日本の夏は長すぎる。9月になったらパタっと気温が下がってロンT一枚で過ごしたいところなのに、半袖でも晴れている日は汗ばむくらいの日々に正直もう嫌気が差している。大体5月くらいから半袖シーズンが始まるので、仮に30枚Tシャツを持っていたとしても、それを最低でも3クール回さないと夏が終わらないなんてどうかしてると思う。

そんな長い夏を乗り切る為にも私たちにはたくさんのTシャツが必要だ。Tシャツはたくさんあっても困らない。なぜなら秋はジャケットの下に仕込めるし、冬はスウェットのインナーに着ることができるし、クッタクタに着倒したお気に入りの年季入りTシャツは部屋着にしてしまえばいいのだから。

そんな愛すべきTシャツがたくさん登場する映画といえば『ナポレオン・ダイナマイト』をオススメする。

映画を代表するキーアイテムでもあるVOTE FOR PEDROのラグランTシャツはあまりにも有名だが、主人公ナポレオンが日々着用している、激ダサなのにクセになるTシャツにぜひ注目していただきたい。

どこで見つけてきたんだよ、というよりも、もはやこのデザインでTシャツを作ろうとした人がいることが不思議でたまらないほど気持ち悪いTシャツの数々をナポレオンは何食わぬ顔で着ている。このシュールさがたまらなく、ダサいを通り越してこれも1つのファッションの在り方なのかもと思えてくるのがすごいところだ。

皆様も一度は訪れたことがあるであろう古着屋で、これ誰が着るんだよ、みたいなTシャツを見かけたことがあると思うのだが、そういうTシャツをナポレオンは着ている。しかも毎日きちんと変わっていくTシャツの全てが“誰が着るんだよTシャツ”なのだ。

こうなってくると私も誰が着るんだよTシャツが欲しい！と物欲を引っ提げて意気揚々と古着屋を訪れると、絶対誰も買わないはずなのになかなか出会えなかったりするのでいつまで経っても手に入れることが出来ずにいる。もしかしたら私みたいな人が実はいっぱいいて、今や誰しもが着たいTシャツに昇格しているのだろうか…。

『ナポレオン・ダイナマイト』に限らず、特に洋画のコメディ映画はふざけ倒したTシャツを着がちなので（『ハング・オーバー』のアランとか）ぜひ映画を観て残暑を乗り切るお気に入りのTシャツを見つけてもらえればと思う。

映画ファッションマニア　つみき

『ナポレオン・ダイナマイト』（2004）
監督：ジャレッド・ヘス
出演：ジョン・ヘダー、エフレン・ラミレッツ、ジョン・グライスほか

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