業界人インタビュー

【ENDROLL】「止められない行動力。」Elles Films株式会社 粉川なつみさん ~後編~

2023-09-22更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

今回も、9月22日に公開されるウクライナ発アニメ映画ストールンプリンセス:キーウの王女とルスランの配給権を自腹で獲得し、同作を配給するために自ら配給会社まで設立した粉川なつみさんに伺った内容をお届けする。

後編では、粉川さんが業界を目指すきっかけとなった幼少期のある体験や、本作の配給が終わった後の計画について聞いてみた。

 

★【ENDROLL】「ポンコツ、だから無敵!」Elles Films株式会社 粉川なつみさん ~前編~

 

やりたいことに猪突猛進!!

粉川さんのポジティブさと行動力は一体いつからなのだろうか?幼少期の頃は映画の美術監督になりたかった!?

KIQ:声優キャストのブッキングや、予告やポスターを含む宣材を作成する作業などは、前職で結構経験されていたんですか。

粉川:一応経験はありましたが、配給会社には1年半しかいなかったので、あまり慣れてはいませんでした。でも、その頃から起業したいなというのはなんとなく思っていて、私だったらこうやるなとか、こうやったらうまくいくんじゃないかなとか、日頃からアンテナを高くして情報をキャッチしていたんです。なので、それが今になって役に立っているような気がしています。

KIQ:なるほど。

粉川:とはいえ、やらなきゃいけないことが同時に発生した時は想像以上に大変でした…。

KIQ:それでも、“なんとかなる!”とか、“とりあえず、やってみよう!”となれるポジティブ思考や行動力はいつから身につけているんですか?

粉川:ポジティブなのは昔からですが、「行動力があるね!」と言われるようになったのはこの映画を始めてからですかね。

KIQ:それは意外です!学生時代は何されていたんですか?

粉川:学生時代は遊び惚けていた気がします(笑)でも確かに当時からやりたいことがあったら、どんどん行動していたかもしれないですね。大学生の時は映画の美術監督になりたくて、大道具などをやっている会社に電話をかけて、アルバイトさせて欲しいと頼んで実際にやらせてもらったりとかしました。

KIQ:そもそもなぜ美術監督になりたいと思ったんですか。

粉川:幼稚園の時に人生で初めて劇場で観た映画が『ハリー・ポッター 賢者の石』だったんですけど、映画を観る前から、ずっと寝る前に母親に「ハリー・ポッター」の小説を読んでもらっていたんです。いろんなことを想像しながらそれを聞いていたんですけど、魔法の世界を初めて映画館で目にした時に、「わー!すごい!!」ってもう感激して!自分もこんな風に人を感動させるようなことをしてみたいなと漠然と思うようになりました。

KIQ:結構昔から映画作りに携わりたいと思っていたんですね。

粉川:そうだと思っていたんですけど、この間小学校の卒業文集を見たら、医者になりたいって書いてありましたね(笑)

KIQ:(笑)でも実際に美術の仕事には進まずに、宣伝を選んだのは?

粉川:実際にアルバイトで現場に行ってみたら、美術さんって、激務な上に撮影現場に最初に入って最後に帰るところとか想像以上に大変そうだなって思ってしまって…(苦笑) 一方で、その時ちょうど大学で映画ビジネスみたいなのを勉強していたので、大学の先生に宣伝会社を紹介してもらってインターンに行ってみたんです。そこで参加させてもらった映画のイベントが楽しかったので、そのまま宣伝会社に就職しました。

次はシンガポール映画!

最後に、今回の経験を通じて感じたこと、また、粉川さんのこれからのことについて聞いてみた。

KIQ:以前から、独立に興味があったと仰っていましたが、実際に独立してみて、やっぱり今の方がやりやすいなと感じますか?

粉川:そうですね、今はほぼ自分がやりたいと思ったことはできるという環境なので。前の会社も少人数だったので意見も遠慮なく言えるし、それを聞いてくれる環境ではあったんですけど、当たり前ですが、新人の意見って最終的に反映されるかどうかはわからないし、大きい作品だとなかなか自分の意見は反映されづらいじゃないですか。

KIQ:そうですね…。

粉川:だけど、今は宣伝プランとかも自分で決められるので、それは楽しいですね。例えば、今回はオンラインムビチケの購入特典を、プレミアムサイトにアクセスできるというものにしてみたんです。オンラインムビチケを購入するとキーコードが発行されるので、それを登録すると、限定サイトを閲覧できるというものです。これも恐らく前職では難しかったと思うので、そういうことができる自由さは楽しいです!

KIQ:特別感があっていいですね!ちなみに、それはどういったきっかけで思い浮かんだんですか。

粉川:主役のルスランを演じていただいたINIさんのコンサートに行ったときに、お客さんがすごい「わーっ!」て盛り上がっているのを見て、ここまで熱狂させられるのって音楽や生身の人間だからこそできることだなと思ったんです。そうしたら、アーティストが普段どんなことをしてファンを喜ばせているのかにすごい興味が湧いてきて!

KIQ:なるほど。

粉川:調べていく中でファンクラブが一つの手段としてあるなと思い、映画もファンクラブみたいなことができたら面白いなということで企画しました。

KIQ:そうだったんですね。話は変わりますが、何か今回の経験を通じて感じたこととかってありますか。

粉川:今回、いろいろなことに挑戦してみて、私はポスターもリリース作成も、企画書を作るのも何にも向いていなくて、多分自分は何か枠だけを作って誰かに投げるみたいなのが一番いいのかも(笑)と気づいたんです。その一方で、事務所さんとのやり取りやイベントの企画を考えるのは楽しかったりするので、そういう自分の向き不向きをたくさん見つけることができたことはすごくよかったなと思っています。

KIQ:自分の向き不向きを知るって、大事ですよね。

粉川:でも、それを26歳で決めていいのかっていう気持ちもあって。向いてないというよりかは苦手なだけだから、それを克服しないといけないのかなと思っています。だから、すごく苦手な英語を克服するために、来年フィリピンに留学に行くんです!がっつり勉強する予定なので、話せるようになって帰って来たいなと思っています!

KIQ:え、すごい!粉川さんならきっと目標を実現して帰って来られる気がします!
ちなみに、この作品のあと、留学に行くまでの間の予定は何か決まっていたりするんですか。

粉川:本作の後は、メカバース:少年とロボットというシンガポール発のロボットバトル映画を上映することが決まっています!配給委託という形なんですけど。

KIQ:本作とはまた作品の雰囲気がガラッと変わりますね。

粉川:そうなんです。メカバースは、シンガポールの監督が出資集めから美術まで!をほぼ自分で行い、11年かけて製作した狂気の映画です。会社のブランディングという意味でも、次はどんな作品を配給すれば良いんだろうと悩んでいたのですが、監督に11年間の壮絶な歩みを教えてもらい、映画より監督に感動したので、ぜひ一緒にお仕事させていただきたいと強く思ったんです。その後、会社のブランディングについて知人に相談したら「あなたの魅力は若くて行動力があるところなのだから、まずは何でもやってみたら?」と言われて、「確かに!!」と思って、ハングリーになんでもやってみることにしました(笑)

 

★【ENDROLL】「ポンコツ、だから無敵!」Elles Films株式会社 粉川なつみさん ~前編~

 

 

【Information】


『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』(9月22日(金)より公開)
騎士に憧れている役者ルスランと王女であるミラは、お互いの素性を知らぬまま出会い、やがて恋に落ちる。しかし、悪の魔法使いであるチェルノモールがミラを連れ去り、ミラの愛の力を自分の魔力に変えてしまう。ルスランは、愛するミラを助けるために旅に出るが、そこには多くの困難が待ち受けていた…。

 


メカバース:少年とロボット』(2023年11月17日公開予定)
シンガポール発の超大作ロボットバトルムービー。舞台は、人類が宇宙の謎を解き明かし、宇宙空間の自在な移動を可能にするゲート「ヘブンズ」が開発された時代。第二次宇宙戦争が勃発している中で、少年カイは地球を守るためにパイロットを志す。

 

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