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【KITT RADIO#22】予告編ってどう作る!?

2024-06-20更新

マーケティング目線で世の中を見ると、見えるものが変わってくる!

映画の宣伝プロデューサーが日々考えていることをあれこれ雑談す
「KITT RADIO|マーケティングあれこれ雑談」

出演:木村徳永さん(KICCORIT)、ターニャ(KIQ REPORT編集部)

 <#22のキーワード>
・『関心領域』の予告の凄み
・ポイントは「余白」
・予告編作りの苦悩

 

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番組では宣伝プロデューサーに聞きたいことなど、リスナーの皆様からの質問も募集中!
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【YouTube】

【Text】(文字起こし)

ターニャ
私、最近映画を見まして、久しぶりに2本見に行って、そこで1本目見たときに予告編であの『関心領域』って今、SNSでもホットなあの予告編を見て、もうこれは見なきゃと思ってすぐに『関心領域』を最近見てまいりました。ご覧になりました?

木  村
いや、見てないです。絶対見たいリストには入ってます。

ターニャ
いやそうー、すごいなんていうんですかね、私はもう本当に考えさせられた映画だったんですけど。

木  村
そうだよね。もうテーマがはっきりしてるから、こういう映画だろうなって思うところをそのまんまグサッとくるパターンのやつでしょ。

ターニャ
いやそうそうそう、本当そのままなんですよ。

木  村
設定は、自分が体験するにはありえない設定だけど、まさに今自分もそうかもしれないって思わされちゃうパターンのやつだよね。

ターニャ
いやそうです、本当に自分はどうなんだって、今生きている自分はどうなんだっていうのを終始問われて、自分も当事者っていうか、どっちの立場、いろんな立場になり得る人間だなと思って、ぐさっときましたね。

木  村
あれさ、あの予告編結構いい予告だよね?

ターニャ
めちゃくちゃそうなんですよ。私も予告編を映画館で見たときに、あれって結構SNSとか色々なところで書かれてたと思うんですけど、音をポイントにして作られてる映画だと思うんですけど、セリフとしては確か多分「ハイルヒトラー」ぐらいしかないんですよ、あの予告編って。

木  村
確かに。

ターニャ
あとは多分音だったと思うんですよね、確か。

木  村
僕もなんかねすごい食い入るようにというか、すごく惹きつけられる予告だったんだけど、セリフがないのか。何かテキストでちゃんとフォロー入ってるよね、その設定のね。アウシュビッツの横に住む家族のっていう、そこは入ってて、タイトルが『関心領域』だから、もうなんかそこでもう想像力がガーッと膨らんじゃったけど。

ターニャ
いやー、そうなんですよ。だから、久しぶりに予告編でもう見に行かなきゃって思いましたね。

木  村
あれ、やばいよね。だって、すぐ横で大量殺人が起こってるのに普通に暮らしている家族の話でしょ。

ターニャ
そうなんですよ。

木  村
でもさ、僕見てないで言うのもあれだけど、今の世の中と同じだよね。僕らもすごくSNSとかさ、そういう情報は発達してるけど、なんかもうどんどんどんどんパーソナルになってるっていうか、自分のことの身の回りだけしか関心がなくて。日本国内で何か災害があったりとかしても、ビジュアルですぐ見れちゃうから。ワーッとは思うんだけどそこまで自分ごとになってないような感覚があって。

ターニャ
めちゃくちゃそう思います、本当に。
国内もそうですし、パレスチナとかの問題もありますけど。

木  村
そう、戦争が起こってるのにもう全然無関心でいいんだろうかって思っちゃうよね。

ターニャ
本当に、結局なんかちょっと知ってるけどでも何も実際はしてない自分っていうところを、なんかすごく見つめ直させられるっていうか、とても考えさせられる映画でしたね。

木  村
なるほどね。予告編ってすごいね、人を動かす。

ターニャ
いやーそう、本当です。

木  村
見てない僕でさえちょっと語りたくなっちゃうっていうさ。すごいよね。

ターニャ
あれって本編もですし、タイトルもですし、それも相まってすごい人の想像力を掻き立てられる予告だったと本当思いますね。
予告って普段木村さんもいろんな作品を、作らなきゃいけない中ですけど。

木  村
確かに、作る側でもある。

ターニャ
作るの大変ですよね?

木  村
大変。

ターニャ
内側から考えるっていうのは、どうやってますか、木村さんは?作るとき大事にしてることとかありますか?

木  村
予告編ってあれですよね。結局何が伝えたいのかっていう。だってセリフ何にもないのに設定だけ伝えて、あとは想像してくださいっていう予告編でこんなにいいわけじゃないですか。

ターニャ
そうそう。

木  村
だから僕も気をつけてるのは、情報過多にならないようにっていうのは気をつけてて、入れたい情報っていっぱい出てくるでしょ?どんな話なのか、どんな設定なのかも言いたくなるし、誰が出てるのかっていうのも言いたくなるし、全体的にどういうジャンルの作品なんですかっていうジャンル感も全体を通してイメージとして、曲とかがね一番そういうイメージづけするのに、強いインパクトを持ってますけど。

ターニャ
うんうんうん。

木  村
伝えたい要素がいっぱいある。さらには、関係者のたくさんいる作品だと、ディテールの細かいところまで伝わってるかどうかみたいな目線で、意見が出てきたりするわけですよ。

ターニャ
なるほど、なるほど。

木  村
やっぱりいろんな人がいろんな思いで、これ入れた方がいいんじゃない、これ言った方がいいんじゃないかっていう話が来ると、そうだよねっていう気持ちになってきちゃうんですよ、作ってる側も。

ターニャ
そうですよねー。

木  村
そう、それでやっていくともうね情報量パンパンの、もう辞書みたいな予告編ができちゃうんですよ。60秒だと足りないです。もう90秒、100秒まで伸ばしていいですかみたいな状況になっちゃうわけですよ。そうすると大体良い予告はできないですね。

ターニャ
私も最近予告編を映画館で見てて、何となくこんな作品なんだなっていうのは思ったんですけど、多分すごい入れたいものを入れすぎちゃって、実際大事な公開表記がわからなかったんですよね。

木  村
はい、はい、はい、情報が入りすぎちゃってね。

ターニャ
そうなんですよ。でもすごくわかって、やっぱり中でやってると伝えたいことがたくさんあって最後ちょっと何か削れるとこどんどん削ってみたいな気持ちにきっとなっちゃってると思うんですけど、意外と大事なとこを見逃しちゃって、フラットに見るとそういう大事なものを削ぎ落としてたんじゃないかなっていうのをすごく肌で感じたんですよね。

木  村
そうなんだよな、作ってる側からするとやっぱり不安になっちゃうから、全部入れたくなっちゃうんだけど、でも全部入れると履歴書みたいになっちゃうんですよ。結局何が魅力かよくわかんないっていう。

ターニャ
はい、はい、はい。

木  村
だからやっぱり一番大事なのは何か面白そうっていう、その「何か」っていうところの余白がやっぱり大事なんですよ予告編って。その何かを見に行くわけだから、この人出ているんだ、この人出ているんだ、この監督前にこの映画作ったんだ、なるほどねって思って理解をしたところで、見たくなるのかなって気がするんですよ。情報足していく方が楽だからね。

ターニャ
はい、そうですね。

木  村
情報をそぎ落とす方が難しいわけで。

ターニャ
確かに、情報削ぎ落とすのめちゃくちゃ難しいですよね。

木  村
そうなんですよ。

ターニャ
やっぱ『関心領域』で自分が感じたちょっと想像を駆り立てられるっていうのは、削ぎ落とされてるからこそ興味が湧いたっていうのはきっとあるんだろうなとは思いますね。

木  村
そう、余白が大事です。予告編どうやって作ってるんですかっていう質問の答え出ましたね。余白が大事です。不安な気持ちで、どんどん足そうという気持ちを捨てて、頑張って情報を削ぎ落とし、何を残すと見たくなるのかっていうのが1個と、あとね、もう1個あるのは起承転結にしたくなるわけですよね、理解をさせたくなっちゃうと。
時系列で起承転結で並べるっていうことでいいんだろうかっていう疑問もちょっとありますね、予告編に関しては。

ターニャ
確かに、そうですよね。

木  村
やっぱり見たくなるって理解をするっていうのとはまたちょっと違うんですよね。

ターニャ
違うかも。そうですね。ビビビって感じですよね、見たくなるって。

木  村
そうなの。なんなの?っていう感覚が残らないと。

ターニャ
確かにー。

木  村
良い予告ってそういう感じしませんかねー?『ジョーカー』の予告編とかね。

ターニャ
あー、ありましたねー。

木  村
痺れるよね。

ターニャ
あれは痺れましたねー、あれを見た時は。何なの?でしたね、まさに。

木  村
なんかやばそうみたいなことじゃないですか。

ターニャ
はい、そうなんだよなー。

木  村
そう、だからやっぱりそういうところだなー。 良い予告編作るって難しいね、理屈じゃないからね。

ターニャ
そうですよね。またちょっと邦画でできること、洋画でできることってちょっとまた難しさもないですか。

木  村
ありますね、それは。

ターニャ
ですよねー。

木  村
邦画だとキャストさんの、俳優としての、見え方みたいなところもやっぱりちゃんとかっこよく出してあげなきゃいけないし、そういうところもねちゃんと気にしなきゃいけない。洋画だから気にしなくていいってことではないんだけど、より繊細に気遣いますよね。

ターニャ
ね、そうですよね。でも、ベストを尽くしていつもやってますよね。

木  村
ベストを尽くしてますよー。予告編見るのは好きですよ!

ターニャ
そうですよねー!面白いですよね。

木  村
もちろん作るのも好きなんだけど、難しい、すごく。全員の納得感と満足感を上げるっていうのをゴールにしちゃうと本当に全部詰め込むっていうことになっちゃうから。

ターニャ
そうですよねー。

木  村
作る内容もそうなんだけど、交渉していく、なぜ削ぎ落としてるのかっていうところを理解してもらうっていうところに関しても、大変な部分かなっていうふうに思ってますけどね。

ターニャ
確かに。だからトータルで作るんですよね。その中身だけじゃなくてそれを今度、チームとして納得したものを一つ作り上げるっていう難しさもやっぱありますね。

木  村
はい。

ターニャ
ありがとうございます。いやー本当そんな悩みや、大変な思いをして作ってるんだなって思いました。これからちょっと予告編を見る目も何か変わります。ちょっといろんな予告編を見たいなと、思いました。

木  村
そうですよ。本当ですよ。なんかもうね、本編があるからちょちょちょってやったら作れますってことじゃないから。

ターニャ
いや本当そうなんですね。

木  村
でも予告編作ってる側からすると、もちろんね本編が素晴らしいのは当然なんだけど、本編の良さを60秒で伝えるってもう究極でしょう。だから、ある意味本編を60秒で超えなきゃっていう気持ちでやってるので何かその苦労、苦労が伝わってもしょうがないけど(笑)

ターニャ
はい。いやでもそういう思いが込められてるんだなと思って、これからまた一本一本見ていきたいなと思います。

木  村
はい。

ターニャ
はい、ありがとうございます。では本日もここまでとさせていただければと思います。KITTラジオではリスナーの皆様からのご質問を募集中です、概要欄に記載のメールアドレスに日々の生活に役立てたいこんな話を聞きたいなど、ぜひお送りください。本日もありがとうございました!

木  村
ありがとうございました。

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