プロが見たこの映画

文学系女子が語る「“シーナ&ロケッツ”って、知ってる?本気で妻とロックを愛した男のドキュメンタリー」

2023-08-24更新

 

シーナ&ロケッツ、通称“シナロケ”というバンドをご存じだろうか。
世代も異なるうえに、音楽にとても疎い私は、
本作を観るまでシナロケについて全く知らなかったし、
もちろん彼らの楽曲を聞いたことすらなかった。
そんな私がこのドキュメンタリーを観て、ものすごく感動し、目頭が熱くなったのだから、
本作には多くの人の心に響くものが描かれているに違いない…
だから、今回は私のようにシナロケを知らない人に向けて、その理由をお伝えしたいと思う。

 

 

シナロケはギターの鮎川誠、その妻でボーカルのシーナを中心に
1978年に結成されたロックバンドである。
1979年にリリースした「ユー・メイ・ドリーム」のヒットを筆頭に、
日本のロックシーンに大きな足跡を残してきた。

シナロケの魅力のひとつは、きっと鮎川誠とシーナの夫婦愛にあるのだと思う。
鮎川が生涯をかけてロックと、そして妻のシーナを愛した姿は本作の中で何よりも印象的だ
2人の馴れ初めや、結婚までのロマンティックな道のりを聞くと、
鮎川とシーナが同じ時代に生まれて、互いに惹かれ合ったことは”運命”に違いない!と、
普段は”運命の出会い”、なんて信じない私でさえ本気で思ってしまった。
夫婦としても、バンド仲間としても素敵な関係性を築いている2人の姿に、
多くの人が応援したくなる気持ちがわかった気がした。

しかし、シーナはがんにより2014年に逝去する。


Photo by Hiroki Nishioka

それでも鮎川はバンド活動を続ける。
その理由について鮎川は、
「シーナがいないシーナ&ロケッツなんて、シーナ&ロケッツじゃないって、
一番思うのは僕なんだけど…でも…」とポツリポツリと語り始める。
そして出てきた言葉に、私は本作の中で最も心を揺さぶられたのだ!
なぜならその言葉の中に、“本物の愛“というものを感じたから…。
フィクションではないからこそ、本当にこんなにも純粋な愛って存在するのか…!
と、衝撃を受けたし、自分の心が浄化された気さえした。

そんな2人の愛は、もちろん娘たちへとしっかりと受け継がれていて、
父のギターの音色を途切れさせたくないが故に、
母・シーナの歌を引く継ぐ三女のLUCY MIRRORを含め、
3姉妹のインタビューからは、両親を誇りに思っていることが猛烈に伝わってきて、
鮎川家って、なんて素敵な家族なのだろう!!と、彼女たちの姿にもジーンと来てしまった。

 

 

そろそろお気づきだと思うが、本作は鮎川誠と家族の愛についての物語だと言っても過言ではない。
鮎川誠は家族と、そしてロックをただまっすぐに愛したことで、
様々な名曲を生み、音楽界に名を残すロックバンドとなったのだろう。

最後に、私がこの映画を観て学んだことをお伝えしよう。

ロックは、愛だ!!

 

真面目が取り柄の文学系女子 kimurama

 

 

シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~
8月11日(金・祝)福岡先行上映中、8月25日(金)全国公開

監督・編集:寺井到
出演:鮎川誠、シーナ、鮎川陽子、鮎川純子、LUCY MIRROR、唯子
ナレーション:松重豊
©RKB毎日放送/TBSテレビ

 

【このプロの記事を読む】
文学系女子が語る「知識ゼロでも露伴を楽しめた訳」/『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
文学系女子が語る「心に刺さるセリフの山に、涙が止まらなくなる。」

【ほかのプロの記事も読む】
韓国ドラマファンが嘆く「私は韓国ドラマを嫌いになりたい」
ファッションのプロが語る「「無関心な知恵より、情熱的な狂気の方がいい」引退宣言のグザヴィエ・ドランに告ぐ」
オンライン番組ディレクターが語る 「たったの1週間!?『ジョン・ウィック:チャプター2』時間経過で観る映画」
文学系女子が語る「知識ゼロでも露伴を楽しめた訳」/『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
ファッションのプロが語る「カップ焼きそばとカスタムロボ」/『佐々木、イン、マイマイン』

不明なエラーが発生しました

映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
閉じる

ログイン

アカウントをお持ちでない方は新規登録

パスワードを忘れた方はこちら

閉じる