業界人インタビュー

【ENDROLL】「黒子と個性」映画・音楽パーソナリティ 奥浜レイラさん ~前編~

2023-11-24更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

今回は、映画の舞台挨拶のMCやSUMMER SONICなどの音楽イベントのMCに加え、ラジオパーソナリティやライターなどマルチに活躍している奥浜レイラさんにインタビュー。

前編では、奥浜さんが映画業界でMCをやるようになった経緯について聞いてみた。また、舞台挨拶のMCで意識していることや大変なこと、トークを繰り広げるためのテクニックなどについて語ってくれた内容をお届けする。

 

★【ENDROLL】「十人十色の言葉」映画・音楽パーソナリティ 奥浜レイラさん ~後編~

 

初司会はしたコメ映画祭!

奥浜さんがエンタメ業界に入ったきっかけとMCに興味をもった理由について聞いてみた。すると、ちょっと意外な一面も見えてきた。

KIQ:今のメインのお仕事は?

奥浜:イベントのMCとラジオパーソナリティとライターです。ライターだと、映画のオフィシャライターとしてパンフレット用にキャストや監督にインタビューをしたり、寄稿文を書くこともあります。

KIQ:映画の舞台挨拶のMCだと、年間どのくらい出られているんですか。

奥浜:数えたことはないですけど、週7日の時もあれば、週3.4日の時もあって、その時々ですね。最近は体力的にあんまりしないようにはしていますが、1日で3か所ハシゴすることもあります。

KIQ:3か所⁉それぞれの雰囲気が大きく異なる作品だと大変そうですね。

奥浜:それは全然大丈夫です!現場に行けばその作品の感じに合ってくるので。それより移動で体力消耗した後に、3回目のMCをやる体力が残っているかの方が心配です(笑)

KIQ:(笑)そもそも奥浜さんがこの業界に入ったきっかけは?

奥浜:始めはタレントとしていろいろなオーディションを受けていたんですが、その流れで日テレアナウンス学院に通うようになり、そこから日本テレビの朝の情報番組で喋るようになったのが最初ですかね。

KIQ:そこから、映画業界のMCをやるようになったのは?

奥浜:テレビの後はラジオで音楽の番組をずっとやっていたんですけど、当時開催されていた「したまちコメディ映画祭(以降、したコメ)※」の総合プロデューサーのいとうせいこうさんやスタッフの方が私のTwitterを見てくださって「こんなに細かく映画のことを追っているなら、映画祭の司会をやってみませんか?」とお声がけいただきました。それで、したコメの司会をやることになったのが、映画のお仕事はこれが初めてでした。

KIQ:したコメって、あの浅草でやっていた?

奥浜:そうです! したコメって、ほとんど台本がないんですよ。こういうことを話してほしいというようなガイドラインはあったとしても、どんなふうにそのステージをを作っていくかは自分とゲストの方で決めなきゃいけなかったので、今振り返ると初めてにしてはだいぶハードルが高かったと思います(笑)でも、だからこそ鍛えられた気はするので、したコメが最初で良かったかなと。

KIQ:初のMCがほぼ台本なしって、かなりハードルが高いですね(笑)映画がお好きであれば、例えば女優という道もあったかと思いますが、なぜアナウンサーやMCに興味を持たれたのでしょうか。

奥浜:子供の頃から映画が好きでしたけど、演じることよりも、この映画をどう伝えたら人は興味を持ってくれるだろう考えることの方が好きだったんです。例えば、高校生の時は観た映画を友達に説明して「面白そうだね!」と興味を持ってもらえるのが一番嬉しかったんです。だから演じるとか創る側よりも、紹介する方が気質に合っていたというか、好きだなと思えたんですよね。

KIQ:きっと人と話すことがお好きなんですね。

奥浜:いや…(笑)

KIQ:え?(笑)

奥浜:MCをやっていると確かにそう思われますよね。でも私は映画を観てる方が好きで、暗闇に1人でいる方が好きなんですよ。だから基本的に人と喋るのはそんなに…(笑)この作品をどう伝えようっていうのは考えるんですけど、誰彼構わず人と喋りたいタイプではないかも。とはいえ人と関わりたくないわけではなく、人に関心はあるんですけどね。

KIQ:失礼ながらそれはちょっと意外でした!確かにMCは話し上手より、聞き上手の方が向いてるかもしれないですね。

※「したまちコメディ映画祭in台東」。通称「したコメ」。2008年から2017年まで東京都台東区で開催されていた映画祭。上野と浅草を舞台に、いとうせいこうが総合プロデュースを務めた。「コメディ」を芸能・文化・歴史など多角的な視点から多くの人に親しんでもらうことが目的。

MCとは、黒子だ。

業界人でも意外と知らない、舞台挨拶のMCのすごすぎるテクニックについて詳しく聞いてみた。また、奥浜さんがMCとして常に心掛けているのは“黒子”に徹することだという。

KIQ:MCをされている時って、今のコメントは記事の見出しになりそうだな、という感覚はあったりしますか?

奥浜:ありますね。あ、今3つぐらい見出しになりそうな話題が出たかな?でもこの方のコメントももうちょっと欲しいかな?みたいなことは、作品の話をしっかりお聴きするという大前提とともに考えながらやっています。

KIQ:すごい!

奥浜:あとは、役者さん同士の共演回数が多かったり、仲が良い役者さんが集まる舞台挨拶だと、2人の名前が記事の見出しに入ることで読んでくれる人もいるんだろうなとか。そう思うと、2人が話せるように水を向けたりすることもありますね。

KIQ:舞台挨拶の場合はやっぱり時間配分が一番大変なんですか?

奥浜:時間配分はどうにかなります!(笑)

KIQ:え、そうなんですか⁉(笑)

奥浜最近は本番前に台本を見ると、ここで時間が足りなくなるな大体わかるんです。極端に喋るとか喋らないという方がいない限りは。なので、事前の打ち合わせの時に、例えばここは回答者の人数を減らしましょうと宣伝プロデューサーの方と相談することができるので、、事前に準備ができる分それほど苦労はありません。

KIQ:事前の打ち合わせが重要なんですね。

奥浜:はい。なので一番大変なことは、完成した作品が全てだから、それ以上舞台上で話せることはないという考えの役者さんや監督喋ってもらうことかもしれません。そのお考えもすごく理解できるんですけど。

KIQ:なるほど、それは難しそうですね。そういう場合はどのように引き出すんですか。

奥浜:他の登壇者さんから、その方の俳優や監督としてのスタンスがわかるようなエピソードや共演した印象を聞いたりとか。そうすると、少しづつお話いただけるように思います。ケースバイケースですが。

KIQ:奥浜さん的にこういうMCでありたいみたいなものってあったりしますか。

奥浜:私は常に黒子の意識でステージに立っているんです。トークイベントのゲストとして呼んでいただいている時は別ですが、舞台挨拶のMCとしては私自身の個性は出そうとして出すべきではないと思っています。黒子でいながら、登壇する人たちの言葉を引き出すために、時々アクセントになる質問や言葉を加えていくのですが、そこにMCの個性が自然と現れると思うんです。

KIQ:MCの個性ですか?

奥浜:はい。相手に話をしていただくために、どんな質問の仕方をするか、どんな温度感でそこにいるかなどは自然にアジャストします。今日はこうしようみたいなのことは事前に決めすぎず、自分の感想や意見は、どこでどれぐらい出すかその場で見極めてるかもしれないですね

KIQ:それは舞台上で?

奥浜:はい。舞台上で私の感想が必要のない時は言わないですし、一方で、私が少し意見や感想を話すことによって、役者さんが話したいと思ってくれる可能性がある時はきっかけ作りをすることもあります。

KIQ:その見極めは経験を積まないと難しそうですね。

奥浜:あとは、30分しかない舞台挨拶で私の喋る分量はできるだけ少ない方がいいと思っているので、キーになる言葉もできるだけギュッと縮めて喋るようにしています。日本語って便利で、5行ぐらいになることも意味合いが少し足りないけれど2文字で表せたりするじゃないですか。そういう時はなるべく短い言葉の方を選ぶようにしています。

 

後編では、奥浜さんがMC・ライターとしてお客さんの感想投稿を見た時に思うことや、長年業界にいるからこそ感じる、業界が抱える問題点について熱く語ってくれたことをお届けする。

★【ENDROLL】「十人十色の言葉」映画・音楽パーソナリティ 奥浜レイラさん ~後編~

 

【Information】
12月8日公開『彼方の閃光』劇場パンフレットにて、眞栄田郷敦さんと半野嘉弘監督のインタビューを担当。
月刊誌『GINZA』カルチャーページで新譜レビューを執筆中。

 

【Back number】
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