キリスト教(カトリック)は、その教義で「偶像崇拝をするな!」「へんな像や絵を拝むな」と言いつつ、大量の思わず手を合わせたくなる有難そうな図像に満ちていますね。
一般民衆のほとんどが文字を読めない時代、有難い聖書は神父様に読んでもらうしかなく、ビジュアルで訴えることは現代の我々の想像以上の効果があったにちがいありません。
ただそれでも、絵や像以上に人々の想像力を刺激するものがありまして、それが「聖遺物」と呼ばれるものでした。
イエスが最後の晩餐で使用した聖杯、イエスの脇腹を貫いたロンギヌスの槍、イエスの顔を覆った聖骸布。しばしばミステリーや冒険物語の題材となってますが、これらは怪我や病気を治癒する特別な力があると信じられていたんですね。
なので中世から近世にかけて、聖遺物の獲得競争がし烈を極めました。もちろんイエスがらみが一番珍重され、彼が産まれる際に使用した飼い葉桶(?)まで信仰の対象となりました。
さらに聖人と呼ばれる宗教人たちも価値は高く、日本でもおなじみフランシスコ・ザビエルの遺体の足の指を食い千切って逃げた女性もいたといわれます。(サビエルの遺体は今でもミイラでインドにあります。足の指はやはり、ありません)
さらにびっくりするような話としては「聖書」を書いた人・聖マルコの遺体を盗み出した二人の男がおりまして、彼らは西暦828年、イスラム帝国支配下のエジプトのアレキサンドリアの安置所から、
「イスラム教の国においておくなんてもったいない!」
とばかりに、遺体を持ち去りました。聖マルコはイエスと同時代の人なので、信じられないくらい古い遺体で、しかも4人の聖書ライターの筆頭ですから、めちゃくちゃ貴重なわけで、イスラム帝国的にも盗まれて良いわけもなく大問題になります。そんな状況で追手をかいくぐりながら国外に持ち出す時、彼らは税関の検閲で詳しく調べられないように、イスラム教徒のタブーとなっている豚肉を遺体の上に大量に敷き詰めてノーチェックで出れたと言われてます(笑)。
二人の正体はヴェネチアの商人でした。彼らはこのお宝とともにヴェネチア市民の熱狂的な歓迎を受けました。実は、ヴェネチアの首相は国の結束を高める象徴を欲していたのです。そして聖マルコの遺体を納めるために作られたのが、あの煌びやかなビザンチン様式のサン・マルコ寺院です。
ヴェネチアはこの後、小さいながら誰の支配も受けない独立国として地中海の覇権を握り、聖マルコのアイコンである「有翼の獅子」の旗の下、千年の歴史を刻むことになります。千年といったら、比肩できるのは日本くらいでしょうか。
「象徴って、よくわかんない」という方も多いと思いますが、どこかから命がけでかっぱらってくる国もあるくらいで、意外に大事なんですよね。
共感シアターの象徴って何だろう?必要なら盗み出す必要があるかもしれませんね(笑)
たんす屋(共感シアタースタッフ)
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