プロが見たこの映画

『映画 えんとつ町のプペル』宣伝担当が語るシリーズ<最終回>

2021-04-07更新

間も無く公開が終わります。

『映画 えんとつ町のプペル』は昨年12月25日の公開から3ヶ月が過ち、遂に興行収入24億を突破いたしました。いよいよ映画館での上映もまもなく終了いたします。
今でも誰かに会ったら「プペル観ました?」と聞いていますが、まだまだ観てない人がたくさんいらっしゃいます。映画を大ヒットさせ、皆さんに映画を観ていただく事の難しさを改めて痛感しています。今まで西野さんの活動を中心に作品の魅力を届けてきましたが、このタイミングですが、改めて作品の魅力を振り返りたいと思います。

最近よく言われるのが「絵本が売れてるから映画も当たりましたね」という事です。それは違います。改めてお伝えしますが、『映画 えんとつ町のプペル』は大ヒット絵本の映画化ではありません。宣伝開始時は、知名度もほぼ無いオリジナルの絵本が原作です。それがなぜこんなに大ヒットしたのか?
つい、西野さんのご活躍を全面に出してしまうのですが、純粋に作品が良いからであると思っています。
私が、本作が「これはヤバイ」「絶対当たるヤツ」って気付いたのは、ラッシュ(未完成の映像にアフレコ音声が入ったもの)を見たときでした。絵本も読み、脚本も何度も読んで事前に内容は把握していましたが、声が入った映像を見たときに自分の想像を大きく超えている事に驚愕しました。「これは当たるやつ、いや、当てないとまずいやつだと」。

何も知らずこの世界に現れた、純粋でおとぼけ感のあるプペルを窪田正孝さんが完璧に演じ、そして「誰か見たのかよ!」という芦田愛菜さん演じるルビッチのセリフを聞いた時、本作に関わっていて良かったとさえ思いました。そして、極め付けは立川志の輔師匠が演じるルビッチの父ブルーノのラストシーン。アニメーションとセリフが絶妙に絡み合い、想像を超えた世界へと導いていく。そこには緻密に設計された世界と、演者の魂が加わり、人間の手によりデジタル信号で作られた世界が、現実を超えて我々の感情を揺り動かす。
やりすぎな演出は冷めるし、技術の低さも現実に引き戻される。まさに映像力と演技力が絶妙にシンクロし、プペルの世界を作り上げ、そこにさらに音楽が加わり、違和感の無い自然な世界を作り上げる。当たり前のようなワンシーンに物凄い情報量が詰まっている。幾重にも別れたレイヤーの、その細かい背景一つ一つの全てが動いているのだ。すると、そこにあるはずのない風を感じ、心を感じ、全てに生命が宿る。アニメーションに偶然は無い、監督が神となりその世界を支配し作っていくのだ、雨を降らすも、風を吹かすも監督次第なのである。プペルの世界観と細かい演出には圧倒された。

えんとつ町は閉ざされた世界。そこで暮らす人たちは、政府によりコントロールされたその世界の中で暮らしている。たとえそこに真実があると気付いても、見て見ぬ振りをして暮らしている。そっちの方が楽だから。そこに現れたのが、心が異常にまっすぐなプペルとルビッチ。みんな空なんかない、星なんてあるわけないって思おうとしているのに、「本当はあるんじゃない?」と星を見つけにいくお話。
かなり直球のお話ですが、そこがミソです。実は、鑑賞者の多くはアントニオという脇役に感情移入して泣きます。僕もその一人。主人公のルビッチやプペルではなく脇役アントニオで泣くのです。アントニオは、ルビッチの”元”友達で、劇中でプペルのことを殴る嫌な奴。
まっすぐな物語の中に存在する、この歪んだ心は、違和感として存在し、目立ち過ぎるくらい目立ちます。

「え?こういう話だったの?」
「バカにしてたけど、3回泣いた。」
という声をよく聞きますが、きっと想像と違っていた何かに心が動いたんだと思います。

「本当に面白いのかよ?」そんな疑いの気持ちで良いので是非劇場で見てください。

本作は大きなスクリーンで観ておくべき作品であると思っています。映画業界関係者の方は特に「資料」としても観ておくべきだと思っております。
西野さんの素晴らしい原作を、ここまで作り上げたSTUDIO4℃の技術を大画面でご覧いただきたいと思います。

ディズニーは倒せませんでしたが、映画業界に風は吹いたと思います。

面白いか、面白くないかは、観て決めてください。
是非、最後のチャンスをお見逃しなき様、最後のお願いです。

映画 えんとつ町のプペル 宣伝担当

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② フライングから始まるポジティブ思考
③ 一人一人を大切に、みんなで当てるこだわり 
④ 宣伝プロモーションは一方通行なのか?

★「映画 えんとつ町のプペル」大ヒットの鍵を握る13のキーワードを直接聞いてみた【動画】
①生配信番組ノーカット版映像
②生配信番組見どころ凝縮ダイジェスト版映像
③アフタートーク【前編】映像
④アフタートーク【後編】映像

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