プロが見たこの映画

宣伝のプロが語る「鬼滅の刃のヒットがテレビCMの価値を下げた?」

2021-12-22更新

 

鬼滅の刃のテレビシリーズが始まりましたね。興行収入400億円を超える日本一ヒットした映画ですから、期待は高まります。

まず驚いたのが放送の時間帯。日曜日の23時台という国民的大ヒットした映画の続きを流すにはちょっと深い時間である。気になる視聴率は、初回が9.2%、2回目が8.7%。他局の倍以上の視聴率はあるものの、21時台に放送した映画『~無限列車編』が21.4%でしたから、さすがにこの時間だと半分以下になるんですね。ある意味この枠の限界値なのかなと思いました。

 

さて、番組を見て驚いたことは、CMです。当然鬼滅の関連商品がCMとして入るワケですが、通常深夜に流さないような子供向けのCMも流れるわけです。これってもはやオンタイムで見てもらおうという前提にないように思います。タイムシフト録画が当たり前になった時代には、何曜何時という枠の価値よりも、録画したCMをいかにスキップされずに見てもらうことなのかなと思います。

そしてさらに驚いたのは、テレビ局は視聴率を稼ぐ事で成り立っているビジネスです。そのテレビ局が視聴率を稼ぐことを辞めた?もしゴールデンタイムに放送していたら毎週良い数字が取れるわけで、当然CMも高く売れるはず、なのにオンタイムの視聴率を稼ぐことを重視せず、タイムシフト視聴前提の編成をしたのは革命的な事だなと思います。テレビドラマが放送直後にオンラインで見れる時代、テレビスポットにお金を払う時代もそろそろ終わりなのかもしれませんね。

 

すでにオンラインの世界では邪魔なCMは、お金を払って消す時代。もはや広告は邪魔でしかないのかな。ちょっと寂しいですね。
テレビCMの価値は下がり、オンラインは有料化でCMを消されてしまう、いったいこれから何が有効なのだろう?

ふと20年前に観た『マイノリティ・リポート』(2002)を思い出しました。未来に起こる犯罪を事前に察知して、犯罪が起こる前に犯人を逮捕するという未来を描いた映画でした。その中で、町を歩く主人公ジョン(トム・クルーズ)に街頭広告が声をかけて、宣伝をしていたシーンがありました。「ジョン、ビールでもどう?」「ジョン、ストレス溜まってるの?旅行はどう?」など、パーソナルな情報に合わせた広告が出てきてダイレクトに営業してくるのだ。それは今やネットの世界では日常的に行われている手法だが、さすがにまだ交通広告ではやってませんね。でも、電車の中はスマホ見てるし、最後に生き残る効果のあるメディアは街頭広告なのかもしれません。それを20年前に描いていたスピルバーグは本当にすごいなって思います。

コロナで外出減った?それはそうですが、そもそも外出しない人は、映画館にも来ないのかもしれません。

 

宣伝プロデューサーちくん

 


テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編
毎週夜11時30分より全国フジテレビ系列にて放送中
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 

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