業界人インタビュー

【ENDROLL】「同時視聴カルチャーを創った男」 共感シアター・ディレクター 稲生稔さん ~前編~NEW

2024-12-17更新

この業界、とにかく面白い人が多い。

そんな気づきから、映画・エンタメ業界で働く人とその成りに焦点を当てたインタビュー企画「ENDROLL エンドロール ~業界人に聞いてみた」。
業界の最前線で働く方にインタビューを行い、現在業界で働いている人はもちろんのこと、この業界を目指している人にも刺激を与えていきたいと思う!

今回は、熱量を共有する視聴者参加型のインターネット番組「共感シアター」にて、ディレクターを務める“稲生D”こと、稲生稔さんにインタビュー!

前編では、稲生さんが映画を好きになったきっかけや、映画業界に足を踏み入れてから、共感シアターに出演することになるまでの経緯について詳しく聞いてみた。

元ビデオ屋のカリスマ店員!

大分県の映画館のない町で育った稲生さんが、映画に目覚めるきっかけとなった作品は?また、レンタルビデオ屋のカリスマ店員だったときのことについてなど、あれこれ聞いてみた!

KIQ: 稲生さんが映画を好きになったきっかけは?

稲生: 僕は大分の田舎出身で地元には映画館もなくて。中学生のときに友達と「“街に”遊びに行こうぜ!」と、大分市に行って観たのが1989年の『バットマン』だったんです。それまでは映画をほとんど見ない子だったんですが、そのときに世の中にこんなにおもしろいものがあるのか、とすごく衝撃を受けて!

KIQ: へえー! 稲生さんの映画好きの原点は『バットマン』だったんですね。

稲生: はい。そこから映画にどっぷりハマって、中学・高校時代は土曜の午前中に学校が終わると、大分市にある親戚の家へ片道1時間半かけて通っていました。親戚の家に行く前に映画を2本観て、翌日は朝から4本立て続けに観てから帰るという生活を送っていたんです。帰りの電車ではずっと映画のパンフレットを読んでいましたね。地元にレンタルビデオ屋もありましたが、当時からとにかく映画館で観たい派だったんです。

KIQ: 高校生の頃からすでに“稲生D”の片鱗が見えますね(笑)。

稲生: そうかもしれません(笑)。その頃から映画に関わる仕事がしたいと思うようになったのですが、大分にはそんな仕事はなくて…。大学卒業後は親の勧めで警察官の試験を受けたりもしましたが、見事不合格だったので(笑)、仕事も何も決まってないまま上京しました。

KIQ: 警察官!?映画とはだいぶかけ離れていますね(笑)。

稲生: (笑)。上京してからは求人情報誌で映画関連の会社を探して応募していましたが、なかなかうまくいかず…。それですぐ近くのレンタルビデオ屋でアルバイトを始めたんですが、この仕事がすっごく楽しくて。お店で扱う作品の仕入れ本数を決める立場にもなって、劇場で見る映画代もお店が出してくれましたし、接客も自分に向いていると感じました。次第に、自分の棚も作っていいと言われて、ポップを手作りしたり、定期的にラインナップを変更したりと工夫を凝らして“稲生棚”を作っていたら、僕のファンだという方も現れて…! 本当に充実していましたね。自分でもいうのもなんですが、レンタルビデオ屋のカリスマ店員でした(笑)。

KIQ: 稲生さんがビデオ屋のカリスマ店員をやっている姿はすごく想像がつきます!(笑)

稲生: でも5年くらい経ったときに、ふと、僕はこれをやりに上京したんじゃないよなと思いまして。それでNCW(映画学校のニューシネマワークショップ)に通い始めたんです。

KIQ: 稲生さんもNCWのご出身だったんですね!

稲生: NCWで色々学んだ結果やっぱり映画宣伝の仕事がしたいと思ったときに、たまたま映画業界で働いていた知人がパブリシティ業務を請け負う会社を紹介してくれて、そこに入社したのが業界に入ったきっかけです。

同時視聴のカルチャーを創った男

映画業界への第一歩をパブリシティ会社で踏み出した稲生さん。その後、ニコニコ動画での「映画の同時視聴」という新たな文化を生み出したという。その裏話について教えてもらった。

KIQ: では、はじめはパブリシティ業務をされていたんですね。

稲生: はい。主に雑誌や新聞など紙のパブリシストを6年間やった後に、Webの宣伝会社に転職しましたが、そこはすぐに辞めてしまって…。次に何をやりたいかを考えた時に、やっぱり映画が好きなので、自分で何かを発信したい!と思ったんです。そのときに以前から仲良くさせていただいていた映画ライターのジャンクハンター吉田さんが、一緒にニコニコ動画をやらないかと声をかけてくださったんですよ。

KIQ: それはちょうどニコニコ動画が出てきた頃でしょうか?

稲生: そうですね、まだYouTubeよりニコ動(ニコニコ動画)の方が人気だった頃です。そのときに、“映画を同時に再生して、みんなで鑑賞する生配信番組“というのを、僕とジャンクハンター吉田さんとてらさわホークさんで生配信し始めたんです。

KIQ: へー! 映画の同時再生番組はそうやって生まれたんですね。ちなみに、そのアイディアはどういったところから生まれたのですか。

稲生: 映画を一緒に観ながら話す文化って当時はまだ全然なかったんですが、ジャンクハンター吉田さんたちが映画館の暗い中でマイクを持って喋るという、解説上映みたいなことをやっていたんです。それがすごく面白かったし、評判も良かったので、同じことをネットでもやったらいいのでは?という話になって。それで最初に試みたのが、映画『アバター』(2009)のブルーレイ発売に合わせた同時再生イベントでした。ゲストで清水崇監督と樋口真嗣監督に来てもらったのですが、初回とは思えないほどすごく盛り上がったんです!

KIQ: 面白そうな番組ですね!すでに、今の共感シアターの前身という感じがします。ちなみにこのときはフリーで活動されていたのですか。

稲生: そうです。なので、ニコ動の同時再生だけでは収入が不安定だったので、他にも映画パンフレットのライティングや、媒体のインタビュー取材などいろいろな仕事を掛け持ちしていました。ジャンクハンター吉田さんの仕事もお手伝いしていて、中でも特に印象深かったのが『ダイ・ハード』シリーズ(1988~2013)のBlu-ray Boxの購入特典のブックレット制作です。

KIQ: どんな内容だったのか気になります!

稲生: 『ダイ・ハード』全シリーズでマクレーンが発砲した数や、死亡した人数を数えました!(笑)あれは面白かったですね。

KIQ: 最高ですね!(笑)そこから、共感シアターを担当することになった経緯は?

稲生: その後、ニコ動が少しずつ勢いを失い始めて、一方でYouTubeが注目されるようになったときに、すでにYouTube番組として存在していた「共感シアター」の番組を手伝う機会があったんです。そのときに、このプロジェクトのやりたいことと、自分がニコ動でやってきたことは同じだなと思い、自然な流れで「共感シアター」に参加させてもらうことになりました。

後編では、稲生さんが大作映画に詳しい理由や、番組に出演する際に常に意識していること、さらには、共感シアターの魅力について熱く語ってくれたことをお届けする。

【Information】


仲間と共に<時間><場所><感動>を
共有するからこそ大切な<体験>になる!
生配信で映画好きな奴らとその熱量を共感する!
新時代の映像コンテンツ熱量共有サポートシステム
それが共感シアター!

公式サイト:https://bals.space/
公式X:https://x.com/bals_theater
­YouTube:https://www.youtube.com/@MOVIEMARBIE

 

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