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【KITT RADIO #9】 「泣ける」宣伝はリスクがある!?
マーケティング目線で世の中を見ると、見えるものが変わってくる!
映画の宣伝プロデューサーが日々考えていることをあれこれ雑談す
「KITT RADIO|マーケティングあれこれ雑談」
出演:木村徳永さん(KICCORIT)、ターニャ(KIQ REPORT編集部)
<#9のキーワード>
・宣伝は全てリスクになり得る情報
・全員に好かれることが宣伝ではない
・そもそも人はどう観る映画を選んでいる?
・人が口コミに求めてるのは何だろう?
気になるキーワードがあったら下記をチェック!
【Spotify】
番組では宣伝プロデューサーに聞きたいことなど、リスナーの皆様からの質問も募集中!
その他、ご意見・ご感想はこちらまでお寄せください。
YouTubeやテキストでご覧になりたい方は下記よりどうぞ。
【YouTube】
【Text】(文字起こし)
ターニャ
映画業界お役立ち情報満載のリサーチメディアKIQ REPORT編集部のターニャです。よろしくお願いします。この番組は、映画の宣伝プロデューサーが日々考えていることを話す番組です。マーケティング目線で世の中を見ると見えるものが変わってくるということで、キコリの木村さんをお招きして放送しております。木村さんよろしくお願いします。
木 村
よろしくお願いします。
ターニャ
木村さん今日はどんなお話をしましょうか。
木 村
どうしますか、今日。そんなに考えてなかった感じですが。
ターニャ
実はですね、あの質問がまた届いております!
はい、これすごく何か興味深い質問でしたので、ぜひこれについてお話できるといいかなと思うんですが、質問がですね、「私は泣けるという宣伝があまり好きではありません。見て思うことは人それぞれなのに、見て抱く感情を決められてしまうことにいつも違和感を覚えます。感情を見せた宣伝によって見る人の感情を制限させることへのリスクは感じますか?」という、ちょっと深い質問をいただきました。
木 村
なるほど。いやもう本当すいません。
そんな、そんな気持ちにさせてしまってたとしたら。本当申し訳ないです。
ターニャ
そんなことないです(笑)
木 村
いつも違和感を覚えますって書いてますけど、でも僕が担当してた作品じゃないかもしれないですよね。僕はあんまりやらないですよそういうこと。
ターニャ
なるほどなるほど。
木 村
だから他人がやった宣伝で、嫌な思いをした方に対する説明を、僕がするっていうのもちょっとあれですけど。
ターニャ
そうですね。はい。(笑)
木 村
感情を決めつけられるっていうことと、そういう宣伝をすることのリスクか。泣けるよって言われると見たくなくなっちゃう人もいるんじゃないかということですよね。
ターニャ
そうですねそうですね。
木 村
やっぱり僕ら宣伝っていうのは、インフォメーションとしてこういう作品ですよっていう作品の紹介をするのと同時に、この映画を見るとどういう気持ちになるのかとか、本当に体験をするとどういう気持ちなのかっていうのも合わせて伝えるのが仕事だから、
ターニャ
はい。
木 村
やっぱり何かそういう、泣けるっていうこととか、最後にどんでん返しがあるよとか、そういう二次的情報も伝えたくなるし、それを伝えるのが仕事なんじゃないかなっていう気はしてるんですよね。でも、それがリスクなのかどうかっていうところで考えると、1人でも多くの人に見てもらいたいから、どういうふうに受け取るかにもよりますけど、そういう泣けるっていう宣伝を見たときに、あっ泣けるんだ、見たいって思ってくれる人も当然いると思うし。あっ泣ける映画かー、私は今泣きたくないからやめとこうって思っちゃう人もいるかもしれないし。
ターニャ
はい。
木 村
そんなに泣ける泣けるっていうんだったら本当に泣けるのかどうか、ちょっと試しに行ってみるか、っていうきっかけになる人もいると思うんですよね。
ターニャ
確かに、はい。
木 村
そう、でも泣きたくないから見ないって決めた人もその日は泣きたくないけど、また別の日になったらそういえば今の気分はそういう気分だから、この間のあれ行ってみようかなっていうふうに覚えててくれたら、またそれはそれで嬉しいじゃないですか。
ターニャ
そうですね。
木 村
それはポジティブなイメージだと思うんですけど、この質問の人が言ってる、そういうのを見ると違和感を感じるリスクがあるんじゃないかっていう質問でいうと、私は泣きたい映画が見たいって思ってたけど、宣伝でこの映画は泣けるよって決めつけられちゃったから、なんだよ、決め付けられちゃうんだったらもう見ないっていうふうな人が多いんじゃないかっていうことですよね。
ターニャ
そうですね。そういうふうに覚える人の方はやっぱ覚えちゃうっていうことで、そこにリスクって本当あるんじゃないですかっていうご質問ですよね。
木 村
でもリスクがあるかないかっていったらリスクありますよね。だって宣伝の露出は全て、リスクになり得る情報だったりするから。
ターニャ
なるほど。
木 村
やっぱり一つ言葉を間違えれば炎上しちゃうこともあるし、やはり世の中の人がどういうことを考えてるのかっていうのを想像しながら打ち出してかなきゃいけないから、リスクはあると思います。でも、そもそも何かを打ち出さないと何も始まらないわけですよね。
ターニャ
うん、うん。
木 村
感情を制限されるのが嫌な人が、そういう作品に触れて、もう本当に絶対見ないって思っちゃうことが本当にあるんだったら、それはやらない方がいいと思いますけど。心のどこかで、全映画の宣伝ってこんなくだらないことをまたやってるよって思いながら、劇場に足を運んでくれる分には別に大変ありがたいじゃないですか。
ターニャ
ポジティブですね。
木 村
そう。映画、泣ける泣けるって言うから見に行ったけど、全然泣けなかった。プリプリ怒りながらも「泣けなかった」っていうツイートをしていただけたら、それはまた大変嬉しい反応だし、やっぱり全員に好かれることだけが宣伝じゃないんですよね。
ターニャ
なるほどなるほど。
木 村
そう、全員がいいと思ってもらうことなんてなかなかないし、やっぱり好きっていう感情もあれば嫌いっていう感情もあるし、なんか鼻につくなっていう感情も、やっぱり人の心だから、そういう好きになるっていうポジティブな感情だけじゃない心の動きっていうのも予測しながら打ち出していくっていうのが、宣伝なので
ターニャ
なるほど。
木 村
そう。なんかやっぱりポジティブな反応もあればネガティブな反応もあると。でもそれはリスクだけれどもリスクを取りながらも、人の心に何かが届き、映画を見ようと思ったときに思い出していただけたら、それは最終的にはプラスなんじゃないかなって思いながらやってますよね。
ターニャ
なるほどなるほど。そこに何も違和感も覚えず、記憶にも残らないっていうこともありますね。
木 村
そうなんですよ。ちょっと逆なでされたときにはもう、残っちゃいますよね、心に。
ターニャ
そうですね。そうですね。逆に。
木 村
そう、心にも残り、さらにそれが見たくなるっていうところまでいかなきゃいけないから、それは本当に難しいんですけど。
ターニャ
そうですね。
木 村
じゃー、そもそも皆さんは映画をどうやって選んでるのかっていうところなわけですよ。
ターニャ
はい、はい、はい。
木 村
私はこういう宣伝に触れて、このキャッチコピーがすごく良かったから、この映画を見に行こうなんて思ってる人ってそんなにいます?って話ですよ。
ターニャ
正直ですよ、正直言うと少ないと思います。てかほとんどいないと思います。(笑)
木 村
僕らがやってる宣伝でそれがリスクになって、こんな宣伝やってるんだったら見に行かない!っていうほど一生懸命宣伝を見ていただいてないんじゃないかなっていう前提も若干ありますよね。
ターニャ
はい、そうですね。
木 村
でもそれは何か映画を見に来ていただける方を、下に見てるとかそういうことじゃなくて
ターニャ
はい。
木 村
そもそも映画を見るっていうのは、このキャストが好きだから見たいとか、この監督が好きだから見たいっていう、見る理由が具体的にあって見に来る人っていうのは、たくさんいると思いますけれども、それよりももっと多いのが、何となく選んで、面白そうだから何となく見に行ったっていう人の方が結構多いと思うんですよね。
ターニャ
そうですね。
木 村
特に僕らが宣伝してる作品は規模が大きい作品が多いから、よりそういう何となく面白そうだから、誰が出てるかわかんないけど面白そうだから見たっていう人に、情報を届けていくのが仕事なので。もう究極はあれですよ、あっちの映画よりこっちの映画の方が面白いっていうように見せるだけじゃなくて、そのお客さんの気持ちを考えていくと、今週末何する?ってところから始まるわけですよ。今週末どうする?遊園地でも行くとか、公園でも行くかとか、いやいや天気よさそうだからバーベキュー行こうよとか、いや寒いから家飲みがいいんじゃない?とか。そういう選択肢の中に、一個のアイテムとして、映画でも行くっていうのがまず1個目のハードルとしてあるわけですよね。
ターニャ
はいはいはい。
木 村
そうすると、映画じゃなきゃ駄目とか、何の映画見ようって一生懸命考えるっていうよりかは、まずは週末に映画を行こうってところが決まるわけですよ。
ターニャ
はい、なるほど。
木 村
そこから何見ようか、どこで見る、渋谷に行こうよってなって渋谷で何やってるかなって検索してそこで渋谷の映画館のラインナップを見て、これ知ってるとか、これ面白いらしいよとか、そんな感じで選んで決まってることって多くないすか。
ターニャ
いや多いと思います。そんなに何が見たくてこの日、これに行こうって感じじゃなく、多分、ながらというか、そういう人の方が絶対多いと思います。
木 村
そうですよね。あともう1個あるのは、例えば僕がターニャと映画を行くとするじゃないですか。そうすると、僕は結構えぐいのが好きだったとしても、誰か誘って行くとしたらちょっとえぐいのは、誘いにくくないですか。
ターニャ
いやあ、誘いづらいですね。
木 村
そうするとターニャってどんなのが好きかな、これかな?これかな?みたいな考えでいくとしたら、選びやすかったりとか、暗くて重くて長い映画よりかは、ちょっとライトな映画を選んだりしますよね。
ターニャ
THEエンタメとかそういうところ行きますよね。
木 村
なんかそんなふうに軽く選んでる人には、これなんか泣けるらしいよみたいな、全然情報わかんないけど泣けるっていう情報だけ入ってたらちょっとなんか、キーワードとして残るじゃないですか。
ターニャ
そうですね、わかりやすい。確かに。
木 村
そう。だから、そういう選び方でいくと、内容が面白いかどうかっていうのは当然大事だけれども、安心して選べる、テレビで宣伝をやってたとか評判がいいとか、何かそういう系で選ばれる場合もあるわけですよね。
ターニャ
はい、そうですね。
木 村
だからいろんなシチュエーションでいろんな選び方があるから。やっぱり打ち出し方としても、泣けるだけじゃなくて、実は裏にはこういう深いメッセージがあるよとか、原作のときはこうだったけど映画ではこうなってるよとか、そういったいろんな情報が合わさって「観たい」っていう気持ちに発展していくので。だからリスクというよりかは、それがきっかけで見に行くきっかけになってくれたらいいなと思いながら出してるって感じですね。
ターニャ
なるほど、なるほど。
木 村
例えリスクだったとしても、出してかないと、ただのインフォメーションなっちゃうから。っていうところですかね。
ターニャ
うん、確かに。いや、本当そうですよね。なんか私も、結局映画を好きな人は、すごい色々と情報見て、とかそれこそ知ってるからこそ調べてますけど、私の友達は基本ライトなので、なんかその日今ちょうどいい時間にある映画、これなら見れそうだねぐらいの感じで選ぶので、あとちょっとこれテレビで見た、みたいな感じで知ってるぐらいなので、そんなに深く考えるというよりは、何かちらっと知ってるキーワードとか誰か言ってたとか、そんなふわっとした情報と、あとはタイミングで見るみたいな感じで、そんなに知ってないんだなっていうのはちょっと思ったりしますよね。
木 村
あと、評判がいいっていうのも、選択肢の一つですけど、口コミって大事ですよね。
ターニャ
大事ですね。
木 村
口コミって何なのかっていうと。みんながいいって言ってると、よさそうに見えるっていう話じゃないですか。
ターニャ
そうですね。
木 村
でも、それこそこの質問者が言ってるところにも関連しますけど、みんなが良いって言ってるから、自分も良いって思うのかどうかなんてわかんないわけですよね
ターニャ
そうですね。
木 村
でも、何か新しいラーメン屋さんができました。行列ができてましたって言うと、美味しいに違いない、って気持ちに繋がってくるのと一緒で。やっぱり評判が良い方が、安心感に繋がるし、信頼にも繋がるから、本当に面白いかどうかわかんないけど、それを確認しに行こうっていうふうに繋がって、やっぱり口コミみたいなところは大事ですよね。
ターニャ
めちゃくちゃ大事だと思います。なんか一番信用しちゃう気がしますよね。なんだかんだ。
木 村
でもこれもなんかすごいバイアスがかかるから、僕なんか何か物が欲しいと思ったときに、口コミ探すわけですよ。でも、もう心の中ではもう買うって決めてるんですよ。
ターニャ
なるほど、はい。
木 村
だから、あんまり良くない評判には出会いたくないんですよ。
ターニャ
あーなるほどですね。
木 村
評判悪いけど、とはいえ、この人の感性とは違うしなと思って、さらに探すわけです。いいコメントがあって、それが三つぐらい続いたところでもう、コメント、口コミ探すのやめますよね。そうすると、最後にやっぱ背中を押してもらいたいわけですよ、自分がこの間違ったものを買ってないっていう。そういう使い方もしてるから、もう完全にフラットな目線で口コミ見てないですよね。本当にいい物に出会いたいっていうよりかは、ちょっと背中を押してもらうきっかけとして口コミ使ってるだけだから。
ターニャ
なるほど。
木 村
そう。だからね、やっぱり人の気持ちっていろいろなので、
ターニャ
確かに、勝手ですね。
木 村
そう、正しいことだけを伝えていけば、正しく人は動くのかっていうと、そんなことでもないですよね。
ターニャ
そうですね。確かに。
木 村
やっぱなんかちょっと面倒くさい仕事とか、自分でそれ面倒くさいんで、僕やりたくないですってちょっと言いづらいじゃないすか。
ターニャ
ええ、言いづらい。
木 村
でもそれを何か言い訳として、いや、ちょっと僕それは上司がOKしないかもしれませんね、なんて言いながら、やめたりするじゃないすか。
ターニャ
はいはい。
木 村
何か自分の中でいろんな情報を操作しながら、自分に都合のいいように、いいようにって動かしていくのが、やっぱり情報なので。
ターニャ
なるほど。
木 村
その中の一つとして泣ける泣けるって言ってるけどさあ、っていうネタにうまくしてもらいながら、最後、ちょっと背中を押してくれるきっかけになってくれたらいいなと思ってやってるので、
ターニャ
確かに。
木 村
決してリスクを取らせようとは思ってないですけど、なんかそういうことをやっていくのが宣伝かなと思って、覚悟を決めてやってます。
ターニャ
なるほどなるほど。だから届いた人に選択できる情報を与えてるっていう感じですよねきっと。
木 村
そうですね。答えになってますかね大丈夫ですか。
ターニャ
ええ。でもなんか、うん。なってます。大丈夫です!
木 村
大丈夫ですか?なんか間が気になりましたけど。
ターニャ
違います!笑
私自身も大丈夫かなとか思いつつ、あの話聞いてましたけど、でも何かなるほどなっていうふうに何か改めて思いました。
木 村
はい。
ターニャ
ありがとうございます。ちょっと一旦今日はこんな感じでいかがですかね。
木 村
はい。
ターニャ
木村さん、次回はどんなテーマでお話ししましょうかね。
木 村
次回ですか、どうしましょう。またちょっと考えましょうか。
ターニャ
はい、わかりました。ありがとうございます。
木 村
ありがとうございます。
ターニャ
KITTラジオでは、皆様からの質問を募集中です。概要欄に記載のメールアドレスに日々の生活に役立てたい、こんな話を聞きたいなど、ぜひお送りください。
今日もありがとうございました。
<END>
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