業界人インタビュー
【ENDROLL】 「全力。だから、楽しい。」 映画祭運営 久米 修人さん ~後編~
この業界、とにかく面白い人が多い。
そんな気づきから、映画・エンタメ業界の宝である、業界人の人と成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール~業界人に聞いてみた」。
業界に新たな風を吹き込む20代から30代を中心にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!
前回に引き続き、認定NPO法人東京フィルメックスで、毎年10月末から11月にかけて開催される映画祭「東京フィルメックス(以下フィルメックス)」の作品と運営の担当をされている久米 修人(くめ しゅうと)さんへのインタビュー内容をお届けする。
後編では、仕事に対する姿勢やモチベーションについてさらに深堀りしていく。
★【ENDROLL】 「創り手の気持ちを大事にしたい」 映画祭運営 久米 修人さん ~前編~
「人」にはどっぷり、「作品」とは距離感。
膨大な作品数の中から招待作品を選定するために、どのように作品と向き合っているのだろうか。
インタビューをしていて何度も出てきたキーワードは“人”だった。
KIQ:フィルメックスって、アート的な作品を広める役割を担っている印象があるんですけど、久米さんご自身もそういった作品がお好きなんですか?
久米:フィルメックスのラインナップのカラーは確かにありますが、僕は作品をチェックするときにはあまり商業的な作品、アート的な作品と切り分けて考えたことはないですね。それよりも作品一本一本に合わせた見方を探すような感覚でしょうか。作家性という意味では才能ある人はどちらの作品も創れると思いますし。もちろん、どちらかに向く人もいるとは思うんですけど。自分の趣味がどうとかいうわけではなく、扱う作品のテイストが別のものになったとしても変わらず今の仕事はできると思いますね。
KIQ:なんとなく宣伝マンと似ているところがありますね。
久米:そうかもしれないですね。映画祭運営を手伝って下さるボランティアスタッフの中にはアート作品に強い思いを持っている方もいるので、そういう人からは、冷めていると言われることもありました(笑)でも、映画祭の仕事は感情面をかなりコントロールしないといけない部分があるんです。期限内にかなりの数の作品を視聴しないといけないので、毎回作品に気持ちが振り回されていたらやっていけないっていうところはありますね。
KIQ:ある種、客観的というか?
久米:そうですね、感情の揺らぎは大事なんですけど、それは記録しておくだけというか。それに振り回されるのはよくないので、作品とは一定の距離感で向き合うようにしています。一方で、人との付き合い方はまた別だと思っていて、海外のゲストをお招きする時は「ぜひ楽しんでいって!」というようなパッションを持って接したいと思っています。
全力を出せる環境だからこそ、楽しい。
KIQ:仕事をする上でモチベーションになっているのは、やっぱり“人”なんですか?
久米:はい。特に同世代とのネットワークは大切にしたいと思っています。国内外問わずネットワークがすごい先輩方を見ていると同世代の横のつながりはやっぱり重要だとつくづく感じるんです。そこは自分も意識してやらないといけないなと。仕事は人と人とのつながりだと思うので。頼れる時に頼れて、自分も頼ってもらえる人をもっと作っていきたいです。
KIQ:人と人とのつながり…確かに、この業界は特にそういった面が強いかもしれないですね。
久米:あとは、体育会系の部活(ちなみにバスケットボール部!)に入っていたからか、この業界って、すごい人や尊敬できる方がたくさんいるので、そういう方に追いつきたいとか、ぎゃふんと言わせたいというのはモチベーションになっていると思います。今25(歳)ですが、海外の映画祭に行っても同世代で映画祭の仕事をやっている人ってほとんどいなくて…。その分、チャレンジ精神でやっていける時期かなとは思います!
KIQ:フィルメックスさんで、同世代の方はいらっしゃらないんですか?
久米:僕ともう1人だけですね。そもそも1つのチームが4、5人しかいないというのもあるんですけど。でも、僕は同世代が少ないからこそのモチベーションもあります。先輩方に追いつけ!追い越せ!という気持ちになれるので。
KIQ:いいですね!仕事は大変でネガティブなものと捉える人もいますが、久米さんは逆にその大変さがモチベーションになっているのですね!
久米:ある種全力を出して良い場所であることが、楽しいと思っているので。そうでなくなったら楽しくなくなっちゃうかもしれないですね(笑)
KIQ:久米さんのお話を聞いていると、これからの映画業界を支えていくパワーを感じます!最後に、今後できたらいいなと思っていることをぜひ教えてください。
久米:映像や映画の世界は複雑で専門的な分野が多く存在しているので、同じ志を持っている者同士で、それぞれが獲得できたノウハウや経験値、知識やヒントをもっともっと共有できたらいいなと思います。インターネットで調べれば分かる範囲のことは自分で学べますが、経験してこそ身に付くことも本当に多くあるので。そうして映像や映画の世界に広く俯瞰的な目を持つこれからの世代の方が、色んな新しいチャレンジをしていって欲しいですし、自分もそうありたいと思います。
【Information】
東京フィルメックス
東京フィルメックスは2000年に創設され、新進気鋭の監督たちのアジアを中心に世界から独創的な作品を集めた国際映画祭として開催されています。アジアの優れた新進作家を紹介するコンペティション部門、映画の最先端を切り開く著名な監督の新作を紹介する特別招待作品部門など、創造性溢れる多様な作品を紹介しています。海外の国際映画祭を賑わせた話題作を、先駆けて上映するだけでなく、内外から監督や映画人をお招きして、観客との質疑応答を行うなど、交流の場を設けています。第23回東京フィルメックスは2022年10月29日〜11月6日にかけて開催された。
公式サイト:https://filmex.jp
Twitter:https://twitter.com/tokyofilmex
Facebook:https://www.facebook.com/tokyofilmex/
Instagram:https://www.instagram.com/tokyofilmex/
【Back number】
第1回:PRプランナー 髙 未佳さん
前編「映画館の空間、そのものが好きー」
後編「映画館と人をつなぐ役割を」
第2回:映画プロデューサー 雨無 麻友子さん
前編「映画と人が導く人生」
後編「覚悟を決めたら、やり通す」
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