業界人インタビュー
【ENDROLL】「映画に揺れて、生きてきた。」映画ライター アナイスさん ~前編~NEW
この業界、とにかく面白い人が多い。
そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!
今回は、Real Soundを中心に映画コラム記事を執筆するだけでなく、視聴者参加型のWeb番組「共感シアター」など映像系メディアでも活躍し、KIQ REPORTの「映画ファンが好きな 映画評論家・ライターランキング!」にもランクインする映画ライターのアナイス(ANAIS)さんにインタビュー!
前編では、幼少期に好きだった作品や育ってきた環境、ファッション誌に憧れた学生時代の話までを詳しく聞いた。
物語を考えることが大好きだった幼少期
KIQ: まずはアナイスさんの“今に至るまで”をお伺いしたいと思っています。幼い頃に触れていたエンタメなどはありますか?
アナイス: 母親が映画好きで、ずっと映画を観ている家だったんです。洋画が多くて、物心つく前から観ていた『ジュラシック・パーク』が“映画”というものを認識した最初の作品だったと思います。もともと恐竜が好きだったんですけど、それ以上に「本物を見た」って感覚があって、今の仕事の原点になっている作品ですね。アニメもいろんなものを子供の頃から観てきました。
KIQ: すごくいい環境ですね。
アナイス: そうですね。うちは両親が英語で話しているのもあって、私は子供の頃は英語とフランス語しか話さなかったらしく、家にはディズニーの海外版VHSも置いてありました。学校はインターナショナルスクールではなかったので、日本人が日本語を学ぶのと同じように学んできた感じです。
KIQ: お父様がベルギーの方でしたっけ?
アナイス: 父がベルギー人で、母が日本人です。
KIQ: そうなんですね。ディズニーはどんな作品が好きだったんですか?
アナイス: ディズニーはプリンセス系よりは、どちらかというと“人外もの”って私は呼んでるんですけど(笑)、人間が主人公じゃないものの方が割と好きで観ていました。動物とか機械とかおもちゃですよね。『トイ・ストーリー』が大好きで。一人っ子だったので、映画のフィギュアで物語を作ってごっこ遊びをしていたんですよ。『ハリー・ポッター』に出てくるバジリスクと『ジュラシック・パーク』の恐竜が戦うみたいな(笑)。
KIQ: (笑)
アナイス: 物語について考えることが好きだったんですよね。人生最初の夢はおもちゃ屋さんだったんですけど、小学2年生の時は “映画の人”になりたかった。小学生にとって“映画の人”ってよくわからないから、とりあえず映画館に勤める人になりたかったんです。そしたらタダでいっぱいいろんな映画が観れると思って。そして、3・4年生ぐらいには小説家と古生物学者になりたかったんですよ。
KIQ: ええ、古生物学者ですか!
アナイス: はい。『ジュラシック・パーク』の影響もあって。小学生のときは、ジュラシック・パークごっこ、といってもアラン・グラント博士役とかじゃなくてヴェロキラプトル役で、動きを真似して校庭で変な動きをしたり(笑)。男の子みたいな感じでした。でも算数が得意じゃないと古生物学者にはなれないって誰かに言われて早々に自分には無理だと悟って。一方の小説家は、もともと本が好きだったのもあるし、母親に影響を受けた部分もありますね。私より両親の話の方が面白いと思う(笑)。父親がプロ水中カメラマンをやっていて……、
KIQ: 水中カメラマン!
アナイス: 両親ともモルディブに住んでいた時期があって、母はダイビング雑誌で連載をしていました。それが書籍化されていて、私もなんとなく「本を出したい!」って気持ちがあったんですよね。クラスの子とたまごっちの同人誌的なものを作っていたんですけど、そのストーリーを担当したり、自分自身で小さなメモ帳に短編小説を書いてみたりとかして……それは完全にB級映画みたいな物語でした(笑)
KIQ: えー!どんな感じのお話ですか?
アナイス: 若者たちが島に流れ着いて巨大蜘蛛に襲われるっていう話で(笑)ラストに何人か島を脱出するんですけど、その後の水平線に怪しい卵が浮かんで終わるみたいな。
KIQ: におわせまで……!
アナイス: (笑)小学生の時はずっとTSUTAYAに通っていたので、そういうB級作品もたくさん観ていました。思い返すと、私は文章を書くときに頭の中に映像があるんですよね。今も短編とか書きたいし、脚本を書いてみたいって気持ちもずっとありますね。
「ELLEgirl」との出会い、ファッション誌への夢
KIQ: そんな中で、本格的に「映画業界で働きたい!」と思うようになったんですか?
アナイス: それが割と流れに流れたタイプで。中学生になって初めてファッション雑誌を買ってもらったんですけど、それが「ELLE girl」でした。そこでファッションと雑誌が面白いってなって、同時期に『プラダを着た悪魔』を観たんですよ。そこから自分の中で「ファッション」と「文章」の二軸ができて、高校卒業まで進路は一切迷わず、「ファッション雑誌の編集者になる!」と言っていました。
KIQ: すごい!
アナイス: 映画や恐竜の趣味はどうしたかっていうと、中高では本来の自分を封じ込めていたところがありました。挨拶が「ごきげんよう」みたいな女子校に通っていましたが、周りとのカルチャーギャップもあって。アイドルが好きな子が多かった中で恐竜の話とかしてもほぼ変人じゃないですか(笑)うまく同化しようと、「あのドラマ観たよ」とかそういう話はしていました。まあ、もともとミーハーな部分もあるので地上波ドラマも結構好きで観ていたんですけどね。そのうち友達から漫画を貸してもらい始めて、そこで二次元に目覚めちゃいました。
KIQ: 今のアナイスさんに繋がる「アニメ」が出てきましたね。
アナイス: そういう中高時代だったので、映画は相変わらず家で観てはいたんですけど、それで学校で友達とは話せることもないし、ファッション雑誌の編集者になりたかったから、どちらかというとファッションの知識を増やしていきました。高校1年生の時にサロンモデルや読者モデルをやり始めて原宿に行くようになって、ブランドのイベントとか東京コレクションとかにも出入りするようになって。
KIQ: 着々とファッション業界に近づいていかれたんですね。
アナイス: 「ELLEgirl」で書く、働くことを目標にしていましたね。それで大学1年生の時に、自分から連絡したのかな……「ELLEgirl」でオフィシャルキュレーターとして、ブログを書かせていただくことになりました。でもいざ書くとなると、他の方たちは各々自分のコーディネートとかオシャレなカフェやグルメ、コスメの紹介など得意なことを書かれている中で気づいたんですよね。私はファッション単体だけについてそんなに書けないかもって。他に言葉が溢れるぐらい書けるもの、書きたいものは何か考えたら、それはやはり映画だったんです。
KIQ: そこで映画に戻ってくるんですね。
アナイス: はい。私が書くには、何か物語が必要なんだなって思って。もちろんファッションにも物語はある。ただ残念なことに、ファッションから物語を抽出するのに当時の私は役不足でした。映画の衣装について書くことも考えましたが、書いているうちに映画本編を勧めたくなっちゃう。だから「ELLEgirl」のブログでは映画について書くことを決めました。
<後編(6/12UP)に続く>
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