プロが見たこの映画

なぜ今『F1/エフワン』なのか──“最もエコな1000馬力”、滅びゆくエンジンの美学を見届けろ!NEW

2025-07-02更新

脱炭素時代の究極兵器「F1」最終章を堪能せよ!!

『F1/エフワン』という映画が公開されましたね。

80~90年代のF1ブームの時代ならまだしも、今なぜ?この「脱酸素」「エコ」が叫ばれる現代にあんなグワングワンうるさい、馬鹿みたいなスピードのレースカーの映画なのか?

私もしばらくぶりにF1に戻ってきた出戻りファンなんですが、実は気付いちゃったんでそれをお伝えしたい。

今、この時代だからこそ注目すべき「F1」に変貌していることをー。

そしてその現実を踏まえて、この映画をみると、沁みます。

F1エンジンは現代最高のエコ・エンジン

なんと、F1エンジンは現代最高のエコ・エンジンだったんです。
(ファンの方なら常識かもしれませんが。すいません)

エンジンといっても現代のF1はハイブリッドで通常のターボエンジンの他、ブレーキを踏むたびに発電して電力を蓄えますし、エンジンから発する熱も電力に変換し、動力として使います。
(よくわからないんですが、つまり徹底的にエネルギ―を拾い集めるんです)

その結果1000馬力を超えるパワーを出しながら、「熱効率」は58%以上ということで、普通の乗用車が30%くらいという事から考えると圧倒的に効率がいいわけです。

「熱効率」30%というのは、ガソリンの燃焼エネルギーの30%が動力、残りは大気中に熱と二酸化炭素になって放出されるということです。なんか嫌ですよね。

ところが、僕らが通常お世話になっている火力発電はどのくらいかといいますと38%くらい、トヨタのプリウスは40%です。つまりどういうことかというと、火力発電がメインの日本では生活するだけで炭素を出さざるを得ないし、テレビはそういうこと言いませんが、EV(電気自動車)に乗ったとしても、実はそこまでエコじゃないんです。

ヨーロッパは原発があるから事情が違います。脱原発を謳うドイツもフランスの原発からクリーンエネルギーを買える。だから国際会議でも「脱炭素」と言いやすい。これはもちろんハイブリッドで圧倒的優位にたつトヨタを市場から追い出すための大人の事情渦巻く話ではありますが、それでも昨年末から状況が怪しくなって、欧州の大手自動車メーカーはEV1本化路線を諦めつつあります。

もっと日本人はトヨタ・ホンダの世界での活躍を見ろ!

一方、日本はそんな海外の動きから1周遅れで、今頃「最エネ」を焦って太陽光パネルを山野に巡らせて自然破壊や災害、最終処理の問題などを生み出しているという、なんとも笑えない状況になってます。

エコを志すなら、へんな再エネ投資やったり、馬鹿みたいにSDGSとかの怪しげなお題目を唱えるより、「日本の至宝」トヨタ・プリウスに乗ったほうがいい。

いや、それよりもこの異常性能を持ったF1エンジンを市販に応用したほうがいいんじゃないか。

V10エンジン+ターボ+回生ブレーキ+熱交換機+バッテリー。

実はこんな複雑なパワーユニットを作れるメーカーはそんなにはありません。ベンツ、ルノー、フェラーリ、そして日本のホンダ、なんと4社しかF1に出ていない。そしてホンダはこの技術のトップエリートたちの中でも最もチャンピオンに近い立場で覇権を争っている。

この世界の現実と、トヨタ・ホンダの頑張りを日本人は知ったほうがいい。

F1最終章の感慨とブラピ

あと10年やそこらでエンジンで戦うF1はなくなってしまうかもしれません。

このF1最終章というべき時代、「脱炭素」という世界的な命題に、滅びゆくのを分かっていながら「英知を結集」して挑んでいる自動車メーカーがあるというのは本当に素晴らしいことだと思いますし、その中にホンダがいるのは日本人として誇らしい気持ちになります。

そしてこの時代に「F1」という映画が作られたことに、これはもう感謝しかありません。おなじみのメーカー、コンストラクター、がしがし出てきます。もしかしたらあなたのお気に入りのF1ドライバーも顔を出すかもしれません。

そしてこの「F1最終章」の時代のなんともいえない哀愁と感慨を、ブラピの寂し気な瞳が物語っているのです。必見です!

たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

 

【ストーリー】
伝説的元カリスマF1レーサーのソニーは、最弱のF1チームを救う為、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、チームメイトである若きルーキーやチームメンバーは困惑し、度々衝突を繰り返すが、次第に圧倒的なソニーの才能と実力に導かれていくー。果たしてソニーは、バラバラのチームと共に過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵たちを相手に逆転できるのか?!それぞれの情熱と誇りを胸に、命がけで夢<スピードの頂点>に挑む!

出演:ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス、ケリー・コンドン/ハビエル・バルデム
監督:ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』
プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー『トップガン マーヴェリック』
脚本:アーレン・クルーガー『トップガン マーヴェリック』
配給:ワーナー・ブラザース映画

公式サイト:f1-movie.jp

© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories

★関連記事
F1®ガチ勢に聞く! 映画ファンのための F1®勉強会

★たんす屋のほかの記事も読む
『巨大蛇行剣と謎の4世紀』剣じゃない盾じゃない、面白いのは“人間”なんだ
『はたらく細胞』二次元そのまま!「白血球男」佐藤健に大拍手!!
『エイリアン・ロムルス』今風に作ってみたが、めくれば一転、リドリー汁満載の絶品ホラー!
これはオートレースの映画ではない、過去を想い、今の自分に向き合う、そういう映画です。『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』
『グラディエーター』希代の“大作男”リドスコよ永遠なれ!「将」の才を描く傑作、その続編はアメギャン?

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる