調査レポート
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【予告編】/2022年上半期
完成した1本の映画をどう見せるか、興味を持たせるか、“映画の顔”となる宣伝クリエティブ(予告編・ポスター)が担う役割は非常に大きく、宣伝マンの腕の見せどころ。
昨年12月に発表した“2021年下半期編”に続き、KIQ REPORTでは、宣伝プロデューサーやパブリシスト、グラフィックデザイナー、予告編ディレクターなど、映画業界で働く“映画業界人”26名に、2022年上半期(1月~6月)公開映画で1番記憶に残る【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】【予告編】を聞いてみました
前回の【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】に続き、今回は2022年上半期、記憶に残った【予告編】を発表します!
★《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【ポスタービジュアル】/2022年上半期
★《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【キャッチコピー】/2022年上半期
一番の役割を達成!〈映画が見たくなる賞〉は『余命10年』と『TITANE/チタン』に
2022年1月~6月劇場公開の映画で、1番記憶に残る【予告編】を聞いた結果、最も多い票を集めたのは、『余命10年』と『TITANE/チタン』でした。
『余命10年』
・「映像やRADWIMPSの音楽含め、作品の世界観が伝わる内容で、“観たくなる”予告編でした。超特報、特報、予告編全てよかった」(30代女性・映画宣伝)
・「RADWIMPSの音楽がとても印象に残る作品。“あといくつ心臓があれば…”と何度聞いたことか。音楽を聞いてすぐ映画に結び付く邦画は久しぶりでした」(40代女性・映画マーケティング)
・「映像が強烈で、とにかく観たいと思わせてくれたから」(20代男性・オンライン番組ディレクター)
・「気味の悪い(褒めている)シーンの羅列と軽快な音楽のコントラストが良かった」(30代女性・映画宣伝)
いずれも、“映画が観たくなる”という理由が挙がっています。記憶に残る理由は多々ありますが、映画の鑑賞意欲を上げるという、映画宣伝1番の役割を達成しているのは宣伝冥利につきるのではないでしょうか。
また、印象を残す大きな要因となる音楽については、『余命10年』は映像とマッチしていた点で、一方の『TITANE/チタン』は映像とのコントラストがポイントになっており、音楽を使ったアプローチの仕方も様々であることを改めて感じさせられます。
期待を裏切らない!〈ファンの期待に応えたで賞〉は洋画3作品!
2022年上半期の洋画界は、大人気ハリウッド映画の最新作公開で賑わいました。業界人にもファンが多いようで『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』『トップガン:マーヴェリック』には、作品ファンからの票を集めました。
・「サム・ライミ版からスパイダーマンを追ってきたファンからすると過去シリーズのヴィランたちの登場は最高に興奮しました! MCUは『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、まだ、こんな映像を魅せてくれるとかと思いました!」(20代男性・オンライン番組ディレクター)
・「期待していた分、何度も繰り返し見たので印象に残っている」(30代男性・映画宣伝)
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(DC FanDome Teaser)
・「ひたすらダークで暴力的。ずっと見たかったバットマン。名作になる予感しかなかった」(30代男性・映画サイト編集)
『トップガン:マーヴェリック』(特報)
・「最初の1音が流れただけで、それとわかる音楽。ずるいけど嬉しすぎた」(40代男性・オンライン番組ディレクター)
ファンが多い作品であればあるほど、予告編への期待も高まるもの。ときに批判を浴びるのも人気作品の宿命ではありますが、さすがハリウッド大作!ファンの期待を裏切らない予告編でより作品への期待を高めたようです。興行においても好成績をおさめており、現在公開中の『トップガン:マーヴェリック』の動員もどこまで伸びるのか期待されますね。
知らないのはもったいない!業界人の記憶に残る多彩な予告編
1作品で何種類もの予告編が制作されることも多くなり、接触する映像素材の本数も増えてきました。とくに映画業界人は予告編の数を観ている方だと思われますが、その中から1本選んだ予告編を見てみると、非常に興味深いものばかりです。ぜひご覧ください!
『麻希のいる世界』(特報)
・「期待感が高まった」(50代男性・宣伝プロデューサー)
『牛首村』(特報)
・「通常予告編は長くしたくなる物だが、5秒ジングル的予告編をティザーで使う事で、お客様への刷り込みが大成功していると感じた」(50代男性・宣伝プロデューサー)
『ブルーサーマル』
・「主題歌も映像も抜群に爽やかで、それまで関心がなかったのに興味深々になった」(30代男性・映画記者)
・「自分がこの手のコメディが好きだという理由もありますが、予告編だけでずっと笑ってしまいました」(30代女性・HP制作)
『スターフィッシュ』
・「予告編だけで傑作なのを予感させる。映像と音楽が非常に美しく、これだけで一つの作品と言える」(20代男性・映画ライター)
・「劇場で予告を見たときに、良くも悪くもナレーションが頭に凄く残りました」(20代女性・パブリシスト)
・「自転車エレベータ乗せて、部屋に入れちゃうの?アメリカってかっこいいな!って思った少年時代を思い出させてくれた。音楽と映像で、当時の記憶を全てフラッシュバックさせてくれるのはまさに“映画の力”ですね」(50代男性・宣伝プロデューサー)
『カモンカモン』
・「予告を見て「良作キター」と気持ちが上がりました。最後子供が「カモンカモン」と言うのが、1回見ただけもう忘れない、とても印象的でした」(30代女性・映画宣伝)
『死刑にいたる病』
・「阿部サダヲさんの役のハマり方とあの死んだ目が強烈すぎた」(40代男性・グラフィックデザイナー)
・「音楽とモチーフの強さに任せ、口パクもお構いなしの「予告的既成概念無視」の構成に、『シン・ゴジラ』から一貫するクリエイティブの強さを感じた」(30代男性・予告編ディレクター)
『バブル』
・「映像の見せ方がとても新鮮で、まさに没入体験ということをクリエイティブで見事に表現していると思いました」(40代男性・宣伝プロデューサー)
・「絵が綺麗。そして、重力が壊れた世界でどのような話が繰り広げられるかすごく気になったため」(20代男性・Web制作)
『ハケンアニメ!』
・「圧倒的なメッセージ性。作品自体をとっても表現している。宣伝担当しているが、クリエイティブ担当がこれをあげてきて、初めて頭の中でボヤッとして何かが見えた気がした」(40代男性・宣伝ディレクター)
『わたし達はおとな』
・「劇中シーンをまるまる使っているのが斬新だった」(20代女性・宣伝アシスタント)
3週にわたりお届けしてきた、映画業界人の記憶に残る【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】【予告編】(2022年上半期編)はいかがでしたでしょうか? 今回は興行面でも好成績を収めた『余命10年』が全体的に支持を集めました。“余命もの”という強いイメージを超える一貫したコミュニケーションが成功したことも要因のひとつかもしれませんね。
他にも作品の公開規模に関わらず、多様な作品が挙げられたもの映画業界人ならでは。毎月多くの作品が公開される中、気付かなかった素晴らしい宣伝クリエイティブを知れるのも本企画の楽しみのひとつです。さらに、各宣伝マンが思いを込めて作ったクリエイティブの中に、今後の映画宣伝のヒントが少しでもあれば幸いです!
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