プロが見たこの映画
宣伝担当が語る「これはオートレースの映画ではない、過去を想い、今の自分に向き合う、そういう映画です」
「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」
「SMAPがどれほど特別なアイドルであったか、この映画をみてはじめて気が付いた」
というのが観た後の実感で、芸能界のことに全く興味のない私にとって、このSMAPの元メンバー森且行のグループ脱退からの28年間の物語は、彼の苛烈な生き様に興味を持てば持つほどに、SMAPというグループの存在が浮かび上がってくる、そういう映画でもありました。
もちろんドキュメンタリーなので、そのあたり直接的な表現はないのですが、森さんの言葉の端々にSMAPを想う気持ちが、これは懐かしい気持ちとかではなく現在進行形であふれ出ているので、「よほどのことだ」と想いを新たにするわけです。
これは驚いたことに“一般人”も同じ傾向がありますね。
90年代後半に青春時代を送った世代は男女関わらず、ある一定の割合で、別にファンでもない人でも、SMAPについてなんか持ってますね。そういう人たちと話すと感じるんです、その“特別視“を。。
そして、「そういう想いを持った人たちにとって、きっとこの映画は特別に違いない」と思うわけです。
森さんのオートレーサーとしての、28年間は決して楽な道のりではありませんでした。
「アイドルは芸能界へ帰れ!」と言われたデビュー当時。彼は長身が故に体重がハンデになる、だからいつも厳しい体重管理を課していました。また「走る格闘技」と言われるオート―レース。バイクなのにバンバンぶつかる映像は2輪のレースに詳しい方なら「ありえない」と思われるはずです。危険と隣り合わせの世界、事故、落車に遭いながらもうまくキャリアを重ね、着実に頂点を狙えるクラスにステップアップしてきた。
そして掴んだ日本一の栄光。2020年の日本選手権での優勝だったわけですが、その82日後に落車、「もう歩けないかもしれない」というほどの怪我を負いました。
とんでもない天国と地獄だと思いますが、森さんはそこから何の迷いもなく這い上がってくる。
幾度の手術と毎日休みなく続くリハビリ。
「ほらこんなに体に入ってたんですよ」
映画の中で、森さんがぐちゃぐちゃになった骨をつなぎ合わせたボルトを術後取り出した後に見せてくれるんですが、その量が多すぎて、ドッシリ重量感でちょっと引きます。
これほどのアクシデント、
不安にかられて自身を喪失してもおかしくないのに、森且行は全く萎えない。
「何が彼を突き動かしているのか?」
この映画は“不屈の男”の心の中に迫ります。
浮かび上がってくるのは、「仲間との約束」。
SMAPの仲間たちの言葉が森さんの脳内に繰り返されて、森さんを支えた様がわかります。
「中居君が。。」「吾郎ちゃんが。。」
森さんの脳内にはその言葉を放った時のSMAPのメンバーが生き生きと再現されているのでしょう、彼は眼をキラキラさせて、その一部始終を語り、全身にエネルギーをみなぎらせる。
そう、この映画は、オートレースの映画ではなく、森さんの諦めない心の軌跡をたどる映画なんです。
だから、少しでもSMAPが心の中にある人は、この映像を観たら、熱いものがこみ上げてきます、心を揺さぶられます。そして、昔の自分を想って、今の自分に向き合い、「あきらめるな!」と背中を押す森さんを感じるはずです。
そしてもうひとつ、森さんは
「オートレースが好きだから(諦めるわけにはいかない)」といいます。
映画は、この「好き」の根源を追っていきます。
見えてくるのは、幼少期の想い出。
父と見たオートレース、兄とオートレースごっこをした公園、
初めて露になる、森且行と家族の真実。
だからこれは、先日放送されたTBS『情熱大陸』や2023年のTBSドキュメンタリー映画祭で上映された前作とも全く違う映画。
オートレーサー森且行の現在でもなく、SMAPを辞めた28年間の物語というだけでも足らず、
彼の“人間50年”の、人生の物語。
SMAPと同じ時を過ごされた方にとっては、「特別な時間を過ごせる」94分となるでしょう。
お見逃しなく!
『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』
宣伝担当
『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』
2024年11月29日(金)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
出演:森且行
ナレーション:萩原聖人
監督・編集:穂坂友紀
エグゼクティブプロデューサー:津村有紀
プロデューサー:青柳朋子 鴨下潔 石山成人
総合プロデューサー:松田崇裕 小池博
協力プロデューサー:塩沢葉子
製作:TBS 企画・制作:TBSテレビ報道局 報道コンテンツ戦略室
制作プロダクション:TBSスパークル
配給:KADOKAWA 宣伝:KICCORIT
【2024年/日本/94分/5.1ch/16:9】 ©TBS
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