調査レポート

《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【予告編】/2022年下半期

2023-01-26更新

映画宣伝において、“映画の顔”となる宣伝クリエティブ(予告編・ポスター)が担う役割は非常に大きく、宣伝マンの腕の見せどころ。試行錯誤を重ね開発されたクリエイティブは、どれも素晴らしいものばかりです!

KIQ REPORTでは、半年に一度、宣伝プロデューサーやパブリシスト、グラフィックデザイナー、予告編ディレクター、広告代理店担当者、映画祭運営者などなど、映画業界で働く“映画業界人”の記憶に残った<ベスト宣伝>を発表しています。

3回目となる今回は、映画業界人36名に、2022年下半期(7月~12月)公開映画で1番記憶に残る【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】【予告編】を聞きました。

【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】に続き、今回は…
2022年下半期、映画業界人の記憶に残った【予告編】を発表します!

 

《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【ポスタービジュアル】/2022年下半期
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【キャッチコピー】/2022年下半期

 

圧倒的な期待感。〈これは映画館で観たくなるで賞〉は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

2022年7月~12月劇場公開の映画で、1番記憶に残る【予告編】を聞いた結果、最も多い票を集めたのは、アバター:ウェイ・オブ・ウォーターでした。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

★「全く見たことのなく、自分の知識の範疇では理解できない映像をまたも体験できることが予告編だけでも伝わり、映画館で観るしかない、と予告編から説得されてしまうよう」(20代男性・映画祭プログラマー)

★「圧倒的な世界観が伝わり、見たい!!!と感じたから」(20代女性・宣伝アシスタント)

★「パソコンで見ても映像美、世界観への期待がダダあがりする映像で、何回も見ちゃいました。これは映画館で見なくては!と思いました」(40代女性・WEB編集)

★「映画館で見て、正直どんな話なのかわからなかったけど、そんなことはどうでもよくて、映画館で観るべき映画だと感じた。圧倒的な“映画感”。」(40代男性・宣伝ディレクター)

★「冒頭の“監督 ジェームズ・キャメロン”で鳥肌が立ちました。予告編を探しにいって見るという行為も久々でした」(40代男性・リサーチャー)

 

今や映画は映画館だけでなく、テレビやパソコン、スマホなど様々なルーツでも楽しめる時代になりました。そんな中「映画館で見なくては!」と思わせるのは容易なことではなく、やはりそう思わせる映像クオリティがあってこそ。2分30秒でジェームズ・キャメロンが生み出した映像美は、十分に業界人の心をつかんだようです。一部の映画館では、同作の3D予告編を楽しめる無料体験会も行われていました。「映画館でこそ見てほしい!」という作り手の強い思いと自信も感じられますね。

知りたい欲を刺激!〈好奇心をくすぐる賞〉は『NOPE/ノープ』と『THE FIRST SLAM DUNK』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と同率で、『NOPE/ノープ』も最も多い票を獲得しました。

『NOPE/ノープ』

★「起こっていることが衝撃的すぎるし、空に現れた謎の物体の正体が気になりすぎて、初めて予告を見た時点で、もう絶対に観に行くと決めた」(20代女性・WEB編集)

★「ナレーションや余計な説明が少なく、気の抜けたコミカルな空気を冒頭に見せた上で、音を上手く使いながら作品の不思議さと怪しさをガンガンに出していく。大袈裟でなく、作品の持っている空気を全面に出しながら、それでいてスケール感が伝わる。この予告編だけを見ても、どんなあらすじの話かは説明が難しくとも、どんな作品なのかは感覚で理解でき、そのバランス感が素晴らしい」(20代男性・映画祭プログラマー)

★「空から何かがやってくる感が最高。「ジョーダン・ピール監督最新作」のテロップの出し方もカッコイイ」(40代男性・WEB編集)

★「まぁ、だいたいこんな感じの内容なんだろうなーとちょっと思わせつつも、しっかりと煽られ、まんまと見に行きました」(40代男性・宣伝プロデューサー)

★「映画館は見世物小屋。みたことない怪しいけど興味が惹かれるものをみる。最近の「わかっている作品を確認しに行く場としての映画」に対してカウンター感のある作品に大きな注目をしています」(50代男性・宣伝)

 

「何かが起こる、けど何が起こるか分からない」という予告編の内容が、知りたい欲求を刺激して強く記憶に残ったようです。コメントにもありましたが、近年の映画鑑賞スタイルとして「予め知っている内容を確認する」という傾向も言われていますが、本作はそれとは真逆の「分からないから見たい」という意欲付けに成功しました!

 

分からないといえば、“宣伝をしない宣伝”で話題になった『THE FIRST SLAM DUNK』は、映画情報が少ないからこそ、解禁されるひとつひとつの宣材から少しでも多くの情報を得ようと繰り返し確認することで、強く記憶に残っているという人もいました。

THE FIRST SLAM DUNK

★「公開までほぼ情報がない中で、ヒント探しのため何度も見てしまったため」(30代男性・広報)

★「期待して何度も見たので、一番印象に残りました」(40代男性・番組企画ディレクター)

★「特報の音の演出、そして本予告の構成が本編への伏線になる、という作り方が新鮮でした」(30代男性・予告編演出)

★「10feetの音楽との相性、背番号に準じたカウントダウンなど、公開日までの盛り上げ方が最高にアガりました。毎日15秒CMをYouTubeで見ていました」(20代女性・デジタルマーケティング)

 

今回、ポスター、キャッチコピー、予告とは別で映画業界人の皆さんには、「記憶に残っている宣伝施策」も聞いてみましたが、やはり『THE FIRST SLAM DUNK』の“宣伝をしない宣伝”が記憶に残る業界人が非常に多くいました。ベースの認知度があってこそできる施策ではありますが、「分からないから見たい」という好奇心の煽り方は、クリエイティブの内容や宣伝施策として参考になる部分もありそうです。

予告編しかできない!音楽で印象に残った作品が多数!

今回も多くの記憶に残る予告編が挙げられました。理由として多く挙げられたのが「音楽」です。音楽そのものの印象はもちろん、流れるポイントなど使い方にも注目している人もいました。ぜひ音楽にも注目してお楽しみください!

エルヴィス

★「予告内の楽曲の使い方がよく、一目みて劇場に見にいきたくなりました」(20代女性・オンラインパブリシティ)

 

わたしは最悪。

★「インパクトのあるタイトルに、同世代の女性の葛藤する物語にとても興味が湧きました」(30代女性・宣伝)

 

裸足で鳴らしてみせろ

★「オールドファッションな予告編の構造に見えるも、作中でも重要な音と音楽の使い方、チラ見せされる画面のどれにもセンスが香り、 青さと若さが爽やかに伝ってきた」(20代男性・映画祭プログラマー)

 


ブレット・トレイン

★「予告編でお腹いっぱい感」(40代男性・映像ディレクター)

★「疾走感」(50代男性・映画プロモーション)

 

HiGH&LOW THE WORST X

★「テーマ曲聴いただけで前作の快感が。これは反則です(誉めています)」(30代女性・宣伝・配給)

 

ヘルドッグス

★「岡田准一さんがめちゃくちゃセクシーだった」(40代女性・SNS担当)

 

MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

★「提示される要素が程よくて、続きが観たくなりました!」(50代男性・宣伝)

 

線は、僕を描く

★「良くも悪くも本編のいいとこを切り貼りした構成ですが、楽曲を頭から流した選択に心打たれました。また、1分23秒の尺で、二通りの見せ方を魅せてくれた感覚。気づいたら映画館にいました」(20代男性・オンライン番組ディレクター)

 

RRR

★「パワーがあって、一回見たら忘れられない濃さがあった」(20代女性・共感シアター出演者)

 

ドント・ウォーリー・ダーリン

★「切り抜くシーンがどれもぞくぞくするものばかりで、音楽の盛り上げ方も全編見たくなるような興味を惹く仕上げになっていた」(20代女性・デジタルプロモーションプランナー)

 

土を喰らう十二ヵ月

★「映像の全てが美しく、美味しそうで魅力的でした」(40代男性・映画記者)

 

ある男

★「特報のエルビスプレスリーもよかったし、劇伴のCicadaの音楽がとてもいいので本予告・TVspotもとても心に響いて好きでした」(20代女性・デジタルマーケティング)

 

母性

★「重い映画ながら予告編ではエンタメ感をだしまくっていた。どうせならこれくらいギャップがあっても良いと思った」(40代女性・WEB編集)

 

MEN 同じ顔の男たち

★「ナレーションにあるように、美しいシーンは非常に美しく、不気味なシーンは非常に不気味で惹かれる。最後の最後にある、顔と声で恐怖心を与える一瞬のカットも素晴らしい」(30代男性・映画ライター)

 

ラーゲリより愛を込めて

★「伝えたい台詞が、上手い編集で全て入れていたから」((50代男性・宣伝プロデューサー)

 

Dr.コトー診療所

★「主題歌のかかりどころと風景の見せ方が素敵だったため」(30代女性・デジタルマーケティング)

 

ケイコ 目を澄ませて

★「独特の色味と岸井ゆきのの表情が印象的で、この映画を絶対観たいと思わせてくれたから」(30代男性・動画ディレクター)

 

フラッグ・デイ 父を想う日

★「久々のショーン・ペン作品という理由もありますが、予告を見て設定の面白さと単純にこの先の結末を見てみたいと心動かされた点」(40代男性・デザイナー)

 

KIQ REPORTが全国の15歳以上の男女9,100名の映画ファン(半年に1本以上劇場で映画鑑賞をする人)を対象に調査した結果、約75%もの人が「鑑賞する映画を決める際に、予告編をチェックしている」ことがわかりました。やはり、宣伝ツールとして予告編は大きな役割を担っていることを再認識させられます。その中で記憶に残る理由を聞いてみると、作品によって様々なアプローチがあると今回も多くの発見があり、今後の参考になる点もあったのではないでしょうか。

また、「映画館で上映前に流れる予告編を見るのが楽しみ」という映画ファンは83%に上ります。映画ファンにとって、上映前に流れる予告編は宣伝ツールでありながらひとつのコンテンツとしても楽しんでいる様子がうかがえますね。

3週にわたり、映画業界人の記憶に残る【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】【予告編】をご紹介してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回の2023年上半期編もどうぞお楽しみに!

 

【関連リンク】
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【ポスタービジュアル】/2022年上半期
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【キャッチコピー】/2022年上半期
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【予告編】/2022年上半期

 

【調査概要】
調査時期:2022年12月19日(月)〜2022年12月26日(月)
調査手法 :インターネット調査(FastAsk利用)
調査対象:計9,100名 (15〜69歳 男女)
調査定義:映画ヘビーファン=月に1本以上劇場で映画鑑賞する人/映画ミドル=2~3ヶ月に1本程度劇場で映画鑑賞する人/映画ライトファン=半年に1本程度劇場で映画鑑賞する人

 

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