プロが見たこの映画

【ジジイの時事エンタメ斬り!vol.18】 「仕掛け」

2023-07-20更新

夏ですね。暑いです。
先日、以前一緒にキャンプに行った娘の保育園のママ友夫婦から連絡があって、釣りに行こうと言われました。彼らはキャンプもそうですがガチの釣り好きでアクティブ派、当然釣り船に乗って大物を狙うらしい。
(松方弘樹か、かんべんしてくれ。)
釣りは私も好きなんですけど、船釣りとなると直射日光で暑いわ、船酔いもあるので気後れしてしまいまして、丁重にお断りしました。でも何にもしないのもなんなので、子供と一緒に海釣り公園へ行きました。
こっちはこっちで激混みで、投げ釣りやってる人もいればサビキ(※)で糸を垂らしてる人もいる、おまけにエギング(※)の人も近距離で混在しててちょっと危ないくらい。しかしまあいろんな釣り方があるものです。

驚いたことに、海洋王国ニッポンにおいて漁業のやり方というのは、そのほとんどが紀州(和歌山県)の漁師が考え出したものだそうです。竿、糸、重りから針、天秤など、ひとつひとつも知恵深いわけですが、全体で一つのシステムになっている。まさに「仕掛け」というコンセプト自体が紀州の漁師の賜物なわけです。
なんでしょうね、これは。
確かに日本の釣り道具というのは海外のもの比べて、相当凝ってるなーと釣具屋なんかで思うことしきりで、ギミックに惹かれて要りもしない釣り具を買っちゃうわけですが、通常、TOOLに関する考え方は、食器などみても欧米のほうが凝っていて、日本のものはシンプルで、あとは各自のスキルで小器用にこなしちゃうというのが多いのですが、釣りに関しては完全に逆転してますね、民族性を考えるとこれは余程発達していると見なければなりません。
やはり和歌山のまわりは黒潮が通ってますから、いろんな魚が巡ってきたのでしょう、タイからブリからクジラまで、「獲って食べてみたい」という一心で、漁法のバリエーションが増えていったのは想像に難くないです。

そんな知恵の詰まった釣り具を使ったからといって釣れないのが、また釣りの深いところではあります。
海釣り公園にいる我々は、小さいハゼとハコフグのみというさみしさでした。食べれるわけもないので、海に戻して家に戻ろうという車の中で、例のママ友夫婦からLINEで大量の写真が届きまして、
「アジ大漁!おすそわけ持っていくよ!」
ということで、夕飯は労せずしてアジフライとなりました。
(ホントに大漁で、さらにお隣に配ったほどでした…)

びっくりするくらいふわふわのアジフライを噛み締めつつ、私は思いました。
共感シアターも知恵深い運営ノウハウや、凝った職人芸が貯まりつつある。あとは一つの獲物に向かって「仕掛け」る事が大事、だと。
いずれタイや、ブリや、メジナ、どころかクジラが釣れるかもしれませんね。
いや、持つべきは「近所の釣り好き夫婦」ということかもしれませんが…

(※)サビキ:サビキ釣りとは、エサに似せた小さな疑似バリを連ねた仕掛けで行う釣り。寄せエサとなるアミを入れるカゴを組み合わせ、サオを上下に動かすことで寄せエサを拡散。それにより魚を集めて、最後は疑似バリに食いつかせます。
(※)エギング:古来からある漁具の「餌木」を進化させ、主にアオリイカを狙うルアー釣りです。

たんす屋(共感シアタースタッフ)

 

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