業界人インタビュー

【ENDROLL】「競歩選手からクリエイターへ」イラストレーター/キャラクターデザイナー 北沢直樹さん ~前編~

2023-11-02更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

今回は、KIQ REPORTではお馴染みの、映画ファン7タイプのイメージキャラクターや、業界人(ぎょうかいんちゅ)オリジナルステッカー、そして、なによりも我らがKIQ REPORTのナビゲートキャラクター:きっくんを手掛けてくださったイラストレーター/キャラクターデザイナーの 北沢直樹さんに話を伺った。

北沢さんはアイドルやアーティストのキャラクター、グッズデザイン、「ONE PIECE」「攻殻機動隊S.A.C」などのデフォルメキャラクターデザイン、さらにはテレビ番組のコーナータイトルデザインなどを手掛けている。前編では、そんな北沢さんに、現在に至るまでの道のりや、人やキャラクターを描くうえでのこだわりについて聞いた内容をお届けする。

【ENDROLL】「AIと共に歩む未来」イラストレーター/キャラクターデザイナー 北沢直樹さん ~後編~

 

競歩選手からクリエイターへ

北沢さんがイラストレーターになったきっかけについて、子ども時代から遡って聞いてみた。

KIQ:どういった経緯でイラストレーターになられたんですか。

北沢:実は元々大学まではずっとスポーツをやっていたんです。

KIQ:スポーツは何をされていたんですか。

北沢:中学校時代はサッカー部だったのですが、借り出されて駅伝大会みたいのに出たらまあまあ成績がよかったので、長距離のスポーツ推薦で高校に入ったんですけど、元々ガチで長距離をやってきた人たちには全然体力が追い付かなくて。それで競歩をやってと言われて、今度は仕方なく競歩をやり始めました(笑)

KIQ:そうだったんですね(笑)

北沢:それでも一応競歩で長野県1位になったので、大学もスポーツ推薦で行き、競歩を続けていたんですが飽きて来てしまって…。それで、ちょっとパラパラ(1980年代半ばに日本で発祥したユーロビートを中心としたダンスミュージックにつけられるダンスの一種)とかやり始めて…

KIQ:え?長野県1位もすごいですが、パラパラも気になります(笑)

北沢:いわゆる夜のクラブにハマって(笑)大学にほぼ行かなくなったんですけど、途中で気づくわけですね、こんなんじゃよくないなって。で、もっとちゃんとやりたいことをやろうと思っていろいろ考えていた時に、偶然デジタルハリウッドの広告を見かけて。そこに、デザインの専門知識やデッサン力がなくても、3Dデザイナーの勉強をすれば誰でもクリエイターになれるって書いてあったので「あ、なれるんだ、なりたい!」と思って(笑)、デジハリに行くことを決めました。

KIQ:元々絵とかクリエイティブなものに興味があったんですか。

北沢:大学を決める時にも美大や専門学校に興味はあったんですよね。ただそれは本格的に勉強した人しか入れないところ、という決めつけみたいなものがありました。厳しい家庭だったのでファミコンとか買ってもらえず、ノートに自分でスーパーマリオやビックリマン、ドラゴンボールとかを書いたり、トレーシングペーパーで写したりとかしてました。

KIQ:昔から絵を描くことがお好きだったんですね。そこからイラストレ―ターへは?

北沢:デジハリで3Dデザイナーの勉強をし始めたんですけど、当時の3Dソフトが全部英語だったりと、難しかったんですよね。一方で、Photoshopとかを学べる授業の方が楽しくなって、イラストレーターの道にどんどん進んでいったって感じですかね。

KIQ:3Dってやっぱり大変なんですね。デジハリを卒業した後は?

北沢:株式会社ポリゴン・ピクチュアズという会社に就職しました。古くはイワトビペンギンでおなじみの「ROCKY×HOPPER」、近年では「シドニアの騎士」や「BLAME!」、「大雪海のカイナ」など。世界的にも有名な日本屈指のCGスタジオです。そこで「デジタル所さん」(日本テレビ系。2000年10月~2001年9月放送 全245話)という深夜に放送していたアニメがあって、僕はそれの背景の部分などのテクスチャーを担当していました。

KIQ:へー!どれくらい勤められていたんですか。

北沢:3年ぐらいですかね。退職してからはフリーになって似顔絵とかキャラクターのイラストを描いたりしていました。それから、デザイン事務所FURIKAKE PRODUCTSを設立し、今に至るという感じです。

KIQ:そういった経緯だったんですね。独立して仕事の幅を広げようと思ったきっかけが何かあったんですか。

北沢:あるタレントさんのキャラクターデザインをコンペで獲得することができて、それが結構大きかったかもしれないですね。自信になったというか、やっていけるかもなっていうのはありましたね。

人柄を知らずして描けない

アーティストやアイドルのキャラクターなども多く手掛ける北沢さんが、似顔絵を描く前に欠かさずに行っていることがあるという。そこには北沢さんの絵が魅力的な理由が潜んでいた。

KIQ:どんな企業さんからの依頼が多いんですか。

北沢:今はいろんなアーティストさんや、キャラクターグッズの会社さんなどからの依頼が多いですかね。アーティストさんはライブのグッズなどいろいろデザインさせていただいてます。

KIQ:アーティストさんの似顔絵を描く時に工夫していることなどありますか。

北沢:アーティストさんに限らず似顔絵を描く時は、その方の素敵だなと思うところを強調して書くようにしています。あと、僕はその方のことをよく知らないと描けないので、その方の好きなものとか、どういう人なのかはちゃんとリサーチしたうえで描くようにしているんです。

KIQ:それは知らなかったです!北沢さんの絵にはその人の人柄も反映されているのですね。他のイラストレーターさんも割とそういったことをされているのでしょうか?

北沢:どうなんですかね、これはもしかしたら僕のこだわりかもしれないです。なのでアーティストさんの依頼を受けたらその方の音楽を聴きますし、あと「攻殻機動隊 S.A.C」をデフォルメする仕事をいただいた時には作品を全部見直しました。そっちの方がファンの方たちにも失礼がないようにできる気がするんです。ちゃんと愛をもってやっていくというか。

KIQ:ファンの方にはそういうものはきっと伝わりますよね。

北沢:はい、なのでファンの方がSNSなどで「今回のグッズ良い!」って書いてくれてたりするのを見ると、やっぱり嬉しいですね。

KIQ:それは嬉しいですね。北沢さんはすごく楽しんでお仕事されている印象ですが、もうやってられないなーみたいなことはないんですか?(笑)

北沢:どの仕事も結構大変ですけどね(笑)絵を描いてお金をもらう以上は適当にするのは嫌なので。

KIQ:それでも続けられている理由ややりがいは?

北沢描いたものがいろんな人に届いているとやっぱり嬉しいですし、あと普通はタレントさんに見ていただけるようなグッズって作れないと思うので、それもやりがいです。タレントさんを描いたイラストが公式SNSなどで紹介されるとご本人が反応してくれたりして、本人まで届いた!って。

KIQ:やりがいがあるって素敵ですね!

北沢:僕はテレビとか映像の仕事が好きなので、そういう仕事は頂けると嬉しいです。

KIQ:元からアニメとか映画がお好きなんですか。

北沢:アニメも映画も昔から好きですね。昔は単館系ばっかり好きみたいな時期もありましたね、中2病みたいでお恥ずかしいんですけど。それこそ『鮫肌男と桃尻女』(1999)とか。

KIQ:懐かしいですね!

北沢:浅野忠信さんが出演している映画は全部観るみたいな。岩井俊二監督の映画も好きでよく観ていました。

KIQ:それを観ているとおしゃれ!っていう時代がありましたね。今は、映画に関わるお仕事だと、どんなことをされているんですか。

北沢:以前、映画のSNS運用を担当している方と出会ったことをきっかけに、映画業界とは本編で何かをやるというよりは、プロモーションの方でよくお手伝いさせていただいています。例えば、グッズなどに入れる作品を表すマークをデザインしたり、SNSで使用する画像を作ったりとか。

KIQ:そういったこともされているんですね。

 

後編(11/10掲載予定)では、きっくんが生まれるまでの過程について聞いてみた。また、生成AIが登場してきたなかで、北沢さんが考えるイラストレーターの未来とは?

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