業界人インタビュー

【ENDROLL】「映画ファンが集う唯一無二の場所へ」 共感シアター・ディレクター 稲生稔さん ~後編~

2024-12-20更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。

今回も前回に引き続き、熱量を共有する視聴者参加型のインターネット番組「共感シアター」にて、番組のディレクターを務める“稲生D”こと、稲生稔さんにインタビューした内容をお届けする。

後編では、稲生さんがレンタルビデオ屋時代から貫き通していることや、共感シアターの存在価値、さらには今後の展望について伺った。

「同時視聴カルチャーを創った男」 共感シアター・ディレクター 稲生稔さん ~前編~

モー娘。から学んだテクニック

昔から変わらない大作への愛について熱く語ってくれた! また、ずっと裏方だったという稲生さんが、共感シアターで出演する側になったときに参考にした人たちとは?

KIQ: 稲生さんはミニシアター系の作品よりも、洋画の大作に詳しいイメージがありますが、それは昔からですか?

稲生: そうですね、そもそも地元には映画館がなく、大分市の映画館でもミニシアター系の作品は細々としかやってなかったですし、観ていたのは大作ばかりだったんです。なので、東京のレンタルビデオ屋で働き始めたころはほかの店員に“ビッグスター”って呼ばれていたんですよ(笑)。

KIQ: それはどういう意味ですか?

稲生: 大作映画しか詳しくないやつ、つまりダサいやつってバカにされていたんです(苦笑)。でも僕は、大作映画を真剣に観て、真剣に愛していたんです。だから、そこでは絶対に誰にも負けない!という気持ちがありました。それはビデオ屋で働いていたときも、今もずっと変わらない信念です。もちろんビデオ屋にいたときにはミニシアター系も含めていろんな作品を観ましたが、やっぱり自分の中では、大きな予算をかけて作られた迫力ある映像を映画館で観る、そして「最高!」「かっこいい!」と心から感動する、あの体験が映画を観る一番の理由なんです。

KIQ: なるほど。大作愛を貫き通すことを早い時期から決断されていたんですね! 稲生さんは今や共感シアターの“稲生D”としてご活躍されていますが、共感シアターに出演し始めてからどのくらいになるのですか。

稲生: 共感シアターに参加してからは5年ほどになります。レギュラー番組の「共感シアターナビ」(毎週火曜日の21時から放送)は今年で3年目くらいでしょうか。「共感シアターナビ」自体は通算で200回以上配信しているので、最近は一緒にMCを担当している瀬田ミナコさんとは「今すぐやって」と言われても完璧にできるぐらい、チームワークがよくなってきています!


※「共感シアターナビ」は毎週火曜日21時から放送中!

KIQ: すごい、さすがですね! 稲生さんご自身はニコニコ動画時代にもMCを結構されていたんですか?

稲生: いえ、実はニコ動の時は、僕は完全に裏方で表には出ていなかったんです。

KIQ: そうだったのですね。出演するとなると、一気にハードルが上がるイメージがあります。

稲生: そうですね。初めて出演するときには、人と話すときの態度や、相手に気持ちよく話してもらうにはどうすればいいかなど、たくさん勉強しました。僕が常に意識していることは、とにかく楽しそうにすることなんです。視聴者のほとんどは僕のことを知らないと思うので「なんだか画面に映っている人が楽しそうだな」と思ってもらえたら、チャンネル登録をしてくれたり、一緒に楽しい気持ちになってもらえるのではないかと思っています。

KIQ: 確かに、番組を拝見しているといつもすごく楽しそうですよね! そういったテクニックはどうやって学ばれたのですか?

稲生: アイドルです。

KIQ: え?アイドルですか!?

稲生: 昔、アイドルオタクだったんです。パブリシスト時代にモーニング娘。さんと仕事でご一緒する機会があって、間近で彼女たちの努力やプロ意識を目の当たりにしたんです。リハーサルでは厳しく指導されている場面も見ましたが、本番のステージではそんな素振りは一切見せずに、すごく明るい姿で歌って踊っている姿に感動して…!それ以降、まんまとモーニング娘。さんにどハマりしました(笑)。彼女たちから、楽しそうに振る舞う大切さを学びました。

KIQ: なるほど、まさかアイドルをお手本にされていたとは…!

全国の映画ファンが毎週集う —唯一無二の場所

稲生さんにとって、最も思い出深いけど、見返したくはない配信回とは?また、共感シアターの唯一無二の魅力について、たっぷりと語ってもらった。

KIQ: 現在、共感族(※共感シアターの番組に定期的に参加し、コメントをくれる人たちの愛称)は何人くらいいらっしゃるのですか?

稲生: 共感シアターナビで言うと視聴者は1000~1500人ぐらいで、そのうちコメントをしてくれる人が100人ぐらいです。みなさんが毎週その時間を空けてくれていると考えると、本当に嬉しいですよね。

KIQ: 共感シアターは基本的には生配信かと思いますが、アーカイブ動画もよく視聴されているそうですね。

稲生: はい。共感族のみなさんに聞くと、移動中や仕事中にラジオ感覚で聴いている人が多いようです。盛り上がっているシーンでは「今このシーンを観ているんだろうな〜」と想像して、ニヤニヤしながら仕事をしているそうですよ(笑)。

KIQ: 共感族のみなさんの楽しみ方はさすがですね(笑)。番組を拝見していると、稲生さんの作品に関する情報量に驚かされるのですが、作品の下調べはどのようにされているのですか。

稲生: 作品を観返したり、ネットで調べたりもしますが、一番役立つのは実は昔読んでいた映画雑誌の「プレミア」や、当時買ったパンフレットなんです! 読み返すと、あのときの熱量や映画館で観た空気感を思い出すことができるので、それを今の若い人たちに伝えています。せっかく2時間も番組を観てくれる視聴者のみなさんに、明日居酒屋で使えるネタを1個でも持って帰ってもらえるよう心がけています!

KIQ: 当時のパンフレットが役立つのですね! 稲生さんにとってこれまでで特に思い出に残っている配信回があればぜひ教えてください。

稲生: どれも思い出深いですが強いてあげるならば、てらさわホークさんと企画した『スピード』(1994)の回でしょうか。『スピード』は僕のオールタイムベストなんです!なので、それを初めてみなさんと一緒に観れたというのは嬉しかったです。一方で、実はあの回はホークさんや視聴者のみなさんの前で知識を披露しようと意気込んだ結果、ちょっと空回りしている部分もあり、恥ずかしくて見返すことができないという意味でも印象に残っています(笑)。


※稲生さん思い出の配信回!「スピード」同時再生鑑賞会

KIQ: 初々しい稲生Dが見れそうですね(笑)。では、最後に、今後の共感シアターの展望について教えてください!

稲生: YouTubeで映画情報を毎週きっちり発信しているチャンネルは、実はあまり多くはないんです。だからこそ、共感シアターをこれからも続けていきたいと思っています。ただ、視聴者のみなさんに2時間もの時間を割いてもらうこと、さらに作品を用意してもらわないといけないことはどうしてもハードルが高い部分もあると思うので、今後はもっと雑談やお便りを読むだけといった番組が1つあってもいいのかなと考えていたりはしています。

KIQ: 雑談をするだけの番組も面白そうですね。稲生さんにとって共感シアターの魅力はズバリ何でしょうか?

稲生: 「みんなで今日『インデペンデンス・デイ』(1996観ようぜ!」って人が集まってくれるコミュニティは、他にはなかなかないですよね。でも、そういう企画を心待ちにしている映画ファンは、実はたくさんいると思うんです。なので、そうした人たちの想いを繋げる場所でありたいと思っています。映画好きの人って、映画好きと繋がりたいじゃないですか。なので、みんなで映画を観る楽しさをこれからも伝えていきたいです。

KIQ: 映画ファンが毎週集る場所があるってすごくいいですよね。

稲生: みんなで一緒に盛り上がれることは本当に嬉しいし、楽しいです。何より、みなさんが僕らに作品の情報をたくさん教えてくれるおかげで、自分たちの映画脳も鍛えられるんです。『ランボー』(1982)なんてもう散々観尽くして、もうこれ以上はこの映画に思い入れなんてできないだろうと思っていたんですけど(笑)、みんなで全シリーズを観返したら、やっぱりまた違うんですよね。好きな度合いが一段上がるというか。

KIQ: またさらに好きな映画になる、って素敵ですね!

稲生: あと、来年は必ずオフ会をやりたいです! 昨年、初めてオフ会をしたときにはみなさんにやっとお会いできて嬉しかったので、来年は大阪と東京の2DAYSで実施したいと思っています。楽しみにしていてください!

【Information】


仲間と共に<時間><場所><感動>を
共有するからこそ大切な<体験>になる!
生配信で映画好きな奴らとその熱量を共感する!
新時代の映像コンテンツ熱量共有サポートシステム
それが共感シアター!

公式サイト:https://bals.space/
公式X:https://x.com/bals_theater
­YouTube:https://www.youtube.com/@MOVIEMARBIE

 

【Back number】

 

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる