業界人インタビュー

【ENDROLL】「映画業界をもっと身近に」スチールカメラマン・監督 籔下 雷太さん ~後編~

2024-11-01更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

 

今回も前回に引き続き、『シティーハンター』(Netflix)、『子供はわかってあげない』などで映画のスチールカメラマンとして活躍するだけでなく、監督としても注目される籔下雷太さんにインタビュー!

後編では、自身の映画業界に飛び込んだ経験から、映画業界にもっと多くの人を集めるために必要だと感じたことについて聞いてみた。また、籔下さんが現場で感じた、制作チームとの密な連携がもたらす効果とは?

 

【ENDROLL】「カメラは出会いを導く」スチールカメラマン・監督 籔下 雷太さん ~前編~

 

映画業界に入るのに、敷居はない!

大学時代のミニシアターでの素敵な映画体験を語ってくれた。また、映画業界にもっと面白い人が集まってくるために変わるべきこととは…?

KIQ:そもそも籔下さんが映画を好きになったきっかけは何だったんですか?

籔下:確か大学生の時がちょうどミニシアターブームだったんです。地元は京都なんですけど、「京都みなみ会館」というミニシアターがあって、そこでよくオールナイト上映会が開催されていたんです。その時に見た『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のジム・ジャームッシュの白黒の写真がすごくかっこいいなと思って!しかも日常の小さい話でも映画になるんだ!と衝撃を受けたのをよく覚えています。夜通し映画を観て、朝帰るのがまたなんだかかっこよく感じたんですよね(笑)

KIQ:わかります、その感じ!特別な感じがしますよね(笑)

籔下:おしゃれな人間になった気がしたんですかね(笑)映画ってちょっとおしゃれなイメージがあったので、自分とは縁遠い世界かなと思っていたんです。でも、映画館でアルバイトをしてみたら、意外と泥臭くて、人間味あふれる人たちが多かったんですよね(笑)それで映画の世界に興味を持ったというのもあります。

KIQ:最初は遠い存在だったけど、実際に働いてみると身近に感じたんですね。

籔下:そうですね。なので、業界の敷居がもうちょっと低くなったらいいのかなとは思います。意外と泥臭い方が多いと言いましたが、何かこう構えてしまうというか、映画業界って狭き門じゃないかとか、入りにくいんじゃないかと思われがちな気がしていて。実際に僕も入るまではそう思っていたのですが、でも入ってしまうとそうでもなかったなとすごく思って(笑)

KIQ:確かに、それはすごくわかります!

籔下:そうですよね!なので、その敷居がなくなれば、より面白い人が集まってきて、もっと楽しくなるのではないかと思いました。

宣伝と現場はもっと密になるべき

これまでのスチールカメラマンとしての経験から、撮影が始まる前の準備段階から関わり、事前に制作過程に関する情報を共有してもらえると、宣伝チームや現場にとってもより良い結果が得られるのではないかと感じたという。その理由に迫った。

KIQ:他にも普段お仕事をする中で、もっとこうなったらいいのにと思うことはありますか。

籔下:スチールカメラマンの仕事では、作品によっては事前に提供される作品情報が少なく、現場でとりあえず写真を撮っておいてほしいというオーダーもあるのですが、監督やプロデューサーには、この作品に対する思いや意図があるはずなので、それを事前にもっと共有できたらいいなと思います。現場に入る時に作品の理解が深まっていると、どんな写真を撮ればいいのかというイメージも湧きやすくなるんです。

KIQ:なるほど。

籔下:現場に入ってから掴もうとするとどうしても時間がかかるので、準備段階から関わるか、少なくとも事前に詳しい情報をもらえると、お互いにスムーズに進められるのではないかと。

KIQ:そのように思うきっかけが何かあったのですか。

籔下:以前、脚本やプロット作りから関わった現場があったのですが、それがとても良かったんです。企画がどういう思いで作られ、なぜこのキャラクターにしたのかや、物語を肉付けしていくプロセスを知れると、現場に入ってからおさえておくべきポイントや、どういう撮り方が良いかなど自然にわかるように思いました。

KIQ:そういった共有が現場でのクオリティを上げるんですね。

籔下:そうですね。実際には現場に行ってから衣装やロケ地の雰囲気を知ることが多いですが、それでも写真は撮れます。ただ、事前に「この役はこういうキャラクターだよね」と理解し合ったうえで撮る写真と、現場でただ撮る写真では、全然違うと思います。そういう会話をするためにも、事前に少しでも多くの情報を共有できると良いですね。

KIQ:確かにそうですよね。

籔下:ぼくらはスチール写真1枚でお客さんを引きつけなければならないので、現場と宣伝チームがもっと密に連携できれば、より良い作品作りができるのではないかなとは思いました。

KIQ:その方が作品にとって絶対にプラスになりますよね。
話は変わりますが、籔下さんの今後の目標は?

籔下:スチールカメラマン出身で映画を撮っている人って意外と少ないんです。だから、そこは自分の強みにしていけたらと思っています写真と映像ディレクター、それぞれに違う魅力があるのでどちらも楽しみたいです。

KIQ:スチールカメラマンの方々は、皆さんそれぞれ撮影のスタイルがやっぱり違うんですか?

籔下:そうですね、僕が知っている人たちは、写真家としても活動している方が多いように思います。仕事としてだけではなく、写真で自分の表現を追求している感じでしょうか。

KIQ:なるほど。

籔下:現場で話すと「今こんな写真を撮っているんだ」と見せてくれたりします。例えば、『死刑にいたる病』の内堀義之さんも写真集を出していますし、『まともじゃないのは君も一緒』の金子山さんも多くの写真集を作っています。職業はカメラマンでも、同時に作家活動をしているので、そこが面白いですよね。現場に行くと、必ず何か新しいアイデアやヒントが得られるので、みなさんそれが楽しくて続けているんじゃないかと思います。

 

【ENDROLL】「カメラは出会いを導く」スチールカメラマン・監督 籔下 雷太さん ~前編~

 

 

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