調査レポート
《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【キャッチコピー】/2022年下半期
映画宣伝において、“映画の顔”となる宣伝クリエティブ(予告編・ポスター)が担う役割は非常に大きく、宣伝マンの腕の見せどころ。試行錯誤を重ね開発されたクリエイティブは、どれも素晴らしいものばかりです!
KIQ REPORTでは、半年に一度、宣伝プロデューサーやパブリシスト、グラフィックデザイナー、予告編ディレクター、広告代理店担当者、映画祭運営者などなど、映画業界で働く“映画業界人”の記憶に残った<ベスト宣伝>を発表しています。
3回目となる今回は、映画業界人36名に、2022年下半期(7月~12月)公開映画で1番記憶に残る【ポスタービジュアル】【キャッチコピー】【予告編】を聞きました。
前回の【ポスタービジュアル】に続き、今回は…
2022年下半期、映画業界人の記憶に残った【キャッチコピー】を発表します!
★《発表!》業界人が選ぶ! 記憶に残る【ポスタービジュアル】/2022年下半期
この監督だからこそ伝わるものがある!
〈監督イメージとの相乗効果で訴求力UPで賞〉は洋画2作品!
2022年7月~12月劇場公開の映画で、1番記憶に残る【キャッチコピー】を聞いた結果、最も多い票を集めたのは、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の「奪われるのは目か、心か。」と『NOPE/ノープ』の「最悪の奇跡が起こる。」でした。
「奪われるのは 目か、心か。」
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
★「アバターの良さを活かしたコピー。アバターを見たことある人なら、よりピン!とくるコピーだと思った」(20代女性・宣伝アシスタント)
★「とてもナイスな言い回しと端的な表現で、嫉妬を覚えました」(40代男性・宣伝プロデューサー)
★「作品全体をとても表現しているコピーだと感じました。実際に見て、両方奪われました。映像も物語も素晴らしかった。これぞ映画だと思った。」(40代男性・宣伝ディレクター)
革新的な3D映像を生み出し業界を震撼させた前作から13年を経て、待望の続編公開となりました。本作でも最新の技術を駆使した映像美に大きな期待が寄せられる一方で、家族の物語を通して訴えかける多くのメッセージも作品の魅力ですね。短い一文ながら、作品の魅力を余すところなく伝える素晴らしいキャッチコピーです!
「目を奪う」ほどの映像体験という、ストーリーではなく技術的な部分を打ち出すのは珍しいことですが、これは撮影技術とハイクオリティな映像で映画業界のトップに君臨するジェームズ・キャメロン監督作品だからこそ生きてくるコピーです。監督のバリューも上手く利用し、作品への期待をさらに煽ることに成功しました。
「最悪の奇跡が起こる。」
『NOPE/ノープ』
★「“最悪”と“奇跡”というミスマッチな単語が非常に興味をかき立てるため」(30代男性・映画ライター)
★「コピーだけだとインパクトはないが、“ジョーダン・ピール”“NOPE”とのコラボが期待感を煽ります」(40代男性・リサーチャー)
★「神?悪魔?が悪さをするみたいなワクワク感と見た後、見事なミスリードをしているから」(50代男性・宣伝プロデューサー)
過去に公開されたホラー2作品がスマッシュヒットを記録し、映画界でいま大注目のジョーダン・ピール監督の最新作。「最悪」「奇跡」という相容れないワードが並ぶことで、作品の不穏さを助長させています。さらに、そこにジョーダン・ピール監督という名前が加わると、本作でもただならぬことが起こりそうな期待感が高まります。こちらもうまく監督イメージと相乗化を生んだキャッチコピーですね。
シンプルでストレートな言葉は記憶に残る!
〈シンプルだけど強烈で賞〉はこちら!
今回もシンプルなキャッチコピーに多く票が集まりました。中でも『PIG/ピッグ』と『激怒』はシンプルながら強烈なインパクトを残したようです。
「俺のブタを返せ。」
『PIG/ピッグ』
★「上映時間91分を簡潔に集約させたコピー。ニコラス・ケイジが愛するブタを奪還するストーリーに相応しく、強烈な印象を受けました」(20代男性・オンライン番組ディレクター)
★「シンプルでインパクトがあり、シリアスなビジュアルとのギャップが面白い」(40代男性・映画記者)
「俺は、お前らを殺す。」
『激怒』
★「タイトルと共にシンプルで強い」(30代男性・映画サイト編集)
★「キャッチコピーという名のプロット」(40代男性・映像ディレクター)
「俺のブタを返せ。」という一見面白みのあるコピーも、シリアスな表情のニコラス・ケイジと並ぶとただならぬ空気を醸し出し、また、「俺は、お前らを殺す。」というよくありそうなコピーも、絶妙な角度から捉えた主人公の表情と「激怒」というタイトルが合わさると狂気が何倍にも増していますね。キャッチコピーは、映画タイトルやポスタービジュアルとの相乗効果で何倍にも作品の魅力を訴求すると再認識させられます。
ほかにもあります! 業界人の記憶に残ったキャッチコピー
さすが業界人!今回もバラエティに富んだキャッチコピーが集まりました。投票理由と合わせてご紹介します!
「命をたぎらせ、生きろ。」
『キングダム2 遥かなる大地へ』
★「ポスタービジュアルに合っていたから」(50代男性・映画プロモーション)
「ここは80年代。子供が主役です。」
『サバカン SABAKAN』
★「草彅さんが演じる大人が主役だと思っていたのを、キャッチコピーで軌道修正できたから」(40代女性・SNS担当)
「なぜ?どこへ?」
『彼女のいない部屋』
★「これまで見たキャッチコピーの中で最も情報が少ないため、すごく内容が気になった。また、シンプルだから記憶に残った」(20代女性・WEB編集)
「最悪が止まらねぇ。」
『ブレット・トレイン』
★「マイナスな言葉だからこそキャッチーかつインパクトがあるから。また、ストーリーを簡潔にまとめている」(20代女性・デジタルプロモーションプランナー)
「私は友達を殺しました 私は裁かれないと言われました。それが本当なら私は一生許されない」
『消えない虹』
★「これだけでテーマが明確に伝わってくる」(40代女性・WEBサイト編集)
「親ガチャなんて関係ない!」
『スーパー30 アーナンド先生の教室』
★「インドの実話を日本の事象にブリッジさせている点」(50代男性・宣伝プロデューサー)
「一緒に遠くまで行くよ!」
『愛してる!』
★「本編を観たあとは凄く良いなぁと思えるコピーなのですが、タイトルロゴが派手で観る前は気づかず…。本編もとても良かったのであえて挙げさせていただきました」(30代女性・宣伝・配給)
「死んでも死んでも、殺される。」
『カラダ探し』
★「それは嫌だなー、と思わず笑ってしまった」(40代女性・WEB編集)
「彼女は、路上を選んだ。」
『冬の旅』
★「作品の温度感と厳しさが凝縮されていて、主語もやはり“彼女”で間違いない作品なのでバッチリ。 “路上”を“選ぶ”と考えるだけで胸の奥が握られるような言葉を、シンプルにあっさりと表現してしまう距離感も、作風によくマッチしていると思います」(20代男性・映画祭プログラマー)
「想いは、受け継がれる。」
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
★「作品への思い入れがあったので、一番ぴったりなコピーだと思い心が震えたのを覚えています。」(20代女性・オンラインパブリシティ)
「行ってきます。」
『すずめの戸締まり』
★「“成長”を感じさせるコピーや感情に訴えかけるコピーにも出来たところを、そうしなかったところが印象的だった」(30代女性・デジタルマーケティング)
「愛したはずの夫は、まったくの別人でした―」
『ある男』
★「やや説明的なセリフ調のキャッチコピーですが、『ある男』というシンプルなタイトルが一気に色んな意味を持つようになり、この組み合わせが機能的で効果的で面白かった」(20代男性・映画祭プログラマー)
「あなたは〈彼女〉を、体験する。」
『あのこと』
★「物語のテーマや単なる人物紹介ではなく、作風をキャッチコピーにしていて珍しく、でも批評的な言葉だからこそ作品の鑑賞後に重みが増すような“まさしく”と思えるキャッチコピー」(20代男性・映画祭プログラマー)
「ただ、負けたくなかった。」
『THE FIRST SLAM DUNK』
★「シンプルで原作ファンの心をつかむ最高の一言だと思います。すべてが詰まっている」(20代女性・デジタルマーケティング)
★「キャッチコピーらしからぬ挑発的な言葉に、キャラクターの人間性がしっかり息づいていて素晴らしいと思いました」(30代男性・予告編演出)
「逃げ出したい、でも諦めたくない」
『ケイコ 目を澄ませて』
★「特別なキャッチコピーではないが、ビジュアルと相まって一番記憶に残った」(30代男性・動画ディレクター)
次回は、映画業界人の記憶に残った【予告編】を発表します!お楽しみに!
キャッチコピーは常にポスタービジュアルとセットで作品を訴求していくので、キャッチコピーだけを聞くと、なかなか記憶に残っているものがないかもしれません。キャッチコピーをビジュアル的に認識している可能性は高そうです。今回紹介した作品も、キャッチコピーの言葉だけでみるとシンプルながら、映画タイトルや監督イメージ、ポスタービジュアルと合わさると、その言葉のもつ意味も大きくなり、作品の訴求力もUPしていました。技術革新によって膨大な情報の中を生きる現代人にとって、より端的に人の興味をひいたり、人の記憶の中に残ることがコミュニケーションの最重要ポイントになっている今、作品の本質を伝えるキャッチコピーはますます重要になっていると感じます!
【関連リンク】
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【調査概要】
調査時期:2022年12月19日(月)〜2022年12月26日(月)
調査手法 :インターネット調査(FastAsk利用)
調査対象:計9,100名 (15〜69歳 男女)
調査定義:映画ヘビーファン=月に1本以上劇場で映画鑑賞する人/映画ミドル=2~3ヶ月に1本程度劇場で映画鑑賞する人/映画ライトファン=半年に1本程度劇場で映画鑑賞する人
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