プロが見たこの映画

【完全ガイド】『プレデター:バッドランド』公開記念!密林から都市、そして異星へ――進化を続ける“狩人”の軌跡!NEW

2025-11-13更新

密林の闇、灼熱の都市、見知らぬ惑星、そして300年前の北米――舞台を変えながら、“対等な相手と戦う”という掟だけは一貫してきた。それが〈プレデター〉という存在だ。最新作『プレデター:バッドランド』は、その掟をついに“狩る側の視点”で見つめ直す。マスク越しの視界、戦利品にこめられた意味、獲物の選び方――これまで外から眺めてきた作法が、内側の論理として立ち上がる。

本稿では公開記念として、シリーズを第1作から順に振り返る(クロスオーバー作品も収録)。それぞれの作品が何を受け継ぎ、どこを更新してきたのかを確認しながら、『バッドランド』へつながる道筋をはっきりさせたい!

『プレデター』(1987年)
ジャングルの奥で展開する、エイリアンとコマンド部隊との死闘

南米のジャングルに派遣されたダッチ率いるコマンド部隊が、姿の見えない敵に追い詰められていく。任務は要人救出だったはずが、相手は熱源で獲物を捉え、体表を偽装する“宇宙の狩人”。ミリタリー・アクションとして始まり、サバイバルを経て、最後は装備を捨てての一騎打ちへ。シリーズの核である「対等な相手と戦う」「戦利品を持ち帰る」といった掟がここで明確になり、以降の解釈の土台になる。密林の湿度、チームが一人ずつ削られていくテンポ、ヘルメット越しの視界など、要素はシンプルだが強靭。シュワルツェネッガーの肉体と知恵で押し切る終盤は、原点にふさわしいカタルシスがある。

キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、カール・ウェザース、ジェシー・ベンチュラ、ビル・デューク
監督:ジョン・マクティアナン

『プレデター2』(1990年)
再び残忍なエイリアンが襲来! 今度はロサンゼルスが殺戮の舞台と化す!

舞台はロサンゼルス。猛暑、犯罪、多国籍ギャングの抗争で混迷する都市に、“第三の存在”が割り込む。密林の木々の代わりに高層ビル、地下鉄、空調ダクトが迷宮となり、日常の導線がそのまま狩場に変わる。刑事ガント(ダニー・グローヴァー)が追うのは、人間の犯行には見えない残虐な事件の連鎖。相手は前作より多彩な武器を備えた新型で、追跡劇は屋外からビル内部、終盤は“彼らの船”へと拡大する。展示のように並ぶ戦利品は、プレデターの来訪史と価値観を示し、ユニバースの広がりを感じさせる。都市型スリラーとしても手堅い一本。

キャスト:ダニー・グローヴァー、ゲイリー・ビューシー、ルーベン・ブラデス
監督:スティーヴン・ホプキンス

『プレデターズ』(2010年)
異星の狩猟惑星で、“選ばれし獲物”たちの生存競争!

気がつけば空から落ちていた――目を覚ますと、周囲には傭兵、死刑囚、特殊工作員など“戦闘のエキスパート”ばかり。ここは地球ではなく、プレデターが用意した私設ハンティング・リザーブだった。互いを信用できない寄せ集めが、罠と追跡の応酬の中で少しずつ連携していく構図は、サバイバル群像として見応え十分。さらに、装備・体格・流儀の異なる“派閥”の存在が示され、狩人側が一枚岩ではないことも見えてくる。ロイス(エイドリアン・ブロディ)の現実的で冷徹な判断と、狩りのルールを逆手に取る作戦が気持ちよくハマる。舞台転換でシリーズの地平を広げた中興作。

キャスト:エイドリアン・ブロディ、ローレンス・フィッシュバーン、アリシー・ブラガ、トファー・グレイス
監督:ニムロッド・アーントル

『ザ・プレデター』(2018年)
異種交配でDNAレベルで進化したプレデターが地球襲来! 

宇宙最凶のハンターが再来。傭兵クインの息子が起動してしまった装置を発端に、政府の思惑とプレデター同士の衝突が交錯する。異種交配で進化した個体に加え、巨大で凶悪な“究極”も出現。シリーズのキーである掟と誇りに対し、“効率と優位”を追う発想が持ち込まれるため、価値観の食い違いが物語の推進力になる。ヘルメットや装備が“情報端末”として機能する描写が進み、科学寄りの色合いが濃い。テンポ重視のアクションとチームの掛け合いも相まって、実験色の強い一本に仕上がった。

キャスト:ボイド・ホルブルック、オリヴィア・マン、ジェイコブ・トレンブレイ、トレヴァンテ・ローズ、スターリング・K・ブラウン
監督:シェーン・ブラック

『プレデター:ザ・プレイ』(2022年)
狩るか、狩られるか――300年前、コマンチ族の若き戦士が“格上”に挑む!

時代は18世紀、北米の大地。コマンチの若き戦士ナルは、銃火器に頼れない環境で、観察と追跡、地の利と工夫で巨大な捕食者に挑む。文化の描写がきちんと土台になっているため、罠作りのロジックや決断の積み重ねに説得力がある。前日譚に近い時代設定で“対等”の意味を改めて浮き彫りにし、武器の優劣ではなく「戦い方の選択」で勝敗が変わることを示す。小さな発見の連続で緊張を持続させ、クライマックスはシンプルに熱い。シリーズを初めて観る入口としても有効。

キャスト:アンバー・ミッドサンダー、ダコタ・ビーヴァーズ、ストーミー・キップ、デイン・ディリーグロ
監督:ダン・トラクテンバーグ

『プレデター:最凶頂上決戦』(2025年/アニメ)
時代と国を横断!アンソロジーで“狩りの掟”を見直す
シリーズ初のアニメーション。時代や国を横断するアンソロジー形式で、人類とプレデターの対決を複数のスタイルで描く。各篇ごとに画のタッチやアクション設計を変えることで、同じ“掟”が状況次第でどう姿を変えるかが見えてくる構成。『2』で匂わされた長い来訪史や、『ザ・プレイ』の前史感を視覚的に整理する役割も期待できる。

『エイリアンVS.プレデター』(2004年)
全世界が待ち望んだ“映画史上最凶・最悪の対決”!
人工衛星が南極の氷床下から異常な熱源を検知。調査に向かったチームが見つけたのは、複数文明の様式が混在する巨大ピラミッドだった。そこは若きプレデターが“究極の獲物”エイリアンと戦い、戦士としての試練を受ける儀式の場。人間側は二大モンスターの死闘に巻き込まれていく。考古学ミステリとバトルの合わせ技で、プレデターの“宗教的側面”が立ち上がる。

キャスト:サナ・レイサン、ラウル・ボヴァ、ランス・ヘンリクセン、ユエン・ブレムナー、コリン・サーモン
監督・脚本/ポール・W・S・アンダーソン

『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』(2007年)
新種降臨。プレデリアン誕生。前作の衝撃的ラストは終わりではなく、始まりだった……。

前作直後。プレデターの宇宙船で“プレデリアン”が誕生し暴走、船は米国の郊外へ墜落。街へ拡散したエイリアンを抑えるため、証拠を残さずに片付けることを任務とする“クリーナー”が到来する。市街戦のスケールで描かれるため、人間の被害と判断の難しさがじわりと効く。痕跡を消し去るというもう一つの掟が前面化し、プレデター側の合理主義がよく見える。

キャスト:スティーヴン・パスカル、レイコ・エイルスワース、ジョン・オーティス、ジョニー・ルイス
監督:ザ・ブラザーズ・ストラウス

原点の密林、都市、異星、そして過去へ。舞台が変わっても、“対等に向き合う”という軸は生き続けてきた。
『バッドランド』はその軸を、ついに狩る側の内側から描く。掟は守られるのか、更新されるのか。
まずは第1作から順に見直して、自分なりの“狩りのルール”を持って臨みたい。

 

『プレデター:バッドランド』
2025年11月7日(金) 全国ロードショー

原題:『Predator: Badlands』
監督:ダン・トラクテンバーグ
キャスト:エル・ファニング
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

【完全ガイド】復讐と銃弾の連鎖 「ジョン・ウィック」ユニバース 完全ストーリーガイド
【完全ガイド】スーパーマン実写化のすべて! 映画&ドラマで総ざらいする“鋼鉄の男”の系譜
【完全ガイド】『ハリー・ポッター』 “選ばれし者”の軌跡、全8作を振り返る!

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる