調査レポート
オピニオン施策は効果があるのか?
第三者に映画を観てもらい、感想や評価を発信してもらうことは、映画宣伝において重要な施策のひとつ。マスコミや映画ライター・評論家にメディアを通じて、作品紹介をしてもらうのはもちろんのこと、SNSなど個人メディアの台頭によって、著名人やインフルエンサーに映画を観てもらいSNSでの発信を増やしていく、俗にオピニオン施策と呼ばれるこの施策は効果的だと思われています。でも本当にこの施策は効果があるのでしょうか?
KIQ REPORTでは、全国15歳以上の男女809名の映画ファン(半年に1本以上劇場で映画鑑賞をする人)を対象に、オピニオンに関する調査を実施。3年前に実施した同様の調査と比較しながら、最新のオピニオン施策の影響を探ってみたいと思います。
一発必殺のオピニオンは、もはや存在していない!
「著名人のおすすめを見聞きして、その映画を観に行くことがあるか」聞いたところ、約半数の49%が観にいくことがあると回答しました。この数字は、3年前の調査から比べると、約3割減少しております。性年代・鑑賞頻頻度など細かく観ていっても、いずれの区分でも影響度が下がっていることがわかりました。
続いて、映画選びに影響力がありそうな著名人48名をピックアップし、それぞれ影響を受けるのかも聞きました。
すると、(一部人選は異なりますが)3年前に聞いた90名の影響度の平均が13.2%だったのに対し、今回の48名の影響度の平均は22.6%。おおよそではありますが、個人別では全体的に影響度が上がっているようです。前回も聴取した著名人18名の変化を見てみても、影響度は軒並み3年前から上がっています。
つまり、「著名人のおすすめコメント」という大枠では影響度は下がり、「この人がオススメしていたら」という個人レベルでは影響度が上がっているということになります。
これは、どういうことなのか?
ここからはあくまで仮説ですが、デジタル技術革新によるメディアの多角化によって、マスメディアの接触率が年々低下している傾向がありますが、これによってオピニオン(コメント)の影響の“範囲”が狭まっているのではないでしょうか?
すなわち、老若男女誰もが接しているメディアがなくなり、それゆえに誰にでも影響を与えるテレビスター的な存在が少なくなったということです。
一方で、主にwebメディアやSNSの台頭によって、人は自分が欲しい情報、好きな人物の情報を能動的にとりに行くことが主流となっています。そして一度能動的に触れたその情報に関連した情報はアルゴリズムによって次々と届くようになります。ゆえに一度でも興味を持って能動的に触れた著名人の情報が自動的に届くことになるので、個々の影響力は高まっているのではないでしょうか。
すなわち、個々の芸能人やインフルエンサーは「影響範囲」は狭いものの、「影響度」は高くなっていると考えられます。
なので、オピニオン施策として効果的なのは、万民に影響を与える一発必殺の誰かではなく、その作品のターゲットに見据えた人と親和性の高い人をとにかく数多く捕まえて、発信してもらう地道な戦略が重要になってくると思われます。
それでは、映画ファンに影響力がある著名人、インフルエンサーは誰か?3年前と比べて変化はあるのか?
次回は、具体的なオピニオンをご紹介します!
【調査概要】
調査時期:2020年11月22日(水)〜2023年11月29日(水)
調査手法:インターネット調査(FastAsk)
調査対象:計809名 (15歳~60歳以上男女)
※本調査に関するフルレポートおよびコンサルタントもご提供可能です。ご希望の方はこちらまでご連絡ください。
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