業界人インタビュー
【ENDROLL】「AIと共に歩む未来」イラストレーター/キャラクターデザイナー 北沢直樹さん ~後編~
この業界、とにかく面白い人が多い。
そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!
今回は、KIQ REPORTではお馴染みの、映画ファン7タイプのイメージキャラクターや、業界人(ぎょうかいんちゅ)オリジナルステッカー、そして、なによりも我らがKIQ REPORTのナビゲートキャラクター:きっくんを手掛けてくださったイラストレーター/キャラクターデザイナーの 北沢直樹さんに話を伺った。
北沢さんはアイドルやアーティストのキャラクター、グッズデザイン、「ONE PIECE」「攻殻機動隊S.A.C」などのデフォルメキャラクターデザイン、さらにはテレビ番組のコーナータイトルデザインなどを手掛けている。前編では、そんな北沢さんに、現在に至るまでの道のりや、人やキャラクターを描くうえでのこだわりについて聞いた内容をお届けする。
【ENDROLL】「競歩選手からクリエイターへ」イラストレーター/キャラクターデザイナー 北沢直樹さん ~前編~
きっくんが生まれるまで
今や本サイトではすっかりのお馴染みのきっくん。ゼロからオリジナルキャラクターを生み出す場合の工程について、きっくんを元に教えてもらった。また、デザインについて北沢さんに影響を与えた人物とは?
KIQ:アーティストさんとかのキャラクターだとベースがあると思いますが、一方で、きっくんみたいに、“ラーメンとスイーツが好きで、ブルース・リーに憧れているキャラクター”のようなふわっとした依頼の場合は、どのようにアイディアを生み出していくんですか?
北沢:初めに、きっとこういうことなんだろうなっていう案をいくつか提示して、それから何度か依頼者の方とやり取りさせていただいて徐々に出来上がっていくというか。例えば、きっくんの場合は第1印象がわかりやすい方がいいなと思って、『キル・ビル』(2003)の黄色いスーツっぽい格好にして、ポーズはブルース・リーっぼくさせてみたんです。
KIQ:そうやってイメージを膨らませていくんですね!あと、きっくんはこのちょんってしている髪の毛が本当に秀逸だなと思って(笑)
北沢:最初はもっとちゃんと髪の毛があったんですよ。そこから何度か変わっていって、だんだんとちょんとしてきましたね(笑)
KIQ:最初ってこんなに髪の毛ありましたっけ?(笑)あと表情もいろんなパターンを考えてくださいましたよね。最終的に現在の素敵な感じに仕上がったのは完全に北沢さんのセンスだと思いますが、こういうのは降りてくるものなのですか?
北沢:降りて来ちゃうんですよね~(笑)
KIQ:さすがです! (笑)
北沢:とにかく手を動かして、その中でイメージを膨らませたり固めたりしていく感じです。
KIQ:ちなみに、北沢さんのイラストはどれも明るい色合いで見ていると元気をもらえるのですが、色のセンスってどうやったら身に付けられるんですか。個人的な相談ですが、このサイトのサムネイルなどを作る時、配色にすごく迷うんです…。
北沢:それであれば僕も普段仕事で愛用している“Adobe Express”という生成AIも入っていて、動画や画像も簡単に作れるツールがおすすめです!既にいくつか色のパターンが用意されてるので、そこから選ぶだけなんですよ。
KIQ:そんな便利なものがあるんですね!
北沢:ぜひ使ってみてください!でも、色って難しいですよね。僕はそれこそ好きなイラストレーターさんとかの配色を参考にしたりしますね。なので、好きなInstagramの投稿でもいいですし、この色かわいいなと思ったらそれをスクショして、同じような色を使ってみるとかでもいいと思います。自分でゼロから考えようとするから難しく感じるんですよね。自分がいいなと思う世の中にあるデザインを参考にするところから始めると、デザインのコツがわかってくると思います。
KIQ:なるほど、自分がいいなと思うものを参考にすればいいんですね。
北沢:サムネイルだからって、サムネイルを参考にする必要は全然なくて、例えばネイルが好きな人はネイルで気に入った色とか、日常で感じた好きな色でいいと思います。
KIQ:その発想はなかったです…!ちなみに、北沢さんがデザインに関して影響を受けた人っているんですか。
北沢:子供の時から「ゲゲゲの鬼太郎」とか水木しげるさんすごく好きで。あと、昔は映画を見たらいつか何かの参考になると思って必ずパンフレットを買っていたんです。『マーズ・アタック!』(1996)などティム・バートンからも結構影響を受けましたね。
KIQ:ティム・バートンって個性的な世界観が素敵ですよね。北沢さんの作品をみると、明るくて前向きで素敵な方だというのが伝わってきますし、今のところ北沢さんから陽の部分しか感じられないのですが、陰の部分はあるんですか?(笑)
北沢:この帽子をぬいだら陰になりますよ(笑)
AIは可能性に満ちたアシスタント
昨今話題になっている生成AI。その存在は脅威になり得るかと思いきや、北沢さんはAIをうまく利用することで生まれる可能性に期待を抱いているようだ。
KIQ:デジタルの発展によって大きく働き方が変わったなと感じることって最近あったりしますか。
北沢:やっぱり生成AIによって今後絶対何か変わっていくだろうなとは思いますね。
KIQ:生成AIって、北沢さんのお仕事を奪うものになる可能性がやっぱりあるんですか?
北沢:よく話題になるものですね。僕自身は全然そんなことはないと思います。漫画家さんでいうアシスタントさんみたいにうまく使っていけばいいと思います。例えばむしろ自分の特徴を覚えさせて、キーワードを打ったら自分っぽい画が出てくるとか、背景はAIに描いてもらうとかっていうことも使い道としてはありかなと。あとは、頭の中にはこういうものを作りたいというイメージがあったとしても、自分ではうまく作れなかったりするじゃないですか。これまではその画をどうしても描きたかったら、誰か別の方に頼んでアートディレクションするとかってしてましたけど、今だったらもうAIで可能なのかなと思うので。
KIQ:なるほど、そういった使い方があるのですね。
北沢:あとは、切磋琢磨するじゃないですけど、AIに負けないように、自分のテイストを確立していけばいいと思いますね。なので、全然奪われるってことはないんじゃないですかね。今はiPhoneのカメラで誰でも写真が撮れますけどカメラマンはやっぱり必要ですし、それと同じなのかなと。
KIQ:そういわれるとAIは脅威というより、可能性を広げてくれるものという感じがしてきました。
北沢:もちろん、モラルの問題は気を付けないといけないと思いますが、それさえ考慮すれば今までよりも幅が広がっていって良いと思うんですよね、僕は。
KIQ:そういった中で、北沢さんの今後の展望は?
北沢:オリジナルキャラクターはまだまだ作っていきたいですね。ストーリー込みで、漫画やキャラクターを作って、人気を取れるコンテンツになればいいなというのは目標としてあります。
KIQ:北沢さんが作成するコンテンツ見てみたいです!あと、Adobeを教える先生をやられているって聞いたんですが…。
北沢:はい、オンラインスクールでAdobe Expressを一番下は小学生から教えています。
KIQ:今って小学生も学ぶ時代なんですね!
北沢:1回目でもうみんな使いこなしてますよ。ポスターや動画、Webページも作ります。
KIQ:へー!小学生に教える面白さはどんなところですか。
北沢:子どもって自分たちでは考えられないようなもの作り出してくるので、それはやっぱりすごく面白いです。子どもの頃からこういったものに触れておくと、就職する際にも役立つというか、そういったことに対する苦手意識もなくなると思うので、良いと思いますね。
【ENDROLL】「競歩選手からクリエイターへ」イラストレーター/キャラクターデザイナー 北沢直樹さん ~前編~
【Back number】
第14回 Bela Film代表 宇津野達哉さん「経験が血となる。」 ~後編~
第14回 Bela Film代表 宇津野達哉さん「映画に、生きる。」 ~前編~
第13回 Elles Films株式会社 粉川なつみさん「止められない行動力。」 ~後編~
第13回 Elles Films株式会社 粉川なつみさん「ポンコツ、だから無敵!」 ~前編~
第12回 WEBディレクター齋藤舞さん「大仁田厚 電流デスマッチ」 ~後編~
第12回 WEBディレクター齋藤舞さん 「エンタメ中毒ハマり症。」 ~前編~
COMMENT
コメントをするにはログインが必要です。不明なエラーが発生しました