プロが見たこの映画
オンライン番組ディレクターが語る「タイムリミット3時間の謎解きに挑戦してみては!?」
映画をあまり観ない、観るけどそこまで詳しくないという方でも、コウモリのエンブレムを掲げ、漆黒のスーツに身を包んだ彼の名を知っているのではないでしょうか。これまで、数々の俳優が演じ、個性の異なる監督によって実写映画化されたDCコミックの人気ヒーロー「バットマン」。
名前は知られていても、実際の映画鑑賞経験やバットマン興味度はバラバラですよね。筆者はノーラン監督三部作を観ていますが、これも10年前の作品ですし、大ヒットした『ジョーカー』の方が印象強い人も多いと思います。バットマンを知っている人はもちろん楽しめると思うのですが、ほぼ知らない初心者レベルでも楽しめるのか?そんなことも考えながら観てきました。
結果、本作はバットマン初心者でも楽しめる内容になっており、ここから“バットマン沼”にハマっていくきっかけにもなり得る作品だと思いました。何故かって?本作はバットマンになって2年目のストーリーだからです。
舞台はハロウィンの日のゴッサム・シティ。街は仮装をした人で溢れるなか、市長が殺害されます。犯人は自分のことをリドラーと名乗り、現場にバットマン宛てのメッセージを残します。バットマンと言えば、ジョーカーのようなカリスマ的でどこか惹かれてしまう魅力的なヴィランが登場することも特徴の一つです。
本作に登場するヴィラン・リドラーは、犯罪を犯しては手掛かりを残し、バットマンに推理させようとする なぞなぞやゲームが好きなヴィランなのですが、本作では、原作にはない連続殺人鬼という設定が加えられています。
シリーズを再出発したバットマンの最初のヴィランがリドラーである点も、バットマン初心者にとって、観やすいと思える理由の一つかもしれません。リドラーの特徴を活かし、謎解きやサスペンスといったジャンルに振り切っているからです。そのため、歴代のバットマン色とは異なる作品に仕上がっています。
メガホンをとったのは『クローバーフィールド』『猿の惑星』シリーズで知られるマット・リーヴス監督。DC映画(DCエクステンデッド・ユニバース)とは、独立した内容になっているため、雰囲気も演出もかなり異なっています。ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』を彷彿とさせるような世界観に包まれ、キャラクターの内面を描いた芸術路線の映画です。舞台のゴッサム・シティの治安もかなり酷いです。そんな、ゴッサム・シティと友好都市提携を結んだ広島県福山市のお話はまた別の機会に。
前述のとおり、本作の特徴は謎解き・サスペンスの要素が色濃いことです。それもそのはず、知能犯リドラーが仕掛ける殺人事件は、実際にアメリカで起こったゾディアック事件を基にしていると監督は言います。作風や事件の流れがブラッド・ピット主演の映画『セブン』(95)に似ていると思ったのもこのためかもしれません。「バットマン」シリーズ最新作でピンとこなくても、『セブン』ぽいといえば興味がわく人もいるかもしれませんね。
ちなみに、上映時間は3時間近い長編であり、『ダークナイト ライジング』(12)を抑えて、バットマン単体の映画としては、史上最長になります。休日の午前中、ベッドの上でSNSをイジっていると3時間なんてあっという間に過ぎ、”時間が溶ける”なんて表現もありますが、本作も3時間かと構えていると体感はその半分の90分くらい。(ちょっと言い過ぎかもしれません…)
時間が溶ける感覚は人それぞれですが、果たして、制限時間3時間でリドラーが仕掛けるなぞなぞは解けるのか。シリーズ最新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』という謎解きに挑戦してみてはいかがでしょうか。
オンライン番組ディレクター 片山大輔
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
2022年3月11日公開
監督:マット・リーヴス
出演:ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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