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【ジジイの時事エンタメ斬り!vol.30】 旅行のはじまり、ニッポンのはじまり

2024-07-10更新

暑いですね。もはや夏です。
今年の夏休みの旅行スケジュールは皆さん考えていらっしゃいますか?
キャンプですか?楽しそうですね。高原に行く?涼しそうですね。南の島?実にうらやましい。
今回は旅行について考えてみたいと思います。

人間は太古の昔から地球規模の移動をしてきているのですが、食べるためや侵略や商用や遊牧というようなもので、観光に類する移動が起こったのは、ここ1000年のことです。
きっかけは十字軍ですね。
「参戦すれば神の赦しが得られる」と喧伝して、兵を集めたローマ・カトリック教会。イスラム相手に攻撃を仕掛け、虐殺の果てに聖地エルサレム“奪還”したわけですが、その後一般人の皆さんが
「せっかくなんで、一生に一度エルサレムを拝みたい」
となりまして、大挙ヨーロッパからパレスチナへ信者が押し寄せました。

ルートはですね、陸路が結構あぶないので、皆さん大体イタリアのヴェネチアまで行きまして、そこから船に乗って地中海のクレタ島やトルコのイスタンブール、アンティオキア、イスラエルのテルアビブを経由してエルサレムに至り、キリスト磔(はりつけ)の場所に建てられた聖墳墓教会など何か所か巡るという感じです。「聖地巡礼」などというとアニメか?という感じですが、これが元ネタです。
宗教が旅行業の始まりなんですね。特に旅の起点となるヴェネチアには多くの旅行代理店が立ち並び、やがて旅の安全を保障する保険に類するサービスや、向こうで現金化できるトラベラーズチェック的なものも生まれることとなります。世界有数の観光都市ヴェネチアは同時にその道の元祖でもあるわけです。(ちなみに病院も十字軍をきっかけにできたものです)

日本はどうかといえば、実はこれも宗教きっかけでして「おかげ参り」という伊勢神宮への参拝の旅が、旅行業の始まりとなりました。これは、御師(おし)と呼ばれるセールスマンがいまして、ガイドブック片手に日本各地でお伊勢参りを勧誘して歩く。江戸時代以降日本は治安が良くなりまして、一気に旅行は民衆文化になりました。「やじきた道中」なんか、まさにそれです。まあ普通の庶民が何か月も休んで歩いて行けるわけですから、豊かな時代ですよね。おかげ参りの旅だと知るとみんな優しくしてくれたり、お金なくても伊勢までたどり着けたなんて話もありますので、江戸時代は今より寛容で成熟した社会だったのかもしれません。

江戸中期の日本人口が3000万人くらいなのに年間400万人がおかげ参りに参加したといいますから、一大ムーブメントで(400万人といえばドジャー・スタジアムの来場者数の史上最高記録でそのくらい)、列島各地から集まった人たちが伊勢で交流しまして、「おかげ」で日本人意識を醸成するのに大いに寄与したらしいです。パリ・オリンピック開催の今年の夏、そんな盛り上がってない感じもしますので、みんなで伊勢参りをして日本人意識を高めてみてはいかがでしょうか?御師によると外宮から先にお参りして、内宮へ行くのが順序だそうです。
共感シアターもこの夏、ニッポンを応援していきたいと思います!

たんす屋(共感シアタースタッフ)

 

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