調査レポート

ガイエ主催「映画サイト オンラインカンファレンス2023」レポート

2023-07-14更新

7月7日(金)、株式会社ガイエが主催する、映画サイトの活性化のための「映画サイト オンラインカンファレンス2023」が開催されました!

カンファレンスでは、はじめに各種データを元に映画サイトの”いま”について分析をしたうえで、
今後の映画サイトの役割はどう変わっていくのか?どう活用すべきなのか?
ということについて、ガイエ取締役 芳賀健氏よりプレゼンがありました。

その後、映画サイトシネマトゥデイ」「映画 .com」「映画ナタリー」「Filmarks」「MOVIE WALKER PRESSの編集長や事業部長など、各サイトを代表する方々によるパネルディスカッションが行われ、みなさんが日々の業務の中で感じていることや映画業界の未来について思うことなどについて、それぞれ熱く語りました!

今回は、カンファレンスの中でKIQ REPORTが注目した一部の内容をご紹介します!

映画サイトの現状は? ~数字で見る映画サイトの現在地~ byガイエ取締役 芳賀健氏

ポイント①

映画サイト全体のユニークユーザー数は3,000万人で、2年前よりユーザー数は増加!
内訳は女性が少し多く、
10~20代で全体の36%を占める。

ユーザーが増加している一方で、閉鎖されたサイトも多くあるため映画サイト運営は容易ではないことが実情のようです。また、ユーザーに若年層が多くいることから、映画ファンの世代を繋げていくためにも映画サイトは重要な役割を担っているといえます。

 

ポイント②

映画サイトを訪れる人のうち、配信サービスを月1回以上利用する人は80%以上。
つまり、映画サイトと配信サービスとの親和性は非常に高い!

親和性が高いとなると、映画サイトで新作映画だけでなくて過去の映画を紹介することは有効であるといえそうです。一方で、配信サービス別で数字をみてみると、ほとんどの配信サービスで月1回以上見ている人は50%に満たないため、まだまだポテンシャルのあるユーザーがいると考えられそうです。

 

 

ポイント③

ニュース記事は月間6,500本あげられ、月間PV数は1億に上る!
しかし、この1億PVは、映画サイト全体記事の約4分の1にすぎない…。

 →PV数が1億となると、映画宣伝において映画サイトに記事を掲載することは一定の効果があるといえます!一方で、月間6,500本もあげられるためライバルが多いことも事実です。

 

 

ポイント④

SNSより映画サイトの方が「受容態度」が積極的なため、情報取得後の効果も大きい!

 →映画情報をどれだけリーチできるかより、「受容態度」の方が重要だと考えられます。映画サイトを訪れるユーザーはSNSの併用率も高いですが、SNS の場合は映画情報だけでなく他の情報を取得するためにも使用しているため、映画サイトと比較すると効果が低いといえるでしょう。

 

 

映画サイトの“中の人”たちは何を思っている?

後半では、「シネマトゥデイ」「映画.com」「映画ナタリー」「Filmarks」「MOVIE WALKER PRESS」を運営する 編集長や事業部長など、各サイトを代表する5名の方々が登場し、日々のサイト運営で感じることや、今後の業界の展望など、さまざまなトピックについてディスカッションが行われました。その一部をご紹介します!

 

 コロナ前後の変化について、下村麻美氏(シネマトゥデイ編集長)は「映画館で映画をみるだけでなく、配信作品やドラマにも興味を持つ人が増えてきたように感じている。そんな中でも、トム・クルーズやハリソン・フォード、ニコラス・ケイジなど、80・90年代の海外俳優が一定の人気があると感じる」と述べました。
また、蛯谷朋実氏(映画 .com事業部長)は、下村氏の配信の需要が高まっている点に賛同したうえで「限定上映作品の空き席を探すなど、映画館を探している方がかなり増えており、セッション数が増えた印象」と、観客の行動変化についても述べました。

次に、現在話題になってるChatGPTのような生成系AIの影響について聞かれると、黛木綿子氏(映画ナタリー編集長)は「企画を考えたり記事を書くには人間の感性が必要だが、単純作業を自動化できるのは業務負担の軽減という点で期待できる」と回答。
一方で、後藤裕一朗氏(Filmarks事業戦略リーダー)は、同じく工数削減などポジティブな面があることについても述べたうえで「利用ユーザーを食い合う関係になっていく可能性はありそうだと感じている。現在、検索経由でサイトを訪れる人も多いが、チャットを使って会話形式でどんどん個人に最適化された作品を推薦できるようになっていくと、チャットに聞けばいいよね、となることもあり得る」と懸念点についても語りました。

最後には、映画業界の未来は明るいと思うかという質問が投げかけられ、後藤氏は「映画業界の未来を明るく捉えているが、事業者としては油断しないようにしなくてはいけないと思っている。というのは、マクロの視点で見ると少子高齢化や、ミニシアターが減少するなどの実態もあったりするので、これまで映画業界が産業として作ってきたノウハウや仕組みはリスペクトして尊重しながらも他のエンタメやファッションなど、他の産業のマーケティング手法やファンの獲得手法の良い部分を取り入れていったり、他の市場とコラボレーションしたりして、もっともっと映画市場で流通するお金や情報の総量を広げていかなければと思う」と、現状維持ではなく変化し続ける必要があることについて熱く語りました。
また、下田桃子氏(MOVIE WALKER PRESS編集長)も「映画の未来は明るいと思うが、映画業界の未来は分からないので頑張りたいと思っている」と意気込みを語りました。

 さらに、せっかくなので映画サイトの“中の人“にしかわからないことということで、司会者より映画サイトの運営において苦労していることについて聞かれると、下村氏は「すでに海外で解禁されている情報において、後日設定される日本での解禁時間に合わせるように連絡をいただくことがあるが、今はグローバルな世の中なので、その辺は許容頂けるとありがたい」と話しました。また、追加のお願いとして「アメリカでは、フェアユースということが著作権法で認められており、映画の一部を使ってオリジナルとは違ったものを作ることは、言論の自由であり、公共の利益を保護するために設けられている制度である。一方で、日本ではそれに該当するものはない。もっと作品の画像を自由に使用できるようになることで、作成するコンテンツの表現の幅も広がるし、潜在的なユーザーも増えると思う。それは映画業界にとってはプラスになることだと思うので、映画業界だけでももう少し心を広くして頂けるとありがたい」と、業界のためにもより柔軟に画像が使用可能となるように訴えかけました。

※一定の条件を満たしていれば、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用しても著作権侵害にはならないという法原理。アメリカ合衆国では、著作権法などが認める著作権侵害の主張に対する抗弁の一つで、「フェアユースの法理」が古くから確立されている。

映画サイトの紹介


エンタメ全般に興味のある人、映画を年間1、2本しか見ない人にプラスもう1本見てもらうことをコンセプトに、映画のライトなファンに向けてコンテンツを発信。強みは、YouTubeチャンネル。また、若いクリエイターを育成するための支援も積極的に行っている。


強みは、SEOの強さ。また、今年でサイトを開設して25周年で、これまで蓄積してきた映画や人物のデータベースの充実も強み。さらには、日頃のニュース配信やインタビュー取材などを通じて編集チームと各配給会社とのリレーションシップも強固である。


Twitterからの流入が多いのが強みで、読者層は20代から30代が中心。映画以外にも音楽、コミック、お笑いなど様々なジャンルがあることが特徴のため、ジャンルを跨いだブッキングやオピニオン企画が得意。


これまで蓄積された作品レビュー数は映画やドラマを合わせて1.6億レビューという、レビューの多さが強み。自分でレビューを書いたり、他のレビューに反応したり、映画好きのユーザーと繋がったりできる会員サービスということも特徴。ユーザーは、映画館で映画を観る頻度が年間10回前後のコア層が6割ほどを占めており、映画館鑑賞が習慣化している人が多いことが特徴。


次に見たい映画をみつけようということをコンセプトにしている。特徴はムビチケがすぐ買えるチケッティングに直結したメディアであることと、映画館に映画を見に行くことにアクティブな映画ファンと密接であること。

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映画ファンってどんな人? ~ライフスタイルで映画ファンを7分析~
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