調査レポート
コロナ後の映画ヒットの法則を徹底調査!~スタイル別7タイプの映画ファンの動向~
7-8月にKIQ REPORTでは「映画ファン徹底調査」と称し、「映画ファン」を趣味・嗜好・考え方などで7タイプに分類しました。今回はコロナ禍のヒット作品にこの7タイプの映画ファンがどのように貢献していたのか、編集部の考察をご紹介します。
はじめに7タイプの映画ファンの概要は下記の通りです。
Case1☛ 『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』 |
まずは昨年2020年10月に封切られ、日本歴代興行収入第一位を達成した『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』のヒットの流れを見ていきます。
(参考:「JAGAT日本印刷技術協会【コラム】鬼滅の刃はなぜ売れたのか」より https://www.jagat.or.jp/archives/81534)
~『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』ヒットの経緯~
初めにアニメ「鬼滅の刃」が、2019年4月から放送された。
この一連の流れをスタイル別7タイプの映画ファン層に当てはめてみます。
この7タイプ分析から考察するとこの特大ヒットは、「エンタメエリート層」の発信力と、自粛期間中に流行を追いかける「高感度リア充層」、公開後にヒット作を追う「ゆるふわ層」の動員で成せた出来事と推測できます。
ちなみに本作の観客動員数は2869万人(5月24時点)。上記図の「エンタメエリート層」「高感度リア充層」「ゆるふわ層」「アニメファン層」の4つの層の構成比を人口に当てはめた合計は2592万人なので、大方同じ数字となりました。
このようにして、一見、爆発的に知名度を上げたと思える作品も細かく分析していくと、段階を踏んだヒットが隠されています。ですが、この作品はステイホーム期間という特例で4タイプを100%超えで動員できたと考えられます。
続いて、7タイプ中の一部の層がヒットに導いたと思われる例をご紹介します。
Case2☛ 『花束みたいな恋をした』 |
~『花束みたいな恋をした』ヒットの経緯~
以上から考えると、この映画には情報発信力の特に高い「エンタメエリート層」と情報収集力に長けている「高感度リア充層」の力があったと推測できます。
▼7タイプのSNS発信力
上記のヒットの流れを7タイプの動きで表すと、下記の図の通り。「エンタメエリート層」の熱が「高感度リア充層」に伝わっていき動員に繋がったと考えられます。
Point☛ 今ヒットする映画は?ポイントは「エンタメエリート層の発信力」 |
では2つの考察を踏まえて今、どんな映画がヒットするのでしょうか。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』と『花束みたいな恋をした』の類似点は<インターネットで広がったこと>です。この2作は「エンタメエリート層」の積極的な発信力がSNSの口コミを呼び、他の層の動員に繋がったと考えられます。つまり、今の映画に必要なモノは「発信したくなる要素」です。そして、おそらくその重要なカギを握っているのが7タイプの「エンタメエリート層」なのです。彼らが「SNSで発信したい!」という気持ちを引き出せてこそ、作品の知名度が上がり、ひいては他層に影響を及ぼしていくと言えるでしょう。
そしてもう一つのポイントは、<「ゆるふわ層」の動員>です。興収100億円超の映画には、ヒットをきっかけに映画館に足を運ぶ「ゆるふわ層」の存在が重要だと考えられます。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』では「アニメファン層」「エンタメエリート層」「高感度リア充層」の3層が映画館に行き、ヒットしたことが「ゆるふわ層」が動くきっかけになったと推定しました。これは、9月2日時点で21年No.1ヒットの『シン・ヱヴァンゲリヲン 劇場版』(興収102.2億円)においても考えられます。アニメが好きな「アニメファン層」「エンタメエリート層」に加え、監督や作家性にこだわりがある「こだわりマニア層」の3層を動員し、ヒット。そのヒットが「ゆるふわ層」を呼び、大ヒットにつながったと推測できます。
つまり、「エンタメエリート層」の発信力で映画を盛り上げ、他層に波及させ、「ゆるふわ層」を動員させる。これが今日のヒットの一つの流れといえるでしょう。
ⅱ「動画配信にハマっているか」という質問に対し85%の「エンタメエリート層」が「はい」と回答(7タイプ中1位)
★マイナビニュース「『鬼滅の刃』はなぜヒットしたのか!? 3つの環境から読み解く」 https://news.mynavi.jp/article/20210320-1818410/
【調査概要】
調査時期:2021年4月9日(金)~2021年4月16日(金)
調査手法:インターネット調査(FastAsk利用 )
調査対象:計28,545名 (15歳~69歳 以上男女)
調査定義:映画ヘビーファン=月に1本以上劇場で映画鑑賞する人/映画ミドル=2~3ヶ月に1本程度劇場で映画鑑賞する人/映画ライトファン=半年に1本程度劇場で映画鑑賞する人
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