プロが見たこの映画

宣伝担当が語る『映画 えんとつ町のプペル』がヒットすると思う理由③

2020-12-21更新

第三回:一人一人を大切に、みんなで当てるこだわり

大ヒットを狙う時、マスに広げよう広げようという意識に囚われてしまう。限られたお金で広げるにはネタを作り、バズを起こす。これに囚われて我々宣伝マンは生きている。プペルの宣伝をしていると、この考えさえも変化してくる。当たり前だがマスは、あくまで一人一人の集合体でしかない。西野(西野亮廣:製作総指揮・脚本・原作)式マーケティングは、個を大切にし、その熱量を活かす場を提供することで、拡散へつなげていく。言い換えると、人の力を信じたマーケティングである。これは、あくまでも、映画の宣伝担当の目線でみた、西野さんの宣伝手法を勝手に語っている記事なので、あくまでも個人的解釈だということをご理解いただけますと幸いです。

ファン以外への拡散は、ファンから始まる

よく関係者から「西野さんのファン以外へどう広げるかが課題ですね」と言われる。実際私もそう思う。しかし、1年やってみて思うのは、ファンムービーの何がいけないのだろうか?という事。ファン以外への広がりを別に作るのではなく、ファンの方の熱量を限界まで上げ、その延長線上に広がりがあるのではないだろうか?と。ファンの熱量を活かすには?<好き>という気持ちを<行動>に変化させるきっかけを作ることである。ある日西野さんに言われたのは、「ポスターってデータ配っちゃだめなんですか?」でした。今まで一度もデータを配るという事を考えたことがなかったが、我々の目的は、一人でも多くの人に見てもらいたいと考えているのだから、悪いはずがない。「OKです!」と答えると、速攻西野さんのブログで配布が開始される。とにかく、OKから実施までがとにかく早い。それを追いかけ公式HPで告知を開始する。すると、次々と「貼りました」と報告が届く。それを西野さんが丁寧にRetweetしていく。「あ、こんなことできるんだ」とさらにその輪は広がり、一人でチラシを何千枚も手配りやポスティングしてくれている人まで現れる。そして「自分に何ができる?」という気持ちが刺激され、その思いは加速し、やがて同志が集まり、驚くべき展開につながっていく。この思いが、六本木メトロハットのジャックや、渋谷QFRONTの映像展開へとつながっていくのだ。


12/22~12/27展開予定の六本木メトロハット:イメージ写真

お問い合わせボタンという大きな入り口

この活動をみて、目から鱗が落ちた私は、無謀にも公式サイトにお問い合わせボタンをつけることにした。なぜ無謀かというと、通常そのようなボタンをつけると「誰が管理するの?」ということになり、対応しきれないことも多いため、付けないことが多い。ただ、せっかく大切なことを学んだので、やってみる事にした。すると初日からすごい数の問い合わせがくる。映画に関係のない質問も、集まってくる。そして、一つ一つ丁寧にお答えしていくと、お客様の気持ちが次第に分かってくるのだ。いろんな感情の裏側にあるのは「映画を楽しみにしている気持ち」しかないこと。時には、お叱りを頂くこともあるが、全て作品に対する愛情があるからこその言葉なのだ。このやりとりで「一人を確実に劇場に運ぶこと」の大切さを感じ、毎日対応した。そして、日本中がこの映画を観たがっていると、その熱量を感じることができた。
ある日、屋外ビジョンを提供したいという話が舞い込んだ。ご自身の持つ媒体に予告を流したいというのだ。さらに、広告をご自身で購入するので映像が欲しいという話も舞い込んでくる。刺激を受けた日本中のファンが行動し始めたのだ。ここにきた問い合わせだけでも、渋谷、原宿、広島、盛岡など、数々の都市で映像が流れることが決まった。おそらく西野さんへの問い合わせの方が多いはずなので、もっと多くの露出があると思う。

ファンの気持ちを受け止める場を提供し、応援する気持ちを行動に変える。金額換算したら数千万円になるだろう。未だかつて「把握しきれない量の宣伝展開」というのを経験したことがない。

ダンスを踊るという宣伝

西野さんの戦略で、オープニング主題歌の特別映像を蜷川実花監督に依頼する。そしてエンディング主題歌をバブリーダンスで有名なakaneさんの振り付けで映像を作り始めた。当然中途半端になるはずもなく、この制作費だけで数千万円を超える金額が投入された。圧倒的なクオリティで人々の心を動かし、確実に心に刻んでいく。そして、動いた心を受け止める仕組みも用意されている。「誰でも、真似しやすいダンス設計」になっているのだ。そして、YouTubeにはたくさんのダンス動画が投稿され始める。
こういったイベントに参加することで、プペルが自分の映画になっていく。きっとみなさん映画館に来てくれるだろう。

楽しめる場所を提供し、それで遊んでもらうことで、自然とその輪が広がっていく。熱量があるところに種を巻き、さらにその種から熱量を生み出す展開は、誰にも止められない。エンドレスで広がり続けるのだ。そして広がり続ける展開は情報の伝達ではなく、<楽しい!>という心の連鎖なのだ。

こんな多くの方に応援され、心の連鎖で作品の認知が広がっている、この映画が当たらないはずがない。

映画 えんとつ町のプペル』宣伝担当

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© 西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

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