業界知恵袋

映画業界人必須!【映画業界用語辞典】

2023-10-31更新

これがわかれば仕事もスムーズ? KIQ REPORT的【映画業界用語辞典】
映画とマーケティングを愛するきっくんがよく聞く&よく使う(!?)用語をまとめました。用語は随時更新します!

※KIQ REPORT的【映画業界用語辞典】は、あくまできっくんの見解です。間違ってたら教えてね! 「この用語も載せて欲しい!」など、リクエストもお待ちしてます!!

【更新 2023.10.31】
アテレコ、アフレコ、アンチョコ、EPK、ポジ、影ナレ、カメオ、カンペ、KDM、セットビジット、特別出演、友情出演、プレスコ、プロンプター など計14ワード追加しました。

【索引】
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 | は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行

あ行

アテレコ
外国映画やアニメなど、自分で演じていない人の口の動きに合わせて台詞を吹き込むことを言います。いわゆる吹き替え。区別せずにアフレコと言う人も多いです。効果音やナレーションの録音は含まれません。あてはめレコーディングだからか、アフレコをもじったのか、言葉の由来は謎…。
[使用例]
「今の俳優は演技だけでなくアテレコもできないと難しいよね」

アフレコ
アフター・レコーディングの略。何らかの理由で、演技と声や音を同時録音できない時に、映像撮影後にセリフや効果音を録音することを言います。セリフの場合、映像に出ている本人がやることが多いです。
[使用例]
「騒音入っちゃうから、このシーンはアフレコで」

アプルーバル
権利を持っているところへの許諾の意、または許諾を取る行為のことをさします。
[使用例]
「そろそろアプルーバルを取らないと納品が間に合わない」

アンチョコ
日常ではもう死語かもしれませんが、業界ではまだまだ使われています。カンペと同じでセリフや段取りを書いた紙のことを指します。カンペとの違いは、カンペでは足りないところを自分で書いて、いざというときに見る、いわば自分専用のカンペのことです。
[使用例]
「アンチョコまで作って準備に抜かりがないね」

イーゼル
ポスターをパネル上にしたものや告知看板などを固定し飾るの事を目的とした直立の支持体。取材の際には、被写体(主にキャスト)と一緒にポスターのビジュアルをメディアに載せるために必需品です。
[使用例]
「明日の取材にはイーゼルが4つ必要なので忘れずに!」

EPK
「Electronic Press Kit」の略で、映画制作のPRツール、ゆるく言えば「映画のPR映像集」のことを言います。制作秘話、キャスト・スタッフのインタビュー、舞台裏映像、予告編など、データでの受け渡しが一般的な現在の前はベーカムテープなどに一式収録されたものをEPKと呼びました。今ではテープでの受け渡しはほぼなくなりましたが、PR映像集を総じてEPKと呼ぶ習慣は残ってます。
[使用例]
「テレビ局にはEPK素材渡しておいて」

一報出し
作品の存在を世の中に知らしめる情報出し。その1発目の情報解禁を指します。主に映画化する事をアナウンスする内容ですが、出演者や誰が監督するかなどの情報も出すことが多いです。
[使用例]
「一報出しの反響が楽しみだ」

色校正
ポスターやチラシなどの印刷物ですが、デザインを経て、印刷機械に回して完成しますが、実際にイメージしている色が印刷機で出ているかチェックします。そのテスト印刷したもの及びその行為を指します。
[使用例]
「色校正見たけど、だいぶ色が沈んでいるのでもっとパキッとさせてください」

インナー
洋服と同じですね。内側を指して、外部には出ないものを指します。例えば「インナー向けの映像」というと公には出さないが、内々の映像素材という意味です。
[使用例]
「インナー向けの資料になりますので、取扱注意です」

ウチトラ
「トラ」とは、エキストラの略。内輪のスタッフがエキストラになること。予算が厳しい作品やエキストラが足りないときなどに発動する事が多いが、組によってはあえてスタッフに出演してもらい一体感で映画を作り上げるケースも。
[使用例]
「⚫︎⚫︎さんはウチトラ経験が多過ぎて、もはや俳優さんだよね」

裏被り
出演番組の裏番組に、同時に出演すること。レギュラー番組が多いタレントさんだと要注意。番組のスポンサーへの配慮からか、裏被りは御法度とも言われる。
[使用例]
「せっかくこの番組さんからオファーもらったのに、裏被りしてるわ。諦めるしかないか。。」

映写
映画を映写機を用いてスクリーンに映し出すことです。上映素材はデータ、映写機はプロジェクターになっても変わらず「映写する」と言います。関連用語としては「映写技師」(=ニューシネマパラダイスでもお馴染み、映写機を扱う専門家)、「映写チェック」(=実際にスクリーンに映し出して状況をチェックすること)など。
[使用例]
「今日のイベント上映の映写チェック時間は、劇場が営業始まる前の8:00までに実施します」

F1層、F2層、、、
これは広告用語ですね。FはFemale=女性、MはMale=男性で、数字は年代を示します。0層=13~19歳(Tとも呼ぶ)、1層=20~34歳、2層=35~49歳、3層=50歳以上
[使用例]
「この映画はとにかくF1層を狙っていきたい」

OOH
これも広告用語です。Out Of Houseの頭文字です。すなわち家の外。街頭ビジョンや街の看板、交通期間に掲出される広告など屋外の広告全般を指します。
[使用例]
「広告施策としては、テレビとオンライン、あとはOOHに注力したい」

オフレコ
off the recordの略。公にできない情報を記録に残さずに話す際に使われる。「他の人には言わないでね」と口止めの意味にも。
【使用例】
「これ、オフレコの話なんだけどさ」

オールスタッフ
直訳すると全スタッフ。そのままですが、業界的には全スタッフを集合させた打ち合わせの事を呼びます。完成披露などのイベントには多くのスタッフが関わりますが、その全員を集めてイベント直前に指差し確認をする会議を指します。決起会的な意味合いもあります。
[使用例]
「オールスタッフで何か懸念点が出てくると時間が足りなくなるので、オールスタッフは本番の二日前にしましょう」

オンリー
撮影現場の用語ですね。絵は取らずに声だけ収録する事を指します。(たぶん)
[使用例]
「オンリーでいただきますー!」

か行

影ナレ
「影ナレーション」の略。「影アナウンサー」(影アナ)ということもあります。お客様から姿が見えない所でアナウンスを行い、会場に声だけを届けるというものです。いわゆる天の声的なやつですね。試写会などで開演前に諸注意事項を伝えたりするあれです。少し地味なお仕事ですが、アナウンスがはいると「さあ、始まる!」とテンションが“グっ”と上がりますよね。
[使用例]
「この影ナレ、あの俳優さんが事前に録ったものらしいよ」

カットダウン
映像の尺を短くすること、または短くした映像の事を指します。例えば予告編が90秒あったとして、上映する場所の枠的に30秒の映像しか入れられない場合、その予告編を30秒に短くします。90秒で成立している予告編を30秒にするんだからこれはディレクターの腕の見せ所ですね。
[使用例]
「この日に出来上がるのは60秒予告と30秒のカットダウン予告です」

カメオ
「カメオ」または「カメオ出演」とも言います。監督や原作者など、作品に所縁のある人物が、ゲストとして短い時間で出演することを指します。映画では監督がエキストラなどで出演する事が多いです。カメオの由来は、大理石や貝殻などに浮彫を施した装飾品のことで、遠目からでも判別できるということからだそうです。
[使用例]
「監督またカメオで出るってさ~」

からえ
漢字で書くと「空絵」。写真もしくは映像で、被写体として人物がうつってない素材のことになります。風景や部屋だけとか環境のみを抑えた素材です。
[使用例]
「このシチュエーションはとても重要なので、必ずからえも抑えておいてください」

幹事会社
製作委員会の中でも、主導権を持つ会社のこと。出資金額が一番多い会社が担当します。
[使用例]
「幹事会社の⚪︎⚪︎さんがこの企画気に入っているから、予算若干オーバーだけどやっちまおう」

完パケ
完全パッケージの訳です。完成品の事、もしくは完成させる行為を指します。完パケ後に修正するとまたお金がかかってしまうので注意が必要。
[使用例]
「完パケはいつまでに必要ですか?」

カンペ
カンニングペーパーの略。テストでやると大変なことになるカンニングもこの業界では堂々とできます!覚えられない台詞や歌の歌詞をカメラに写らないところで紙に大きな文字で書いたり、プロンプターで表示して収録対象に提供します。
[使用例]
「カンペの文字もう少し大きくしておいた方がいいかな?」

クレジット
制作スタッフやキャストの名前を役割を付して表示するもの。クレジットカードとかのクレジットは「信用」を意味しますが、遠からず、名誉だったりの意味もあり、著作権者の名前を示す意味もあります。映画業界的にはクレジットというとコピーライト(著作権表記)と共に掲出すべき権利者や出演者、監督名などの情報を指します。
[使用例]
「コピーライトとクレジット表記は必ず入れてください」

KDM
「Key Delivery Message」の略。本編がフィルム上映ではなくなりDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)と呼ばれるデータでの上映に切り替わりましたが、そのデータの受け渡しの際に暗号化されたデジタルデータを復号するための暗号キーをKDMと呼びます。。データには上映館や日時などの情報も含まれており、鑑賞期間や条件を制御し、他館での使い回し上映などを防ぐ仕組みになっています。
[使用例]
「KDMは映像のセキュリティを守るために必要だよ」

下版
印刷用語ですね。色校正が完了し(校了)、出来上がった製版を次の工程である印刷工程に引き渡す作業・段階のことを指します。すなわち以降は修正ができなくなるので緊張の一瞬です。
[使用例]
「下版しちゃって印刷し始めているので、もう修正はできません。刷り直しになります。。」

香盤
出演者と時間(出演順番、登場時刻、場面)を対比させた表です。進行表・スケジュール表など細かな時間単位で区切られるものとほぼ同意ですが、出演者の情報が入っている必要があります。大きなイベントでは出演者多く、もはや細か過ぎてわかりずらい時も多々あります。
[使用例]
「香盤表を仕上げないと、もはや状況がわからないよ」

校了
印刷用語です。「校正が完了した」略語です。色や文字のチェックなど全てを完了して、印刷工程である下版に進みます。
[使用例]
「校了は〇日だから、まだギリギリ直すことはできる」

興行収入
映画館の入場料金収入のこと。興収(こうしゅう)と略される。この収入は映画館サイドの収入とコンテンツホルダーの収入も含みます。コンテンツホルダー側の収入だけを指す場合は、配収(配給収入)という言い方をします。ケースバイケースですが、一般的に興収での映画館:配給の取り分は半々のことが多いようです。
[使用例]
「目標興行収入は10億円です!」

コンセッション
劇場でポップコーンとかドリンクを販売している売店の事をコンセッションと思ってましたが、「コンセッション」でググると別の意味が出てきますね。それは「空港、道路などの公共インフラストラクチャー(インフラ)の所有権を政府などの公共団体が保有したまま、事業・運営・開発などの運営権を一定期間、民間へ売却すること。」との事です。この意味から考えるに、劇場が所有権を持つ売店にて、映画独自の販売物(例えば映画のキャラクターが入ったポップコーン入れなど)を販売することを意味するのかもしれません。(はっきりとはわかりません!)
[使用例]
「オリジナルポップコーンを開発して、コンセッションで訴求しよう」

さ行

サウンドバイツ
直訳すると、音のつまみ食い!そのまんまですが、インタビューなどの長いトークを放送用に短くつまんだものを言います。業界的にはレッドカーペットなどでタレントさんがテレビカメラの前で立ち止まりインタビューに答えてもらう行為そのものを指すこともあります。
[使用例]
「ワールドプレミアのレッドカーペットで日本の枠をゲットできたからサウンドバイツ用の質問を準備しておこう!」

サス試写
映画公開前の試写会で、どこか特定のスポンサーなど主催者をつけずに、映画提供側が自ら主催している試写会を指します。サスは英語のsustaining。維持するとか支える意味です。通常サス試写はその席をいくつかに切り分けて、いろんな媒体に提供してプレゼント告知等で作品の情報がいろんな媒体に掲載するように使うことが多いです。
[使用例]
「今度のサス試写で使える席数、残り何席?」

シネアド
映画館で予告編→本編が始まる前に流れるCMです。これは買うことができます。企業は映画館ごとにCMを入れることもできますし、作品を抽出してCMを買うこともできます。前者はその映画館の近隣のご当地のCMが多いですね。作品抽出は、例えばティーンネイジャーが多く見るであろう作品に対して、ティーンネイジャーに向けた商品を訴求したい企業などのCMがつきます。
[使用例]
「この映画はたくさんのシネアドが入っているらしい。注目度が高いね!」

ジャンケット
洋画における海外でのタレントのインタビュー取材のことを指します。本来の意味としては旅行とか公費の大名旅行。日本の媒体を現地に連れて行って取材をしてもらい、それを日本で紹介する動きです。最近は現地に行かなくてもリモートなどでの取材もできるようになってきたので、ジャンケットの形も変わってきてますね。
[使用例]
「今度のジャンケット、主演と監督の2ショットが撮れるらしいぞ!」

初号
映画本編の完成版です。撮影・編集・ダビングなどなどいろんな過程を踏んでついに完成した劇場上映版になります。この一歩手前の0号というのがあったりします。初号試写には通常、出演者や出資者、制作スタッフなど関係者のみで行います。
[使用例]
「初号試写に主演の◯◯さんは来るのかな?」

情報解禁
その名の通りですが、公に情報を出すことです。情報をコントロールする宣伝にとってとても重要なワードです。内容、タイミングを練ってメディアを介して世の中に発表することです。メディアの形態もマスメディア・ソーシャルメディアなど多様化していますが、どのメディアを介しても世の中に発表するという意味では変わりません。たまに「業界関係者」の言葉として情報が漏れてしまいます。
[使用例]
「情報解禁前なので、この資料に記載のことは取扱い厳重注意でお願いします」

白素材
映像素材でテロップなどが入ってない、元の裸の素材のことを言います。予告編やTVCMなどテロップなどふんだんに使っての演出が施されますが、それを一切とったものです。用途としてはテレビで作品紹介してもらう場合など、テロップがあると使いずらい(テレビも放送用のテロップを入れるため)ので元の映像のみの素材が必要になります。白素材は訳して「シロソ」と呼ばれたり、「シロカン」(完パケの白素材)と呼ばれたりします。反対語として「クロカン」はテロップなどが入った完パケ版の素材のことを言います。
[使用例]
「テレビの番組さんに納品用として、予告編の完パケと白素材、それぞれデータで準備してください」

スタンディ
映画館のロビーなどで大きな自立式の装飾物のことを言います。段ボール的な素材が多いです。通常配給会社が開発して、各劇場に納品。誰でも組み立てられるように簡単な取説なども入れて送ります。ちなみにこの自立型のスタンディの他に、壁にぶら下がった幕のような大きな装飾物もよく作られますが、これは「バナー」と言われます。
[使用例]
「お客さんが一緒に記念撮影できるようなスタンディを作ろうぜ!」

スタンドイン
リハーサルでキャストの立ち位置やカメラ位置等が決まっていない場合に、スタッフがキャストの代わりになること。
【使用例】
「ちょっと人足りないからスタンドインして」

スチール
写真のことです。映画で言うと「場面写真」と言われる本編の切り取りのような写真と、「メイキング写真」と言われるその名の通りですが、撮影している様子などをおさえた写真があります。写真素材としてあともう一つあるのは本編の映像のキャプチャーです。それは映像用に抑えられたものを切り取る形になるのでどうしても動き(ブレ)が出てしまったり、スチールと比べるとサイズが小さいので大きなサイズの印刷物(例えばポスター)には耐えられないことが多いので、撮影現場中にスチール素材をしっかりと抑えておくことは、とても重要です。撮影現場でスチールを撮影するフォトグラファーさんのことをスチールさんと呼ぶことも多いです。
[使用例]
「スチールの数が多くて嬉しいけど、全部見るのが大変だわ、こりゃ!」

スニークプレビュー
タイトルや内容を未発表のまま人を集めて、映画を見てもらう試写会のことを指します。全く情報を与えずに見たお客さんの反応を知ることを目的で実施します。関係者は全員作品のことをある程度は知ってしまっているし、作品の宣伝が始まると少なからず情報に触れてしまうので、全く情報がないお客さんの貴重な意見を聞くことを目的とすることが多いです。ゆえに上映後にはアンケートやグループインタビューなどが行われることが多いです。
[使用例]
「スニークプレビューでのアンケートの結果がすこぶる良いので試写会をたくさんやって、口コミをどんどん出していくことにしたいと思います」

スポット
テレビCMのことを指しますが、テレビCMは、スポットと呼ばれる買い方とタイムという呼ばれる買い方があります。タイムは具体的な番組を指定してCM枠を購入するのに対して、スポットは広告費に準じてCMが放送される本数が決まり、テレビ局・代理店から枠の提案がきます。
[使用例]
「スポット何本くらい流れるの?」

製作委員会
映画製作会社だけでなく、複数企業からの出資により映像作品を作る形態のことを言います。何社かがお金を出しあって映画を作り世に送りビジネスをするプロジェクトの共同体です。その会社が集まっての会議帯のことを製作委員会と言ったりもします。
[使用例]
「製作委員会に向けての資料ばっか作ってるな」

セットビジット
「セットをビジット(訪れる)する」ということで、映画の撮影セットやロケ現場などを訪れて取材することを指します。合わせて、撮影の合間にキャストの方々にインタビューを行うことも。撮影中という早い段階での情報発信で、話題を作る狙いがあります。
[使用例]
「今日はメディアのセットビジットがあるので、合間にインタビュー入ります」

0号
本編の完成版が「初号」と呼ばれるに対して、その一歩手前の本編です。ほぼ完成しているが一部のみ修正が必要な状況です。
[使用例]
「0号試写は必要最低限の人しか呼ばれないってさ」

全型
主にスチール素材に対して使われる用語ですが、すべてのものという意味です。撮影されたスチール素材すべての意味です。ここからセレクトしていって実際に世の中に出していく(宣伝で使用していく)ものを抽出していきます。
[使用例]
「スチールの全型は重いから、ハードディスクに保管しておいて、共有サーバーにはセレクトだけアップしようぜ」

た行

立ち上げ
「情報解禁」と繋がる用語で、英語では「ローンチ」と呼ばれる意味です。言葉通りですが、立ち上がる意味で、例えば情報解禁を受けて劇場で宣材が掲出される場合、劇場立ち上げ(宣伝の立ち上げ)という意味合いで使われます。
[使用例]
「この日に情報解禁をするので、その後の週末が劇場立ち上げです」

ティザー
映画宣伝では大きく「ティザー」と「本宣伝」というのがあります。例えばポスターもティザーポスター、本ポスターと2種作るケースが多いです。ティザーは全ては出さずに、意図的に情報を隠して煽っていく意味合いもあります。対して、本ポスターは宣伝としては全開で行くことが多い。宣材以外でもフェーズ(期間)として使うケースもあります。
[使用例]
「ティザーポスターはかっこいいけど、本ポスターはなんか顔見せみたいなデザインになっちゃったね」

てっぺん
深夜0時のことを言います。時計の針が一番上だからですよね、多分。てっぺんまで仕事をする人も多いのかもしれません。
[使用例]
「てっぺんまでには修正案お送りできると思います」

特報
予告編映像の種類です。ティザー期の予告編のことを指します。すなわち意図的に情報を隠して煽っていく、ティザー予告です。情報量は絞ることが多いので、必然的に尺も30秒など短めになることが多いです。
[使用例]
「特報は尺が短いから、そこまでは入れらないかな」

特写
スチール素材の一つです。特別な写真。本編の一部を切り取る「場面写真」は本編撮影中に撮影していくことがほとんどですが、「特写」は本編のシーンにないものをスチールで抑えることが多いです。ポスターなどの宣材に使う用途で撮ることが多いです。
[使用例]
「撮影中に特写を押さえておくかどうか、クランクインまでに決めないと!」

特別出演
友情出演と混同しやすい「特別出演」ですが、ゆるい感じの友情出演とは違い、特別出演は普段脇役では出ないような大物俳優や著名人に、出番の少ない役で出演してもらう、まさに「特別な出演」です。友情出演はお友達価格のギャラでしたが、特別出演は特別なので高額になることが多いようです。
[使用例]
「話題作りのために、あの大御所に特別出演頼みませんか?」

トメ
エンドロールやポスターに記載される名前(クレジット)の中で、最後に記載される人のこと。抑えでドーンとしている立場で主演や2番手に次ぐ重要な役回りの俳優さんがクレジットされることが多い。
[使用例]
「ステージの並び順ですが、主演の方の横は2番手とトメどっちですかね?」

な行

並び
出演キャストやスタッフの掲載の順番を指すことが多いかなと思います。例えばポスターなどの宣材物でキャストの名前がずらずらっと並んでいますが、その並びの順番やルールのことを指します。あとはイベントなどでステージ上でキャストやスタッフが登壇する際の「並び」(立ち位置)のことを指すこともあります。これは色々と作品によってルールがあるので間違えると大変だぞ!
[使用例]
「この並びで大丈夫かな?プロデューサーに確認しておこう」

入稿
ポスターやチラシなどの宣材を印刷するにあたり、印刷所にデータを入れることを入稿と言います。通常入稿後、校正が上がってきて色や文字などデザインのチェックをして、その上で最終版として「入稿」をして「校了」となります。緊張の瞬間です。
[使用例]
「入稿厳守でいきたいので、気になることがある場合はその1日前までにご連絡ください!」

入プレ
入場者プレゼントです。「ニュープレ」と略されて言われることが多いです。数量限定・先着順で配られるものになります。作品によっては入プレ目当てで何度も映画を見てくれる人もいるので、大切なアイテムとなってます。
[使用例]
「リピーター対策としてニュープレを展開したいです」

抜き(本編抜き)
映像素材です。本編の一部を切り取って編集せずにテレビなどにお渡しします。予告編は白素材も含めて細かく切り取られていますが、本編抜きはシーン丸ごと渡したり、ある程度長めの尺の映像素材になります。本編クリップと呼ばれることもあります。
[使用例]
「抜きは完成披露イベントまでに作れば良いですか?」

は行

配給収入
映画館での鑑賞料の合計=興行収入に対して、映画館サイドの収入を差し引いたコンテンツホルダー(配給)の収入を指します。ケースバイケースですが、一般的に興収の半分が配給収入になるケースが多いのかなと思います。
[使用例]
「昔は配収表記だったので、実際興収がどのくらいだったのかはわからないけど、大体2倍ぐらいかな?」

パッケージ
DVDやBlu-rayなどの商品をパッケージと呼ぶことが多い気がします。
[使用例]
「この素材はパッケージの時用にとっておこう」

バナー
劇場の大型宣材物で、ロビーなどで自立式で立っているものがスタンディ、壁にぶら下がっているビニール地の大きな幕状の宣材物がバナーです。ただ、webサイトで掲載されている静止画の広告(動画もある)もバナーと呼ばれるので、たまに混乱します。
[使用例]
「汎用バナー作るかどうかで、予算が変わるね」

パブ(パブリシティ)
パブリックリレーション、すなわちコンテンツや商品との関係作りを意味し、宣伝全般を指す言葉でもあるが、映画業界ではその中でもメディアリレーション、すなわち対媒体へ作品情報を入れ込む業務及びその業務に携わる人を指すことが多い。映画は商品でありつつも、公の情報でもあるので、広告(媒体費)に関わらず情報を取り扱ってもらえる事がある。これが一般の商品との大きな違い(通常は商品を媒体に入れ込もうとすると媒体費=広告費が発生するため)。なおパブリシティの中でも、広告費を払って紹介してもらうパターンはペイドパブリシティと言われる。
[使用例]
「このネタがニュース価値があるかどうかパブリシティメンバーに聞いてみよう。頑張って出してくれると嬉しいけどね」

バミる
舞台挨拶等で、登壇者がどこに立つのか、事前にシミュレーションしてそこの場所にマークしておく行為。語源は「場所を見る」。舞台挨拶の事前準備はとても重要です!
[使用例]
「上映開始前にバミっといてね」

バラす
片付けるの意味。イベントや取材などなど多くの人が関わる映画宣伝行事において全てが終了して、セッティングを片付けるときに使う。タレントさんなどのお仕事をが終了して、「帰す」時の言葉としても使います。
[使用例]
「◯◯さん取材終わって、帰られたので控え室バラしますー」

ハレパネ
ポスターを厚手のパネルに貼り付けたもの。取材や舞台挨拶でタレントさんの後ろにおいて、タレントさんの肖像と共に映画のビジュアルをマスコミに抑えてもらうために使う用途もあるし、サインとして映画のビジュアルを出す用途もある。ポスターだと壁が必要だが、ハレパネがあればいつでもピシッとした映画ビジュアルが出せるので、映画宣伝においてはいろんな場面で活躍する宣材物です! (「ハリパネ」と言う方もいます。どっちが正しいか…わかりません!知ってる方がいたら教えてください!)
[使用例]
「ハレパネとイーゼル2セット必要だね。ハレパネ作っておいてね」

ピクチャーロック
本編の制作過程において、絵(映像)が固まった状況を指します。ピクチャーロックしていても音やテロップ(エンドロール)などが残っているので完成ではないですが、使われる絵としては確定です。
[使用例]
「ピクチャーロックしたのでこれ以上絵は変わらないので尺も確定です」

ビリング
ポスターや予告編など宣材物に掲載されるクレジットのことを指します。エンドロールでは作品に関わっているオールスタッフが掲載されますが、宣材物ではそれを全て掲載する事がスペース的に難しいいのでメインキャスト、メインスタッフのみが抜粋されて掲載されることになります。掲載順番や並びなども重要になるので業界関係者的にはそれ自体見ててもなんだかとっても楽しめちゃったりします。
[使用例]
「デザインにも影響するから、ビリングがどのくらいの分量か早めに知りたいな」

フィックス
英語では、直すという意味もありますが、映画業界では固定する、動かないようにすると言う意味で、すなわち「決定」と言う意味で使うことが多いです。FIX(フィックス)版というと決定版と言う意味です。
[使用例]
「デザインはフィックスです。あとは細かなビリングの修正だけです」

フューチャレット
featurette=中編映画が語源です。アメリカの映画界で長編映画より短く、短編映画より長い映画の一種のことを指しますが、現在日本の映画業界でフューチャレットは本編の抜き映像などを使った短い特番的なものを指す事が多いです。予告編よりは長い5分-10分ほどの、それ自体がコンテンツとなっている編集された映像です。
[使用例]
「フィーチャレットが本国から何本来るかまだわからないけど、2、3本は来ると思います」

プレス
広義ではマスコミを指す言葉ですが、業界では「プレスシート」「プレスブック」の略として使われる事が多いです。すなわち媒体さんに作品情報を提供する際の資料です。イントロやストーリー、キャスト・スタッフ、プロダクションノートなどが含まれる事が多く、媒体さんはその情報をもとに記事を書きます。しっかりと印刷してブックレット状にすることもあれば、シンプルにワードで作ったもののケースもあります。プレスの要素が多いと気合が入っているな、大作だなって思わせることもできます。
[使用例]
「今回プレスは印刷しますか?それともオンライン版で済ませますか?」

プレスコ
プレスコアリング(prescoring)の略。プリレコーディング(prerecording)「プリレコ」とも言われます。アフレコやアテレコとは逆で、映像を撮る前に声や効果音を録音することを指します。海外を中心に、アニメ制作では、よく行われているようです。
[使用例]
「アメリカではプレスコ作業が基本となっているみたいよ」

プレミア
作品が一番初めに一般のお客様に披露されるイベントを指します。映画公開前の試写会のことが多いです。ワールドプレミアは世界初上映、ジャパンプレミアは日本初上映という形ですが、とにかくお披露目される機会なので、映画にとってもとても重要なイベントになります。
[使用例]
「プレミア試写会の日程を早めに確定しましょう」

プロンプター
カメラに映らないところから、演技者にセリフや動くきっかけの合図を送る人のことを指します。
また、ニュースなどで、カメラレンズの前に設置することでカメラの方を見ながら原稿を読むことが出来る機械のことも言います。政府関係者など政治家も御用達ですね!
[使用例]
「このシーンはセリフ長いからプロンプターつけますね~」

ポジ
映画用語では、ポジティブ・フィルムを略して「ポジ」と言い、実際の映画フィルムで映像が記録された部分を指します。編集や編集の進捗確認に使われたり、 完成した映画のポジは、アーカイブ材料として保存されることもあります。
[使用例]
「昔は映画のメイン写真とかをポジで渡してたんだって」

ポスプロ
映画作りの中で仕上げの作業であるポストプロダクションの略。撮影完了後の作業を指していて編集、MA(音編集)、色調整(カレコレ)などなど。ちなみに撮影に入る前の準備段階のことは「プリプロ(プリプロダクション)」と言います。
[使用例]
「監督今、ポスプロ中だから、スタジオ行けば捕まるよ多分」

本宣材
映画宣伝においてメインとなるポスター、チラシ、予告編のことを指します。映画宣伝では大きく「ティザー」と「本宣伝」というのがありまして、例えばポスターもティザーポスター、本ポスターと2種作るケースが多いです。ティザーは全ては出さずに、意図的に情報を隠して煽っていく意味合いもあります。対して、本宣材は宣伝としては全開で行くことが多いです。
[使用例]
「本宣材の立ち上げは夏休みを予定してます」

本ポス
本宣材の一つである本ポスターの略語。ちなみにティザーポスターの略語はTポス(ティーポス)です。
[使用例]
「本ポスの時はこの役者さんの絵も使いたいと思います」

ま行

幕間
映画館で本編上映と本編上映の間の時間を指します。「まくま」という人もいますし「まくあい」という人もいるのでどちらが正解かはわかりません。本編上映が終わると、①場内清掃、②開場・お客様入場、③予告編上映、④本編上映と続きますが、この②のことを指すことが多いです。この幕間の時間にはスクリーンにはマナーCMや告知映像など劇場からのご案内などが流れていますが、その映像を幕間映像と呼びます。
[使用例]
「幕間でコラボマナーCMの枠をもらったので何か面白い企画映像を作ろう」

メイキング
撮影やポスプロ等の制作段階で、その様子を収めた映像をメイキングと呼びます。その映像を撮る人もメイキングと呼ばれることが多いです。英語だとBehind the Scene(ビハインド・ザ・シーン)ですね。制作期間中、メイキングの方は本編撮影隊と一緒に行動して、本編撮影の邪魔にならないよう、でもナイスな絵を収められるように見事な技術で撮りまくります。撮影現場でのインタビューやオフショットなどもメイキングが抑えます。
[使用例]
「メイキングで確か、撮っていたはずなので、その映像と予告編映像でテレビの露出を狙おう」

もぎり
試写会や映画館での上映の際に、お客さんが入場する際にチケットを入場口でチェックする行為をもぎり(捥り)と言います。チケットの半券をもぎ取ることを指します。
[使用例]
「もぎりは何名必要ですか?」

や行

友情出演
その名の通り、監督や主演俳優と親しい俳優が、格安の出演料「お友達価格」で作品に出演することを指します。1シーンのみから1話全体など、出演の仕方はさまざまありますが、場合によってはノーギャラなんて太っ腹な俳優さんもいるそうです。ちなみに、海外映画では「SPECIAL APPEARANCES」と表現することが多いそうです。
[使用例]
「あの俳優さんとあの俳優さんは仲良しだもんね。だから友情出演してるのか」

ら行

ラッシュ
本編完成前の本編素材のことをラッシュと言います。未完成版を指していますが、ピクチャーロックした段階のもの、0号などなど途中段階のものの試写を総称としてラッシュ試写と言われることが多いです。語源は想像するに、ラッシュ=急ぐ、急いで行動するなので、急ぎの試写のことをそう指すのではと予測します。
[使用例]
「ラッシュ版を見たけど、めちゃくちゃ良かった。これ音がちゃんと入ったらやばいよ!」

ラテ
ラジオ・テレビの略。新聞などのラジオ・テレビの放送時間が書いてある欄を「ラテ欄」と呼ぶ。
【使用例】
「番宣の出演もラテ欄に載るの?」

ラフ
これは通じるかもしれませんが、まだ荒い状況でのものを指します。例えばポスターデザインを開発する際にまずはラフを出して方向性を固めて詳細を詰めていくような使い方です。
[使用例]
「ラフ修正だけど、もう20通りぐらい作ったよ。大変!」

ランスルー
これはイベント用語ですね。リハーサルのことを指しますが、ランスルーはテクニカルリハーサルを経て、MCなども入れて最初から最後まで通しで実施するほぼ本番さながらのリハーサルのことを言います。クライアントもチェックにきます。
[使用例]
「ランスルーは何時からですか?そこで最終チェックしましょう」

リリース
これは媒体に対して提供する書面にまとめた情報のことを指すこともあれば、その行為を指すこともあります。公な発表のことを指すので、情報解禁と同意語ですね。
[使用例]
「リリース原稿を叩き始めてください!」

レイヤーデータ(レイヤー別)
ポスターやチラシ、プレスブックなど印刷を伴う宣材物はその後、いろんな宣材物(webも含めて)に転用されていきます。その場合サイズなどが違うので各デザイナーさんによって元のデータをいじって、各宣材物を作っていく必要がありますが、その際に統合されていない、レイヤーのデザインデータが必要になります。そのデータのことをレイヤーデータ、レイヤードデータと呼びます。
[使用例]
「校了したらレイヤードデータもください。HPの制作に入ります」

ロケハン
現地下見のことを指します。そもそもは映画制作のロケーションハンティングからきていると思いますが、映画宣伝でもロケハンという言葉は使います。イベント会場の下見、テレビ収録場所の下見など、その場に行って状況を確かめにいく行為を指します。類義語として、現場調査(現調)という人もいます。
[使用例]
「2日前しかロケハン行けないので心配だなー」

 

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