秋ですね。
昨日まで夏だと思ったら、明日は冬かもしれない。年々少なっていく印象のある秋ですが、秋と言えば「読書の秋」ですね。今日はこの短くなる秋を愉しむオススメの本の話をしたいと思います。
オススメしたい本は小林秀雄(こばやし・ひでお)と岡潔(おか・きよし)の1965年の対談「人間の建設」です。
小林秀雄と言えば昭和期最大の文芸評論家・作家として有名ですし、岡潔は日本史上最強の数学者で、この途方もない天才ジジイ二人の雑談が、この本なわけです。
話題は、「京都の大文字焼は必要か?」からはじまり、アート、酒、現代数学、小説、アインシュタイン、本居宣長、俳句、理性と様々で、何気ない世の中のことを文系と理系の天才はどのように見ているのか?わかるという意味で興味深いですし、単にジジイ達が「今の若いもんは・・」と嘆きつつ放談している様としてみても面白い。会社でオヤジ二人が会話してるのって、側で聞いてると変な含蓄があったりして面白いですからね、ある種そういう軽いノリで入れます。
実はこの本の中で話されている重要なテーマは「個性」です。
皆さん「個性」って好きですよね。40代以下の方は「個性」が大変大切なもので、それを尊重した(と思われる)教育を受けていると思います。でも、この二人のジジイは、そんな「個性」こそダメだと言っています。
例えば、芸術について論ずるに、
岡:「(最近の人は)自我が強くなければ個性は出ない、個性の働きを持たなければ芸術品はつくれないと思っている」
小林:「(最近の人は)自分の考えたこととか、自分の勝手な夢を描くようになった。」
と辛らつで、“自分が考えたことを描いて何がいけないなのか??”と思いますが、
小説については、
岡:「物を生かすということを忘れて、自分がつくりだそうというほうだけをやりだした」
酒については、
小林:「昔の酒は個性があった。土地土地で自然にできてくるものを、大切にしていた」
岡:「日本は個性を重んずることを忘れてしまった。個性を重んずることとはどういうことか知らないのです」
という。
つまり、この二人が言っているのは、自分の身勝手な主張が「個性」ではない。そんなところから生まれる創造性や才能のレベルは低い。自然に生まれてくるもの、それを生かすことが「個性」だと、そこを考えなければいけない、と言ってるのだと思います。
考えてみれば「個性」は100%自分が生み出した、マルシー「自分」のものだと思っているけど、それって違うんですよね。さらに本当に「個性」を出したいなら、自分と周りに耳を澄ませばよいと教えてくれてます。
岡は言います。
「世界の知力が低下すると、暗黒時代になる。暗黒時代になると、物のほんとうのよさがわからなくなる。真・善・美を問題にしようとしてもできないから、すぐ実社会と結び付けて考える。それしかできないから、それをするようになる。」
なんかちょっと耳の痛い話です。コスパ、タイパ、実社会の中でしか、よさが判断できないのが当たり前になってしまった我々現代人。今の世は彼らから見たら確実に暗黒時代なのかもしれません。
というわけで、「個性」や「才能」みたいなことに悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、昭和のジジイ二人のボヤキ嘆きを聞いてみてください。生成AIが闊歩する今だからこそ、「個性」を考える意味があると思います。
はい。
共感シアターもこの状況下で耳を澄まして、自らの素性を知り「個性」に目覚めたいと思っております。
たんす屋(共感シアタースタッフ)
仲間と共に<時間><場所><感動>を 共有するからこそ大切な<体験>になる! 生配信で映画好きな奴らとその熱量を共感する! 新時代の映像コンテンツ熱量共有サポートシステム それが共感シアター!
同時再生企画のほか、オンラインイベントも対応可能!
お気軽にお問い合わせください。(問い合わせ先はこちら)
※共感シアターでは、最新コラムを含む情報盛りだくさんのメールマガジンを毎月1回配信中!
配信ご希望の方はこちらまで空メールをお送りください。
たんす屋とある界隈で有名な立花の二人がお贈りするPodcast番組。歴史ミステリーから、政治社会の陰謀論、スポーツ、映画まで、妖しい話題めんどくさいネタを愉しく語っていきます!
COMMENT
コメントをするにはログインが必要です。不明なエラーが発生しました