プロが見たこの映画
マーケティング・ストラテジストが妄想する「この後の世界」
インターネットメディア、とりわけソーシャルメディアの台頭により、
人は個々の趣味嗜好・興味がある情報だけに触れるようになり、
個々による情報の偏りが著しい。
一緒に働く仲間や同じエリアに住む隣人でも、
興味や思考が違えば、インプットしている情報が異なる。
考え方や常識が乱立した時代が到来!である。
違う考え方を
許容しようとするのが「多様化」。
許容しないのが「分断」。
最近よく聞く言葉だが、どちらも同じ現象から起きているキーワードですね。
ただこの「考え方の違いによるトラブル」は今に始まったことじゃない。
昔から、近所トラブルなど多数あるし、
イジメなんかの理由もほとんどがこれなんじゃないだろうか?
(あいつなんか変じゃない?って事からイジメって起こってるよね)
じゃあ、今までとは何が違うのか?
それは、インターネットの特性が大きく関係している。
まず、インターネットを介して得た知識はどんどん濃くなっていく。
インターネットメディアの機能でもあるアルゴリズムによって、
一度興味を持って、見たり聞いたりしたものに関連する情報が次々に出てくるようになる。
ゆえに、どんどん同じような情報が積み上げられ、偏った考えが凝固になってしまう。
僕なんかネットを開くと、
「楽に痩せられる方法」とか「アウトドア系の車」とか
「政治家の不祥事」の話題ばかりが目に入ってくる。
さらには、ソーシャルメディアの台頭は
不特定多数の人と繋がるというコミュニティ要素を補っている為、
同一の考えを持つ人たちが繋がって、小さなコミュニティが出来上がる。
その中ではまた偏った情報がどんどん集まっていくことになるのだが、
この「繋がり」というのが大きな力を発揮している。
人は一人では生きていけない。
ゆえに、考えが違ったとしても、大なり小なりある程度の集合体である
社会に準じていく。
でもインターネットで与えてくれるのは、
無理して居心地が悪い社会にあわせなくても
自分の考えを持った世界中の人と繋がれるということ。
自分は他の人と違う、オカシイのかも?という疑念を晴らしてくれる。
だって、他にも同じ考えの人がいるんだから。
実はこのコミュニティの人数はとても少ない事が多々ある。
でも、本人たちにとってそんなのはどうでもいい。
一人じゃないというのが重要だ。それが大きな自信に繋がる。
今までは、宗教だったり、地域だったり、企業だったり、テレビというマスメディアが
その中でのルールさえ守っていれば、「仲間」という安心を与えてくれたが、
それらはもはや不要になったし、ゆえにそれらはもはや崩壊している。
だって自分自身の考えに沿った「常識」も「仲間」も与えてくれるから。
ゆえに、めちゃくちゃ小規模のコミュニティ的なものが乱立して、
もちろん考え方が違うから、他のコミュニティとも揉める。
小さな宗教戦争が多発しているような状況だ。
Twitterで連日連発している「炎上」なんかもこの争いの一つだろうと思う。
一方、管理・統制を必要とする
「国」という大きな社会体系は、「常識の乱立」を許さない。
いろんな考えを持つ人、そして小集団が出てきてしまうのは止めようがない。
でもそれらも含めて一丸の統制を取るために手っ取り早いのが、
古来より使われている手法「共通の敵を作る」ことだ。
マスメディア・ソーシャルメディアあらゆる手を使って
国は「危機」を煽って、「共通の敵」を作り上げる。
そして仕上げは、「戦争突入」である。
個々人は国に頼らざるを得なくなる。
バカで利己的な政治家しかいない今の日本だと、
まさに今、この過程を真っしぐらに向かっている状況だ。
じゃあ、この先はどうなるのか?
この先、大きく社会を動かすきっかけになるのは「AI」だろう。
AIのおかげで我々は仕事をしなくても生きていけるようになる。
生きるために必要な食料などから、
生きるために不必要なエンタメまで全てをAIが供給してくれるからだ。
人は生きるのではなく、生かされる存在になっていく。
すなわち、地球の支配者として君臨した人間が遂にその座から降りるのだ。
もちろん、我々人間はAI(コンピューター)から
食料はもちろん、楽しい暇つぶしの情報や無害なドラッグまで提供してもらえるので
全くもって楽しんで人生を謳歌できるはずである。
ただ単に「生かされている」ということに疑問を抱かなければ。
映画でもこの未来は多数描かれている。
代表的なものの中で、私が特に好きな作品を例に挙げれば、
コンピューターに電力を供給するために生かされている人間が出てくる「マトリックス」。
チューブに繋がれて、現実だと思っている生活を生きている人間。
公開当日はSFとして見ていたが、現実的になりつつある。
あとは、住めなくなった地球を捨てて宇宙船で
コンピューターに管理されながらブクブク太り、歩くこともできなくなりつつ
幸せに生きている人間が出てくるピクサーアニメーション「ウォーリー」。
この作品は15年前ほどに公開した作品なので、
意外とリアリティをもってAI管理社会を目の当たりにした。
はたまた、実はここまでも行きつけない可能性がある。
愚鈍な人間が率先して核のボタンを押して、ジャッジメント・デイを迎え、
人間は一部テロリスト的な存在でしか残らなくなる、
完全にAIが支配する、すなわち「ターミネーター」の世界になる可能性だって大いにある。
また、とにかく、何が言いたいかというと、
この後の世界は、人類史上とても大きな変革が待っているという事だ。
こんなタイミングに生を受け、転機を目撃し、人生を全うできる。
いやはやラッキーだなと思うと共に、
もしかしたらこの大きな変革の時に、
「私」がとても重要な役割を担う可能性だってあるんだから
存分に楽しまないといけないなと心から思う。
以上、お次がよろしいようで!
マーケティング・ストラテジスト ダビデ吉田
・『ウォーリー』(2008)
監督:アンドリュー・スタントン
声の出演:ベン・バート、エリッサ・ナイト、ジェフ・ガーリン、フレッド・ウィラード ほか
(C)2008 WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.
・『マトリックス』(1999)
監督:アンディ・ウォシャウスキー 、ラリー・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィービング ほか
(C)1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited.
(C)1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
・『ターミネーター』(1985)
監督:ジェームズ・キャメロン
声の出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、マイケル・ビーン、リンダ・ハミルトン ほか
写真提供:アマナイメージズ
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