調査レポート

《発表！》業界人が選ぶ！　記憶に残る【宣伝施策】／2023年下半期～後編～

2024-02-05更新

KIQ REPORTでは、半年に一度、映画業界で働く“映画業界人”の記憶に残った＜ベスト映画宣伝＞を発表しています。

前編に続き、宣伝プロデューサーやパブリシスト、映像ディレクター、グラフィックデザイナー、WEB編集者、ライターなど映画業界人総勢51名から寄せられた、2023年下半期（7月〜12月）公開の映画の中で、記憶に残った【映画宣伝】をご紹介します！

＞＞＞【宣伝施策～前編～】はこちら！
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インパクト大！『君たちはどう生きるか』の宣伝をしない宣伝

『君たちはどう生きるか』は、記憶に残るポスタービジュアルでも最多得票作品となりましたが、宣伝施策でも圧倒的に多く挙げられたのが同作でした。事前に出たのはビジュアル一点とキャッチコピーのみの情報で、プロモーション活動は疎か、ほか一切の情報を事前解禁しないという異例の戦略は、映画宣伝史に残る施策でしたね。宣伝マンに限らず、多くの業界人から記憶に残った声が寄せられました。



★「宣伝を全くしないというのがカッコよすぎました…。『THE FIRST SLAM DUNK』然り、原作人気や宮崎駿というブランドが確立しているからこそ出来ることではありますが、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が大きな宣伝をせず口コミからヒットしていることも含め、少なからず宣伝の形が変わって来てるのかなと思いました」（20代女性・宣伝アシスタント）

★「公開前に映画の内容が明かされないので、宮崎駿の新作はどんな映画なのだろうという期待感、観てみないとわからないというワクワク感があった。ジブリだからできる宣伝戦略だろうと思ったし、“宣伝しない”という情報が回ることで認知と興味が生まれ、それが宣伝になっていて、なるほどと思った」（20代男性・映画宣伝）

★「正確に言えば宣伝はしていないはずなのに、その意外さが逆に認知度を上げてしまった、ジブリにしか出来ない荒業だったと思います」（30代男性・映画ライター）

★「事前宣伝なしのパンチ力、圧倒されました」（30代男性・予告ディレクター）

★「“引退宣言撤回からの宣伝しない宣伝”が、一個人的には、その一連の動きすべてが宣伝になっていた」（40代女性・デザイナー）

★「作品の完成の問題もあったとは思いますが、公開前宣伝をしないという振り切った公開は、宮崎作品でしかできないですが、それでもその判断をしたということが凄いと思いました。タイトルのメッセージ性の強さもあり、コピーなしのビジュアルも潔くてインパクトがありました」（40代女性・宣伝プロデューサー）

★「“宣伝をしない”と宣言した事自体が宣伝。宣伝をやっている身としてはとても参考になりました。さすが鈴木敏夫！」（40代男性・宣伝ディレクター）

★「他ではできない「何もしない」宣伝。映画ファンとしては事前知識なしで観られて最高でした」（40代男性・編集者）

★「やはり実績ある巨匠の作品のみに許された唯一無二の宣伝戦略。「沈黙は金なり」とはまさにこのことですね」（50代男性・リサーチャー）

宮崎駿監督作品で興収88.4億円（公開中）という数字をみると、この宣伝戦略が興行にどのような影響を及ぼしたのか気になるところではありますが、映画業界における影響は非常に大きく、従来の宣伝手法についても考えさせられるきっかけになりました。情報量と期待度は必ずしも比例せず、むしろ欠如することで煽る期待もあるというのは、これまで以上に思考の幅が広がり、宣伝マンの手腕も試されそうですね！

プロデューサーの熱心なファン交流が話題を呼んだ『ヴァチカンのエクソシスト』

2023年下半期、SNSで大きな話題となったのが、ラッセル・クロウ主演のホラー映画『ヴァチカンのエクソシスト』でした。
Ｘ上で、プロデューサーのジェフ・カッツ氏が、日本語で（!!）日本のファンと積極的に交流していたことが話題となり、記憶に残った業界人も多くいたようです。熱量のある交流は、思わず映画も応援したくなりますよね。

イベント、交通広告などまだまだある、映画宣伝を彩った施策の数々！

映画を一人でも多くの人に届けるために趣向を凝らしている映画宣伝の数々。業界人の記憶に残った映画宣伝はまだまだあります！

『Gメン』

出典元：『Gメン』公式HP　豪華キャストが大集結！公開記念舞台挨拶イベントレポート（2023.08.28掲載）

★「SNSでのユーザー参加型の企画。参加者へのプレゼントだけでなく、合計ポイントを重さに変えて公開記念舞台挨拶で主演の岸君が米俵を持ったこと。舞台挨拶のネタをファン参加で作ったというところが仲間感があってよかった」（40代女性・SNS担当）

『ロスト・フライト』

出典元：ポニーキャニオン　『ロスト・フライト』TVCM公開収録イベントを実施いたしました！（2023.10.31掲載）

★「あばれる君の公開収録イベント。無人島を舞台にした映画だからあばれる君という安易な発想と、登場人物のマイク・コルター演じる役をイメージして黒人エキストラをキャスティングした絵作りが、いい意味でバカバカしくて、印象に残った」（30代女性・宣伝アシスタント）

『ミステリと言う勿れ』

出典元：SIGN NEWS SITE　【映画「ミステリと言う勿れ」】新宿駅通路に久能整の衣装を着せた柱巻き広告掲出。渋谷では『マウントレーニア専用天パカバー』を配布（2023.10.05掲載）

★「ドラマの際にも実施していたようですが、新宿駅の柱巻きがインパクトあった。SNSで話題になっていた印象」（30代女性・宣伝アシスタント）

★「ミステリと言う勿かれの街中施策。整くんの特徴的なもじゃもじゃ髪を模した加工のスタンディや街頭でミニもじゃもじゃ頭を配布していたのをSNSで見て面白いなと思いました」（40代女性・営業）

『幽☆遊☆白書』（Netflix）

★「渋谷広告のアイディアが良かったです。SNSで拡散もされているので良い施策だなと思いました」（30代女性・宣伝・パブリシティ）

『ゴジラ-1.0』

出典元：『ゴジラ-1.0』公式X　『ゴジラ-1.0』公開記念「ゴジラ襲来トラック」日本縦断&SNS写真投稿キャンペーン開催（2023.10.18掲載）

★「ゴジラトラックは近くを通ったら絶対に見てしまうものすごい迫力の造形だった。また、公式ホームページの予告編のゴジラの足音に合わせてサイト自体が揺れるこだわりに感動した」（40代男性・映画記者）

★「ゴジラが超絶怒涛の露出量で街を歩けばゴジラ、テレビをつければゴジラ、空港に行けばゴジラ、ご飯を食べればゴジラで力こそパワー、、、と思いました。景気がいいですね。不景気なニュースが多かったので気持ちが明るくなりました」（30代女性・プロデューサー）

『コカインベア』

出典元：THE RIVER　コカインをキメたクマさんが襲ってくる『コカイン・ベア』9月日本公開決定 ─ ムビチケ特典で粉もらえる（2023.6.22 掲載）

★前売特典の入浴剤が、白い粉という共通点で入浴剤とはすごく面白いアイデアだった」（40代男性・映画記者）

★「前売特典で「気持ちよくなれる粉（入浴剤）」をつけていて、ノリの良さがうらやましくなり、絶対宣伝してたら楽しかったなと思った」（40代女性・WEB編集）

『アイドルマスター シャイニーカラーズ』

出典元：Gamer 　アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」劇場第2章3週目の入場者特典では週替わり映像描き下ろし漫画ステッカーがもらえる！（2023.12.04掲載）

★「単純に大変だったのと、ほぼ一人でアニメを作る工程を行ったところが記憶に残っている」（30代男性・宣伝アシスタント）

『ストールンプリンセス　キーウの王女とルスラン』

★「プロデューサーである粉川さんの純粋な熱量に、これはAIではできない、人だ！と思いました」（30代女性・宣伝アシスタント）

★「配給会社の粉川さんが全面に出た稼働で、作品を応援しようという空気が生まれた」（40代男性・映画記者）

※KIQ REPORTのインタビューでも、粉川さんの魅力に迫りました！
＞＞＞「ポンコツ、だから無敵！」Elles Films株式会社 粉川なつみさん ～前編～
＞＞＞「止められない行動力。」Elles Films株式会社 粉川なつみさん ～後編～

『エクソシスト 信じる者』

出典元：MOVIE WALKER　新宿にブラムハウスが出現！『エクソシスト 信じる者』『M3GAN/ミーガン』の世界を味わう“恐怖の館”に潜入（2023.11.28掲載）

★「良作ホラー映画を量産し続けるハリウッドきっての制作会社「ブラムハウス・プロダクション」が新宿のクロス新宿スペースにオープン。ビル丸ごとブラムハウス仕様になり、SNSで話題を呼んでいた」（20代男性・オンライン番組ディレクター）

深夜限定の“オンライン映画自販機”「NothingNew」

出典元：映画ナタリー　中川奈月×小川あんの新作ホラー「犬」、深夜限定の“オンライン映画自販機”で公開（2023.11.28掲載）

★「宣伝施策ではなくサービス施策だが、深夜0時〜4時のみ見ることができる、というありそうでなかった施策」（50代男性・宣伝プロデューサー）

 

全３回に分けてお送りした、「業界人の記憶に残る映画宣伝」はいかがでしたでしょうか？
皆さんの記憶にも残っているものから、今回初めて知った宣伝まであったと思いますが、業界人ならではの視点で印象に残るものは参考になる部分も多いのではないでしょうか。2024年はどんな映画宣伝が繰り広げられるか、楽しみですね！！

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映画ファンってどんな人？ ～ライフスタイルで映画ファンを7分析～
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