、そのあたりのスケジュール管理は混乱しがちです…。

KIQ:案件に対して、技術者の方のアサインも山田さんがされているのですか。

山田:はい。スケジュールを確認しながら、私はできるだけその作品が好きそうなスタッフをアサインするようにしています。あとは時々、ディレクターさんから、今回はこういう作品だから、この方が合いそうと指名をしてくださる場合もあります。タイトルワークやCGに強いエディターがいたり、音楽系に強いミキサーがいたりなど、やはりそれぞれに得意不得意があるので。

KIQ:技術職の方はイマジカさんの所属の方が多いのですか。

山田:そうですね、基本的には社内の技術者です。うちはカラリスト、エディター、ミキサーと全員が社内にいます。

KIQ:そうなのですね。これまでで特に印象に残っている案件などはありますか?

山田:先日、大作映画の予告編の編集の立ち会いに、予告編の監督とは別に、作品本編の監督がいらっしゃることがありました。その際に、グレーディングルームといって映像の色味を調整するための専用の部屋があるのですが、今回はそこでも映像を確認いただきつつ、作業をしていきました。そうやって、作品本編の監督に予告編のポストプロダクション作業を立ち会っていただくことは、なかなかなかったので緊張感がありました…!

KIQ:それはとても緊張しそうですね!ちなみに、作業をしていく中で予定より大幅に時間がかかってしまう場合もあると思うのですが、そうすると後のスケジュール調整が大変ではないでしょうか?

山田:そうなんです…!スタジオの編集やダビング作業は基本的に部屋の確保時間通りに進む前提でスケジュールを組んでいるため、予定より大幅に作業が延びてしてしまったときは、対応できる部屋やスタッフを急いで探さないといけないので、社内の色々な方に連絡を取りながら、作業中の案件とその後に入っている案件両方にご迷惑をおかけしないように、社内を早歩きで動いてます(笑)なので、そういったことができる限り発生しないように、実際の作業に入る前にしっかりヒアリングをしてからスケジューリングをすることが大事だと思っています。ヒアリングをしても、作業時間が読みづらく、当日の状況次第で動きがありそうな案件はご相談しつつ、1日の最後の時間をご案内するなどして調整しています。

KIQ:事前に詳細をしっかり聞いておくことが重要なんですね。

山田:はい。社内の技術スタッフにとっても、作業がはじまってみたら、思っていた作業内容と違ったというのは辛いと思うので、お客さんだけでなく、技術者たちも気持ちよく仕事ができるように意識しています。

KIQ:山田さんの役割はめちゃくちゃ重要ですね!とはいっても、場合によってはクライアントと技術者の方との板挟みになる場合もあるのではないでしょうか…?

山田:そうですね。例えば、時間もお金もかけられたらかけられただけもちろん良いものはできると思うのですが、実際はそれぞれ限りのある中で作り上げていくことが多いので、そこはお客様にご提案する前に技術者ともしっかり話をして、皆さんが一番納得するところを目指すように心がけています。

KIQ:双方の意見を聞いて、ベストな方法を見出されているのですね。日々の業務の中でやりがいを感じるのは、どんな時でしょうか。

山田:映画が好きというのは大前提としてありますが、この仕事でお会いする方々は、皆さんプロフェッショナルなので、そういった方々をサポートできることはすごく楽しいです。あとは完成した予告編を皆さんと試写室で見る時でしょうか。そこでやり直しになったりする場合もあるので緊張感もあるのですが、皆さんの思いが詰まったものを、うちで仕上げの工程をお手伝いさせていただいて予告編が完成するというのは、毎回やりがいを感じます。

 

後編では、山田さんが映画に携わる仕事を長年強く希望していた理由と、人生に影響を受けた父親の存在について伺った。さらに、学生時代に遡って、山田さんの素顔に迫ってみた!

 

【Back number】
第27 株式会社スキップ 石塚 元さん 「スキルの掛け算」
第27 株式会社スキップ 石塚 元さん 「好きを仕事にする癖」
第26回 株式会社KADOKAWA 三浦雅史さん「ミーハー気質が肝心!」 ~後編~
第26回 株式会社KADOKAWA 三浦雅史さん「夢を追い続けてー。」 ~前編~
第25回 通訳 大倉美子さん「世界へ届け!日本のIP」~後編~
第25回 通訳 大倉美子さん「訳すより解釈」~前編~

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる