プロが見たこの映画

ファッションのプロが語る「『タクシードライバー』をファッション的に観る」

2022-10-19更新

映画好きって完全に偏見だが、他のどの界隈よりもマウントを取る人が多い気がしている。
例えば〇〇って映画が好き!というと、あれは〇〇監督の〇〇年に撮った〇〇って作品のオマージュだよね、という具合に聞いてもいない知識をひけらかしてくるのだ(これは私が実際に遭遇した恐ろしい実話である)。
だから何となく映画好きを匂わせている人に好きな映画を問われるとものすごい緊張が走るし、映画が好きです、と言いづらい空気感みたいなものがずっと存在している気がするのだ。でもたった1本でも心が踊るような映画に出会えたら、あなたはもう映画好きと名乗っていい。それが『クレヨンしんちゃん』であっても『ホーリー・マウンテン』であっても、どちらも等しく同じ映画なのだから。

と前置きが長くなったが、私は映画好きを公言しているわりにいわゆる有名な作品を観ていなかったりする。例えば、『パルプ・フィクション』や『スター・ウォーズ』などだ。その中に含まれていた1作である『タクシードライバー』を先日ようやく鑑賞した。

『タクシードライバー』といえば、2019年に公開された『ジョーカー』が影響を受けた作品の1つとして紹介されることも多いが、変に尖っていた私はあえて観るのを避けてきて結果このタイミングでの鑑賞となった。結果としてめちゃくちゃ面白い上に、やっぱり1976年公開の映画ということもありトラヴィスこと主演のロバート・デ・ニーロはもちろんだが、注目すべきはシビル・シェパードが演じたベッツィーのスタイリングだ。

トラヴィスと初めて二人で出かけた際に、べッツィーが着ていたワンピースが可愛すぎてつい釘付けになってしまった。あんなワンピースを着た美女とデートができるなんて(デートの結果としては映画史上最悪だったが)トラヴィスが心底羨ましい‥。

トラヴィスの周辺に現れる女性は美女ばかりで、ジョディ・フォスターが演じたアイリスものスタイリングもまた、たまらなく可愛いのだ。特にトーストを食べているシーンでおもちゃのような緑色のメガネをかけていたのが印象的だった。

もうすぐハロウィンも近いので、モヒカンに刈り上げてM65のミリタリージャケットを着て、ジョーカーでもなく、ハーレークイーンでもなく、トラヴィスの仮装をするのが1番かっこいいと思う。ただ、街で見かけたらかなりの恐怖ではあるが…。

やはり、王道映画は当然ながらカッコよくて面白い、今まで尖って避けてきたことを後悔しているので次はチェンソーマンのOPパロディにも使われている『パルプ・フィクション』を観てスタイリングを楽しもうと思う。

 

映画ファッションマニア つみき

 


『タクシードライバー
(1976)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスターほか

 

【このプロの記事を読む】
ファッションのプロが語る「洋画に登場する“誰が着るんだよTシャツ”で残暑を乗り切る」
ファッションのプロが語る「年代を装い表現する映画」
ファッションのプロが語る「目で見えないものは”服”で表現することもできる」

【ほかのプロの記事も読む】
宣伝のプロが語る「他に類を見ない、無敵の価値観の創造」
オンライン番組ディレクターが語る「アメコミ初心者必見! マーベルとDCコミックスの違い」
SNS担当者が語る「巻き込む力の大切さを実感させられた“私の物語”」

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる