プロが見たこの映画

オンライン番組ディレクターが語る「全てにおいて「庵野秀明」が反映された『シン・ウルトラマン』」

2022-05-17更新

 

『シン・ゴジラ』を成功に導いた庵野秀明と樋口真嗣が再びタッグを組んで作り上げたのが本作『シン・ウルトラマン』。巨大生物=禍威獣の出現が当たり前となった現代日本を舞台に、突如現れた銀色の巨人=ウルトラマンと、その出現をきっかけに次々と現れる外星人との戦いを描く、まさに「空想特撮映画」だ。既に大ヒットスタートを記録しており、筆者も公開初日に観に行ったが、客席は8割~9割が埋まっていた。ちなみに年齢層はかなり高め。やはり本作は往年の特撮ファンの興味意欲が高いらしい。

作品を見ると、まさにそういった人たち、特に初代ウルトラマンの視聴経験がある人たちが喜ぶような作品だったように感じる。登場する禍威獣や、ウルトラマンの設定や効果音、演出など、随所にそういった仕掛けがなされていた。ここは『シン・ゴジラ』とは少し違うところで、あの作品はもちろんゴジラファン的にグッとくる演出を入れながらも、基本的には全く新しい形の作品として成立しているが、本作はどちらかというと、よりウルトラマンファンに寄り添った作品になっている。

その辺りは作品全体を監修している庵野秀明の影響がかなり大きいだろう。本作では企画や脚本を務めていることはアナウンスされているが、実はそれ以外にもかなり多くの部分で庵野秀明が関わっている。庵野氏はプロデューサーとして作品全体を監修しながら、実は宣伝においても総監修を務め、ティザーポスターのデザインやタイトルロゴのデザインも担当している。つまり作品のクリエイティブな部分から、宣伝的な部分まで全てにおいて庵野秀明の意志が反映されたものが『シン・ウルトラマン』なのだ。

 

また本作の宣伝を語る上で欠かせないのは、円谷プロが立ち上げた配信サイト「TSUBURAYA IMAGINATION」の存在だろう。これまでテレビ放映されたウルトラマンシリーズはもちろん、海外のウルトラマン作品や、グリッドマンをはじめとするウルトラマン以外の円谷作品が視聴可能(加入コースによる)という配信サイトだ。この配信サイトでしか見れない『シン・ウルトラマン』関連のコンテンツや、ムビチケ特典もここで見れることになっている。もちろんテレビシリーズなども見ている筆者は加入済みなのだが、『シン・ウルトラマン』はここ最近ウルトラマン作品から離れてしまった、昔ウルトラマンが好きだったファンに加入を促すのに、これ以上ない作品だ。円谷プロの抜け目ない戦略、凄い。

 

作品については、前半はエンタメに振り切った作品になっており、実に「ウルトラマン」らしい展開。後半は一転してウルトラマンをはじめとする圧倒的な力・科学力を持った外星人に対してどのように向き合っていくのか、その時政治は何をするのか、人類はどうすべきなのかという非常に哲学的な、かなりSF的な展開になっている。この辺はかなり好みの分かれる展開ではあるだろう。

ネット上では、特に長澤まさみのキャラクターの描写を巡って賛否が出ているようだが、確かにその部分については気にはなったものの、ウルトラマンという作品の面白さは出ていたと思う。特にウルトラマンを全く観たことがない人にとっては、非常に良い原体験になったのではないだろうか。ただし、個人的にはキャラクターや戦闘シーンの全てをCGで描いたことは、少し残念だった。やはり特撮の醍醐味はミニチュアや着ぐるみでのものだと思っている身からすると、そこがあればもっと良かったのにと、それは思ってしまった。

 

『大怪獣のあとしまつ』の記事でも書かせて頂いたが、特撮の作品が、それもウルトラマンの作品がここまで注目を集める機会はめったにない。ただ、日本の特撮ヒーローの歴史は間違いなく「ウルトラマン」が原点。映画として楽しむのはもちろん、日本が世界に誇るコンテンツという点でも、是非観てもらいたい作品だ。

 

オンライン番組ディレクター 大西D

 

 

『シン・ウルトラマン』
大ヒット公開中
監督:樋口真嗣 企画:庵野秀明
キャスト:斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴ほか
配給:東宝

 

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(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

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